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銀河鉄道

いつの間にか
ついていけない時代が
主流になり
初めの違和感は
遠くに消えたまま
成仏しないで
どこかに
息を潜めている
僕が
この時代の
手触りから
自分を
浮かび上がらせ
ようとすれば
するほどに
深く沈んでいくような
呼吸困難に陥る
今はこれが
流行っているから
という
所在無さげな
ため息は
追憶の灰色に
染められたまま
空に降り積もる
階下を歩く
僕の行き先は
知ってるんだろう?
せめて
迷い子のために
瞬時に
取扱説明書付きの
物語を下ろしてくれよ
違和感の綿で
緩く絞められた
首を洗って
この台座に
捧げてくれないか
それは僕の形を
しているけど
僕が見る以上
どこかで
はぐれた偽物だ
それくらい
生きる代替は
犠牲の上に
成り立つ
人間の無力を
物語る
レトロブームは
そんな
記憶の願いたちの
行き着く
終着駅さ
ズレは戻らない
そんな諦念の風を
プラットホームで浴びながら
次の次元へ
向かう鉄道を
待つしかないのだろう

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