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2010年代個人的邦楽10選Ⅱ

この時代はさらに尖った邦楽にも触手が伸びて、洋楽にはもう全く引けを取らないレベルの音楽性を持ったアーティストが次から次に出てきたように思えて、夢中でいろいろなそれまで聴いたことがないような、ジャンルとか「いい」と思ったのは聞きあさったりしていました。だからすごくアンテナを張っていた時期でもあります。普通のヒット曲じゃ飽き足らない、「本物」を求めて、特にテレビを独占していた曲はFM802(関西のFMラジオ局)ばりに避けて、いろいろなところへ辿り着いたりしました。それでもマニアという領域には達していないと思いますが、一番邦楽を熱心に「探していた」時期なので、今振り返ると思い出深い時代ではあります。個人的にもようやく「これだ」という人生の目標が見つかって頑張っていた時期でもあるので、「自我」に目覚めた感性でもう一度音楽を邦楽を聞き始めていたんじゃないかな、とか思ったりします。高校以来に。そんな感じですが、早速どうぞ。


鉄壁 / 女王蜂 (2012年)
いきなりクライマックスな曲が来てしまいました笑。年代順なのでどうしてもこうなってしまいます。とにかく痛みの度合いが半端ない、それまで聴いたどの曲より心に迫って来る迫力が凄いです。おそらくは実体験か何かなのかもしれませんが、その深い傷をここまで素晴らしい音楽や歌に昇華出来てしまう、アーティスト性にシビレていました。この曲を初めて聞いたのはよく覚えているのですが、2013年9月くらいに当時社会現象を巻き起こしていて僕自身歴代のテレビドラマの中で一番好きなNHK朝ドラ「あまちゃん」主演の当時はまだ本名だった「のん」、「能年玲奈」が「あさイチ」のゲストで出ていて、まあものすごく人見知りな女の子で、ほとんど話さなかったような気がしますが、そのラストで女王蜂がこの「鉄壁」をライブで演奏して、そのパフォーマンスに度肝抜かれたのを覚えています。能年玲奈やイノッチ、有働さんみんな感動して泣いていたり、衝撃受けていましたね。余談ですが、もし能年玲奈があのまま「干されずに」芸能界の第一線で活躍し続けていたら、今頃は吉永小百合かそれ以上の大女優になっていたと思います。それくらいもの凄い可能性を感じさせましたね、あの演技力は。このPVは2012年より後に撮られたものらしいですが、いい感じなので。


Dear. Mr. Tomorrow / 秦基博 (2012年)
バラードの新たな名手みたいな雰囲気が漂っていましたね、この時期の秦基博からは。揺らぎのリズムが心地よくて、声がまた唯一無二で、歌詞も現代の疎外感やそこからなんとか光を見出そうとする等身大のものが多くて。吟遊詩人という感じもします。この後にあの「ドラえもん」の主題歌「ひまわりの約束」で一気に大ブレイクしていくのですが、その手前のこの歌も寂れた感じが当時の僕の心境やそれまでを思い出すと、ドンピシャで底まで届いていました。


ミュージック / サカナクション (2013年)
この曲を聞いたのはテレビかラジオが初めてだったと思うのですが、おそらくサビに行くまでが長くて、その途中までしか聞いていなくて、最初はそんなに好きでもなかったのですが、ある時ドラッグストアでフルで流れていてあの壮大なサビも含めて聞いたら「凄いいい曲」と見直したのを覚えています。確か関西のFM802とかのチャートとかで13週連続1位とかになっていたくらい、めちゃくちゃ当時ヒットしていたのも覚えています。今じゃサカナクションの代表曲みたいな感じになっているのですかね、詳しくは知らないですけど。他にもいい曲たくさんあるから、やっぱりすごいバンドやなあって思います。


ドリーマーズ・ハイ / RADWIMPS (2013年)
「君の名は」のアニメ映画の主題歌「前前前世」が凄い有名ですが、その前から音楽ファンの間では、かなり評価されていて、僕もそこまで熱心に聞いていたわけではないですが、それまでとは全く別の種類の才能の持ち主が出てきたな、っていろいろリリースされたシングルやアルバム聴いた時は思ったりしていました。ただ少しマイナーな音楽性みたいな、そこまで大衆受けを狙っていない「ロックな」感じがカッコいい、みたいな感じでしたが、まさか「前前前世」であそこまで売れるとは思っていなかったので、驚いたりしました。音楽性、技術、精神性、どれをとっても21世紀に出てきたバンドの中ではトップクラスなのではないか、と思ったりします。


It's Alright To Dance (Yes!!! Happy Monday!!!) / the telephones (2013年)
この曲はどこで初めて聞いたのか忘れましたが、「尖った」音楽を探していた当時の僕の好みにピッタリだったので、すぐお気に入りになっていきました。80年代のディスコをイメージしたようなノスタルジックなテクノサウンドと、今の時代の空気感がうまくシンクロしているように思えて、心の深いところに刺さるサウンドを聴かせています。ミュージックステーションとかでも珍しく生でライブしていたりして、個性的なパフォーマンスで見ていて楽しかったですね。


Romantic Disco / the telephones (2013年)
こっちはもっと80年代そのままのサウンドでよりハマりました。たぶんその時代を子供で過ごした年代の原体験に「ファミコン」とかあの当時の「テクノ」サウンドが刷り込まれていて、同じ時代を子供で過ごした僕なんかが「持っていかれる」ようなノスタルジックなテクノサウンドを響かせてくれます。パフュームの中田ヤスタカもそうですよね。やっぱりあの当時のファミコンには「夢」しかなかったから夢見心地で夢中になっていたら、深層心理に刷り込まれても仕方ないです。もし僕にもっと音楽の才能があれば同じように「ファミコン」の原体験からの音楽を作っていたかも、です。まあこの曲はファミコンというよりかはディスコですけど、その感性は根っこのところで繋がっているのかもしれません。


サークルゲーム / Galileo Galilei (2013年)
2010年の「夏空」で好きになったバンドで、この曲もかなり良かったです。おとぎ話のようで、大人になっていく中、子どもの感性も失いたくない、忘れていたくない、という葛藤とかが当時の僕にノスタルジックに響いてハマっていました。大人になるイメージが湧かなかったので、「大人に」なる前に解散したのも仕方ないかな、とか思ったり。自分に正直な人たちだからこそこんなにも「ピュアな」名曲が書けるんだなあ、って思ったりします。あ、また復活したみたいですね、すいません。


1mm / Perfume (2013年)
一時に比べたらその衝撃にも慣れてきて、そこまで熱心にパフュームを聞いていなかったのですが、このアルバム曲は響きました。こういうシャープな感覚がいいなあ、って。売れ線に行き過ぎないそのバランスは難しいのでしょうけど。でも長くやって長く売れているのは凄いなって思います。ある意味でいろいろな地平を切り開いていってるのかも。


パラレルスペック / ゲスの極み乙女 (2014年)
これが出てきた当時はまた「凄い才能が出てきた」と驚いていました。まだ感性が若い時期だったから、「新しい才能」にときめいていましたね。ただ後のスキャンダルでキズモノになってしまったのは残念です。川谷絵音のちょっと今までにないイメージのふわふわした存在感とわきを固めるメンバーのキャラとかスターになる要素がいっぱいあったので。まあそれも運命か。才能と人間性がバランス取れていて、安定していい曲書いているサザンオールスターズの桑田佳祐の偉大さが身に沁みます。


Believe in yourself / 阿部真央 (2014年)
最後は一番まともなストレートな曲を。当時医学部目指しての受験勉強とか頑張っていたので、この曲の歌詞にかなり励まされていました。テニス漫画、アニメ「ベイビーステップ」の主題歌でその漫画アニメも好きで当時見たり読んだりしていましたね。結局医者にはなれませんでしたが、何かに向かって努力している時にこの曲聴くと、めっちゃ励まされると思います。


だんだん現代に近づいてきましたが、まだサブスクとかボーカロイドとかの時代じゃないので、僕自身親和性のある時代でもあります。サブスク、ボーカロイドあたりから脱落してしまった世代なので。やっぱりMDは続いてほしかったなあ、と思います。親戚のおばさんによると、MDは日本だけで流行していたらしく、海外展開しづらかったそうで、ガラパゴスな存在だったんですね。だから「売れなくなったら」すぐに企業が撤退するのも資本主義では当然の帰結で。壊れても「もう部品がありません」でどうしようもなかったですし。ネットで買うといろいろ足りないものを買わされたりするし。そこで諦めましたMDは。そこから流行歌を追いかけなくなって今に至ります。5年くらい前ですかね。MDを作る情熱や環境がまだ整っていたらいまだに流行りの歌を追いかけてMD作りに勤しんでいたかも、です。まあ時代は移り変わるのが世の必然なので、いつまでも過去にしがみついていても仕方ないですね。いろいろ前を向いて歩いていきたいと思います。ではまた何かの10選で。

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