目標管理は「緩い方」が上手くいく?
column vol.328
日本より年間労働時間が300時間短く、時間当たりの生産性が1.4倍高いドイツ。
その秘訣はずっと謎でしたが、『ドイツではそんなに働かない』の著者である隅田貫さんの記事を読んで、なるほど納得いたしました。
〈JBpress / 2021年6月9日〉
「任せる」ことが吉
まず、私がとても共感するのが「現場の自由度」が高いところです。
日本では報告・連絡・相談(ほう・れん・そう)の徹底に始まり、結論・判断に到るまでの時間がとことんかかることも少なくありません。
しかし、ドイツの企業では担当者一人の裁量で判断できる範囲が広いそうです。
普通、日本では上司がいなかったら、「今日は上司が不在なので、相談をして明日以降にご連絡いたします」と伝えることが多いですが、ドイツでは担当レベルで決めてしまうことが普通とのこと。
日本では「何で俺に何の相談もなく話を進めたんだ!」と怒られてもおかしくはないシチュエーションですが、ドイツではまず上司に怒られないそうです。
でも、改めて何で日本では怒られるんだろうと考えてみると、それは間違って部下が判断し、自分が責任をとることを恐れているからだけなのかもしれません。
でも、上司が責任を恐れてがんじがらめに部下を管理しているような会社でイノベーティブな機運だったり、クリエイティブな仕事が生まれるかどうかということですよね…。
それにみんなが石橋を一生懸命叩いていたら、決定、実行まで時間がかかります。生産性という観点からも、ほどほどにしないとマズそうです…。
「ノルマ」の功罪
続いて共感したのがノルマに縛られないということです。
ノルマによる効果ももちろんあると思います。達成しなければ…という緊張感を生み出すからです。
ある意味では「圧力」となるこのノルマに対して、隅田さんはドイツで上司からこのように言われたそうです。
「私はそのような圧力をかけたり管理をしたりは決してしません。なぜなら、たちまち『できない理由』が数えきれないほど上がってくるだけだからです。私が知りたいのは、どのように前に進むかであって、前に進めない理由ではありません。そのような圧力では社員の士気は上がりません」
私もこの考え方には賛成で、当社でも各プロジェクト単位で売上目標を立ててもらっていますが、そこまで囚われないようにしています。
ただし、当然会社全体の収支によって業績賞与の金額が変わってきます。
毎月、最終利益予測を出し、業績賞与に充てる割合も明確にしているので、だいたい自分が貰える金額を社員は把握できています。
だから、一言「これって少ないよね」とみんなの気持ちを擦り合わせれば、それぞれができることをやろうとしてくれます。
そのやろうとしたことをやって生まれた各社員の成果を今度は評価の中でしっかりと明らかにしていく。
そのために、半期に一度、評価制度を見直し、ブラッシュアップしています。
主体性を重んじ、全員に経営者意識で行動してもらい、そして個々人の成果をきっちり評価・称賛していくことで、コロナ禍でも利益を生み出せる会社になっています(もちろん、毎月しんどいですが…汗)。
ただ、社員がフルにがんばった結果以上の成果は無いので、社員がフルでがんばりたくなるような状況(環境)を整備することが最も重要なのではないかと考えています。
少なくても圧力がかかった状態では後ろ向きになってしまう。後ろ向きでは前には向かえないので、まずは前向きにする工夫が経営には大切なのではないでしょうか?
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