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「広告」から「好告」へ

column vol.171

昨日、前倒しで出勤しましたが、会社としては本日が新年のスタート

私はコピーライターとしてキャリアを始めたこともあり、初心に返って「広告」についてのお話をしたいと思います。

昨年、炎鵬関を起用した「さ、ひっくり返そう。」というお正月広告で話題となったそごう・西武ですが、今年も秀逸な作品を制作しました。

「百貨店が売っていたのは、希望でした。」

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〈そごう・西武〉

スーツケース 662個 口紅 76,175本 浴衣 475着 ハイヒール 1,001足 ベビーギフト 566個  2020年6月〜11月の、そごう・西武の対象店舗・売り場での販売実績です。

そして、ここからが胸に刺さります。

新型コロナウイルスで行動が制限された2020年。 それでも、自由に旅行できる日のために、 662 人のお客さまが、スーツケースを購入された。 マスクの下でもメイクを楽しみたい 76,175 人のお客さまが、口紅を購入された。 夏祭りは中止だったけれど、浴衣は 475 着。 颯爽と街を歩く日を待ちながら、 お求めになったハイヒールは 1,001 足。 生まれてくる命を、566 セットの ベビーギフトが全力で祝福した。 足踏みばかりの日々であっても、 一人ひとりの「私」は、今日を楽しむ工夫を続けた。 お買い物の記録に教えられた、大切なこと。 百貨店が売るのも、お客さまが欲しいのも、 ただのモノではないということ。

そして、こう締めくくります。

百貨店が売っていたのは、希望でした。

ふぅ……、素晴らしい…。

コロナ禍で何度も希望を持っては打ち砕かれ、それでも希望の光を心に灯して生きてきた日々を思い返し、心がジーンとなります。

何か良質な短編小説を見せていただいた気分です。

子供時代の1980年代はコピーライター全盛期時代で広告は確かに文化でした。広告の言葉が生活者の半歩前の気分を代弁していましたが、この広告はより生活者の心にピタッたと寄り添ったまさに「好告」でした。

より好ましい的確なネット広告へ

デジタルマーケティングの新潮流になりそうなのが「コンテキスト広告」です。

〈ITmedia ビジネスオンライン / 2020年12月18日〉

消費者が表示したWebページの内容を解析し、その文脈に合わせて広告を配信するコンテキストターゲティングは、次世代広告として急速に評価を高め、成長しつつあります。

これまでのターゲティング広告であれば、冷蔵庫の商品サイトを一度閲覧した読者が、冷蔵庫を購入した後でも残った履歴などによって、車の記事を読んでいるのに冷蔵庫の広告が出てしまうことがありした。

ところが、コンテキストターゲティングであれば、車の記事を読んでいる時に的確に車の広告を出せるようになります。記事と広告の内容がよりマッチしている状態になります。

ネット上でのより「好ましい」タイミングでの商品訴求ができるのです。

成果が出なければ「報酬ゼロ広告」

「結果が出なければ、報酬はゼロで構いません」

こう言われてその会社を好きにならない企業は無いでしょう。リスクをもって「シェアリング型統合マーケティング」に取り組む、株式会社ブリーチ代表の大平啓介さんの覚悟に頭が下がります。

〈Forbes JAPAN / 2020年12月10日〉

ご紹介したForbes JAPANの記事はいわゆる「記事広告」

そうであっても、初期費用ゼロで成果が出なかったら報酬を受けないと、記事の中で明確に語っており、ここまで腹を括っていると記事広告が『情熱大陸』や『プロフェッショナル』を見ている気分になります。

(同業種の身内びいき的な見方はありますが…)

先月、広告業界の王様である電通海外事業で約5,800人を削減することを発表しましたが、コロナ禍で広告業界にも逆風が吹いています。

そうでなくても、広告のあり方がどんどん複雑化する中、大平さんのように腹括ったビジネスモデルを打ち出す人は凄いと思います。

やはり、覚悟を持った人は強い

そして、人を惹きつけるのだろうなぁと感じます。一昨年から副社長になって、最近は腹を括ることが仕事なのかなぁと感じています(とはいえ、まだまだ弱っちぃですが…汗)。

noterさんの中にも「腹括っているなぁ」と思う方はいるので、そういう方に刺激と勇気をもらいながら、より読んでくださる方にとっての「好ましい記事」を心がけたいと思います!

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