「習慣の上書き」がカギ
vol.127
本日の東京は最高気温29℃。
久しぶりにジャケットを羽織って仕事に出掛けました。
…とはいえ、明日からはまた30℃台に戻る日々…(汗)
もう少し夏は続きそうです。
暑いといえば、この夏、大活躍した家電が「のれせん」なのではないでしょうか?
のれせんをご存知ない方に説明いたしますと、家電メーカーのサンコーが開発したのれる扇風機のこと。
昨年4月に発売したところ、初回生産分の5000台が完売。
今年用意した1万2000台は売り切れ、追加した3000台も完売するほど絶好調です。
〈ITmediaビジネスONLINE / 2024年8月17日〉
製品に乗ると足元から風が出る仕組みになっております(降りたらスイッチオフ)。
効率よく全身に風を送るため流体力学を応用し、風量や風を送る範囲などを調整。
全身を短時間で効率よくクールダウンできるよう、4ヵ所の風の吹き出し口をデザインしています。
ですので個人差はありますが、だいだい20秒くらいで涼しさを実感。
これまでの家庭用扇風機では、体全体に風を当てられなかったのですが、その課題をクリアしたところに人気の秘訣があるわけです。
このように、これまで何か物足りないと思っているけど「まぁ、そんなもんだろう」と流していることにヒット商品を生み出す種がある。
それからもう1つ、ITmediaビジネスONLINEの記事では「収納のしやすさ」にスポットライトを当てています。
のれせんのサイズは、258(幅)×105(高さ)×255(奥行)ミリ。
つまり、体重計ほどの大きさです。
究極は脱衣所に置きっぱなしにしても、オッケーなサイズ感です。
習慣化のカギは「すぐに使える」ことと「なるべく目につくところにある」こと。
そういう意味で、機能性だけではなく、習慣化の点でも秀逸だと感じています。
この習慣化について、さらにもう1つ付け加えるならば、体重計の “サイズ” だけではなく、「お風呂から上がったら、すぐに乗る」という行動のデザインがポイントです。
今までの扇風機はいつ使っても良いのですが、逆に言えば「使いどころを失ってしまう」可能性がある。
しかし、風呂上がりにフォーカスすることで使う時間がハッキリするわけです。
そして、風呂上がりの最初に体重計に乗る人も、「先に涼みましょう」と訴求することで、何よりも最初に「風呂上がりにすること」としてのポジションを獲得できる。
その上で、体重計の機能を搭載すれば、扇風機が体重計の市場を飲む可能性だってあるわけです…
このように、今までなかったような商品を投入する際は、「時間競合」を意識することが重要となります。
分かりやすい例としては、お酒と車は競合します。
(「飲んだら乗るな」だからです)
のるせんのように「風呂上がりに最初にやること(最初の時間)」を押さえることで、他の市場を奪うこともあるし、既存の自社商品が新たな習慣の変化で奪われることもある。
ちなみに朝活は夜のマーケットを奪ったという見方もできます。
また、温暖化によって残暑が長く続く昨今は、夏に秋のマーケットが奪われているわけです。
また、習慣とはゼロからつくるより、何かの習慣に上書きする方が楽にできます。
例えば、私が炭酸水を飲むようになったのは、風呂上がりのビールを平日は炭酸水で代替しようと思ったことがきっかけでした。
ですから、新しいタイプの商品を投入する際は、何かの習慣の上書きすることを狙っていくことが上策です。
逆に自社の既存の商品が新習慣によって他のカテゴリーの商品に市場を奪われる場合もありますので、「時間」「習慣」という観点も含めてマーケティングしていくことが肝要でしょう。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました😊