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サーキュラー・エコノミーの近未来

column vol.724

暑い日が続きますが…、中国では6月以降、河北省雲南省最高気温44度超を観測するなど記録的な熱波に襲われており、政府が注意を呼びかけているそうです…(汗)

こういうニュースを耳にするたびに「地球温暖化対策」という言葉が頭に浮かびますが、我が国の現状は一体どうなのでしょうか?

経済産業省は2020年5月、日本の循環経済の道標と位置付ける「循環経済ビジョン2020」を公表しました。

それから2年

その間、日本では

【2020年10月】
政府が2050年までのカーボンニュートラルを宣言
【2021年1月】
「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」を公表。  
…経産省が世界初となるサーキュラーエコノミーに特化した企業と投資家などの対話・開示ガイダンス
【2021年3月】
経産省・環境省・日本経済団体連合会による循環経済パートナーシップ(J4CE:ジェイフォース)が設立
【2021年4月】
プラスチック資源循環促進法が施行

というように、この2年で日本のサーキュラーエコノミーを取り巻く環境は急速に変化してきました。

〈Forbes JAPAN / 2022年7月15日〉

そして、最近のトピックは、経産省が2022年5月に開催された産業構造審議会総会の中で、新たに「成長志向型の資源自律経済の確立」という考え方を打ち出したことでしょう。

こちらはどのようなものなのでしょうか?

特定の国への依存率を下げる

コロナ禍ウクライナ侵攻など国際情勢の変化により物資や資源の供給リスクが高まり、今後も世界人口や資源利用の増加が見込まれる中、まずは特定の国に対する物資や資源の依存率を下げ、より自律的で強靭な循環経済システムを構築する。

そして、日本モデルの技術・制度・システムの海外展開などを通じて、他国にとっての不可欠性の確保国際競争力の向上持続可能な成長を目指す。

これが、「成長志向型の資源自律経済の確立」の基本的な考え方です。

プラスチック分野は過去からの蓄積があり、リサイクルの技術や関連のビジネスモデルは既にありましたが、さらに、プラスチックのケミカルリサイクル・マテリアルリサイクルなどの実証再利用に向けた新技術の研究開発に注目が集まっています。

そして、2019年に設立されたCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)などの企業間連携も目に見える形になってきました。

企業ということで言えば、製造分野だけではなく、金融界でも新しい動きが見られます。

三井住友海上火災保険あいおいニッセイ同和損害保険が今年の4月1日からプラスチック資源循環促進法に基づく環境配慮設計の認定を取得した中小企業などに対して、一部の賠償責任保険の保険料割引制度を導入すると発表。

サーキュラーエコノミーへの移行を後押ししようという動きが生まれつつあります。

そして金融と言えば、ESG投資が進んできており、先述のサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンスにもあるように、企業と投資家が循環経済のビジョンを語り合う場が増えてきています。

加えて、企業間だけではなく、神戸市など自治体が旗を振って、競合の関係にある企業を巻き込む形サプライチェーン全体での取り組みなども進んできている。

革新は加速していると感じますね。

「可視化」する循環社会

サーキュラーエコノミーへの転換を企業がどのように設計し、実現するのか

重要になるのが「人材育成」です。

そして、サステナブルな商品の「可視化」が要となります。

一方、こここそ課題であり、生産にコストがかかり商品価格も上がるため、その価値を見出せないという消費者が多いのです。

そんな中、コカ・コーラは2025年までに全てのペットボトル商品にサステナブルな素材を使うことを目標にしています。

そして、消費者にその価値を理解してもらうため、ラベルレスボトルの開発などで、商品価格を変えない形で「可視化」をしているのです。

また、また日本航空では、再生ペットボトルを100%取り入れ、成田空港でもリサイクルを実施。

機内食のメニューもこだわっていて、例えば、麺つゆなどの液体はジュレにすることでプラスチック容器の削減へと繋げています。

消費者のリテラシーが高めることも企業の努めで、それがないと努力が報われなくなってしまう可能性があります…。

WWFジャパン プラスチック政策マネージャーの三沢行弘さんは、今年2月に行われた「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」の中で

企業はプラスチック削減に向けて、生活者に届くような取り組みを試行錯誤し、とりあえず何か始めることが大切。また国はそういった企業を積極的に支援するべき

と指摘。

官民一体となった啓蒙活動が求められていくでしょう。

ハイブランドが目指す「透明性」

最後は小売業の話題から。

LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンなどのラグジュアリー企業が結成したオーラ ブロックチェーン コンソーシアム(ABC)は、イギリスのチャールズ皇太子が持続可能な未来のために設立した「イニシアチブ ファッションタスクフォース(SMI)」への参加を発表。

ABCが開発を進めるブロックチェーン技術などを共有し、業界の透明性トレーサビリティー(生産履歴)を推進します。

もともとABCは、メタバースNFT関連を含む技術開発に取り組んでおり、加盟メンバーに対しては、原材料からエンドユーザーまでの製品の追跡が可能となる独自のデジタルIDを取得するサポートを提供。

ABCと手を結んだSMIマルケッティ議長

オーラ ブロックチェーン コンソーシアムの技術は、業界における透明性イノベーション、そして業界内の連携に貢献してくれる。

とコメント。

ABCダニエラ・オット事務局長

私たちのブロックチェーン技術やNFTソリューションを通じて、SMIを支援できて光栄だ。共通のビジョンに向けてともに循環性トレーサビリティーを推進していきたい

と応えています。

サステナブルというテーマにおいて、社会的に厳しい目が向けられているアパレル業界だけに、こういった先進的な取り組みが実を結ぶと良いですね。

サーキュラー・エコノミーの現在地から映し出す近未来は明るいものなのか?

それは一人一人のリテラシーにかかっているというわけですね。

非常に勉強になります。



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