小売業「オンライン」最新トピックス
column vol.121
昨日、「西友」売却のニュースが舞い込んできました。ウォルマートが西友の株式の85%をアメリカの投資ファンド「KKR」とIT大手の「楽天」に売却。今後、西友は楽天のノウハウを取り入れ、ネットスーパーの事業などを強化するそうです。
〈NHK / 2020年11月16日〉
新たなキャッシュレス決済の導入や、オンラインと実際の店舗を融合したサービスなど、OMO(Online Merges with Offline/オンラインとオフラインの融合)が進行します。アマゾンとライフの協力に続き、見逃せないトピックスです。
ということで、本日は久しぶりに小売業のデジタルシフトの最新トピックスをご紹介します。
インフルエンサーが出張「ライブコマース」
もともと西友と同じ西武グループだった「パルコ」が、出張型ライブコマースアプリ「Shopshops」とタイアップした大型イベント「SHIBUYA PARCO × Shopshops SPECIAL 4 DAYS」を開催。
中国をはじめ海外の視聴者に向けてライブ配信を行いました。
〈Forbes JAPAN / 2020年10月19日〉
コロナ禍で海外のお客さまの来店が難しくなっているので、ライブコマースはとても効果的。この試みはとても良いと感じました。
ちなみに、mashroomのユーチューブチャンネルにこの時の模様が上がっていたので、ご興味のある方はぜひご覧くださいませ。
〈mashroom / YouTubeチャンネル〉
以前、同店の「PARCOオンライン商店街」を紹介しましたが、PARCOのライブコマースはとても参考になるので、これからも注目したいと思います。
「在庫ビジネス」に大注目
注目と言えば、アパレル業界の売り上げが厳しい中、売れ残りの在庫を買い取って安値で販売するビジネスが急伸しているそうです。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2020年11月15日〉
在庫販売を個人に任せるサイトも利用が急増しているようで、在宅での副業に最適。月100万円を売り上げる人もいるそうです…(驚)!
特に今年はコロナがあったので、この傾向に拍車がかかっています。
約1000社のアパレルメーカーなどが卸元として登録している在庫商品の取引サイト「スマセル」では、商品を仕入れて販売する会員が今年春から4倍以上増えて約3万人に。サイトでの取り扱い金額は今年に入って6倍増とのことです。
売れ残りについては、環境面での配慮も必要となります。2年前、バーバリーが42億円相当の売れ残り商品を焼却処分していたことが発覚し、消費者から厳しい声が集まりました。
これまでもnoteの中で、3Dプリンター技術や、100%リサイクル素材など、製造の工程での解決を目指す記事を取り上げてきましたが、なかなか難しい問題ですし、発注数の的中率を高める方策も一朝一夕では築けないと思いますので、小売企業もしばしこういったサービスに頼ることになるでしょう。
ZOOMで訪問販売の原点に立ち戻る
マスクの着用もあり、消費が減少しているコスメ業界にあって、いち早くオンラインの美容カウンセリングを始めた「ポーラ」。現在では1,000店舗以上で導入されているそうです。
〈プレジデントオンライン / 2020年11月5日〉
記事によると、メイクアップ化粧品の購入頻度が「(とても)減った」の回答が5割を超えたことに対し、素肌に関するスキンケア化粧品の購入頻度は「(とても)増えた」が32%と約3人に1人。
別の調査でも、50歳未満の女性の約4割が、スキンケアや基礎化粧品を「高価なものに変更している」ことが分かりました。
つまり、「盛る消費」は減少しているものの、「すっぴん力消費」は伸びているのです。ただし見た目に分かりやすいメイクとは違い、ケアは上手にできているか分かりにくいところがあります。
そこをサポートしようとするのがポーラの取り組みです。5月に無料のオンラインカウンセリングをスタートさせ、人気を集めています。
オンラインでのカウンセリングは難しいはずですが、それを可能にしてしまうのが訪問販売で磨き上げたポーラの接客力。記事でSWOT分析が挙げられていましたが、外部環境や強みなどを整理して実施したとても良い施策だと感じます。
小売業(…だけではないですが)は、コロナ感染の第3波に恐々としています。DXは欠かせない方策だけに、一刻も早く推し進めなければなりません…。
もちろん、予算、体制を整えるのは本当に大変です…!しかし、なんとか知恵と行動力でこの難局を乗り越えられたらいいですね。
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