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これからの時代を導く「リーダー」とは

column vol.397

昨日テレビを見ていたら、日本の経営者の「多様性の乏しさ」を指摘する政府の見解が目に飛び込んできました。

日本の経営者は転職経験がなく、生え抜きの男性多い。

ゆえに、企業の生産性の向上において「多様な人材による組織を実現させるための雇用の変革が急務だ」と、西村経済再生担当大臣が立ち上げた研究会が報告書をまとめたのです。

〈NHK / 2021年8月21日〉

今後は、性別年齢などの多様性を重視し、激しいグローバル競争の中で競争力を確保していくため、さまざまな経験を積んだ経営者の比率を高めるべきだと主張されています。

さらに、新卒一括採用終身雇用年功序列といった日本型の慣行も改め通年採用の実施中途入社、女性、若者、外国人など多様な人材による組織を実現するための雇用の変革を進めることが必至であると指摘しているのです。

話としては目新しいものではないですが、研究会が改めて主張するのは、それだけ日本経済が硬直化しているからでしょう。

私個人としては、多様性のあるリーダーということで、今注目しているのが「越境的キャリア」です。

「創造と変革のリーダー」の特徴とは

経営コンサルティング会社、A.T.カーニー滝健太郎プリンシパルは、社会で活躍する「創造と変革のリーダー」に共通する点として自らのパッション(志)を明らかにし、エッジ(長所)を把握していると指摘。

その上で越境的学習によって多彩な能力を得ようとしていると語っています。

〈NIKKEI STYLE / 2021年8月19日〉

例えば、ビジネスの仕事をしながら、デザインスクールに通い、その後、デザインファームで研鑽を積み、今は「ビジネス×デザイン」の融合領域で働く人がいたり。

スタートアップのリードエンジニアでありながら、顧客の求める最善の会計ソフトウェアを理解するため、自らが簿記資格まで取得する人もいたり。

自らの立ち位置(職種)を越境して、多彩な能力を身につけている人が多いのです。

大手の中にはジョブローテーションなどを行い、さまざまな部署(仕事の種類)を経験させている企業もありますが、その経験値を上手く体系立てられているかというと疑問が残る企業が多いのではないでしょうか?

これからの時代にどんな能力が求められていてどんなリーダーを目指せば良いのか

その全体像を見える化することが、まずは大切だと言えます。

新しい時代のキャリアと軸づくり

それらの全体像が、非常に上手くまとまっているがあるのでぜひこちらをご覧ください。

図1

これまでの「文系(事務系)・理系(技術系)」「業種(金融、通信、製造業……)」「職種(営業職、企画職、エンジニア職……)」「日系・外資」「総合職・事務職」といった軸でした。

しかし、これからは「人材タイプ」「スキル/エッジ」「活躍する組織」「活躍する場所」「将来のポジション」の5つそれぞれでどこに軸を置くかが重要になります。

そして、軸を置きながらも、なるべく多くの立場や能力にタッチしていくことが必要です。

もちろん、自分が越境的学習によって身につける能力もあれば、他の社員の力を活用する能力もあるでしょう。

分かりやすい例を挙げると、T字型1つの専門分野に加えて幅広い知識を持つ)人材です。

最近では、π字型(パイ字型。幅広い知識を持った上で、2つの専門分野を持つ人材)やBTCBusiness/Technology/Creativeのバランス型)というタイプも生まれてきました。

専門性に対してどこまでフォーカスするかは個人差がありますが、大なり小なりでバランス力が求められることは間違いないでしょう。

つんく♂さんが先週TBS系の「日曜日の初耳学」に出演していたのですが、これからの時代に求められるアーティスト像の中でも「バランス力」を挙げていらっしゃいました。

ビジネスパーソンアーティスト変化が激しい時代100年生き続けるためには人材としての「サスティナビリティ(持続性)」が必要だと言えるでしょう。

リーダーは孤独になる覚悟が必要

自分のパッション&エッジ自己多様性を磨くことに加えて、あと2つ欲しい視点があります。

1つは「孤独になる覚悟」です。

「尊敬されたい」「『すごい』と思われたい」というのは、誰もが願う心理。私も同じです(笑)

しかし、『リーダーの仮面』の著者、安藤広大さんによると「リーダーがメンバーと仲良くなることを否定し、距離を置くこと」を推奨しています。

〈Forbes JAPAN / 2021年8月9日〉

その元となっているのは『識学(しきがく)』という意思構造学の理論。

識学は、組織内の誤解や錯覚がどのように発生し、どのように解決できるか、その方法を明らかにした学問です。

例えば、社長が「従業員と仲良くなりたい」と思っていることで起こるエラーがあります。

それは、みんなの顔色を伺って思い切った意思決定ができないということです。

もちろん、仲が良いことに越したことはないのですが、メリットと同時にリスクも生まれるという事実を受け止めないといけないということです。

以前、【「世渡り」の再考】でも書きましたが、これまでは会社が存続する前提で組織が成り立っていましたが、これからの時代は「存続しない前提」に立たなければなりません。

リーダーは自分が好かれることよりも、組織存続のために決断、行動をしなければなりません。

時には賛成と反対が真っ二つに分かれている中で決断しなければならない時もあります。

その際は「いかに嫌われないか」よりも「いかに会社の未来にとってふさわしいか」で選ばなければなりません。

もちろん、自分の決断に対して反対意見を持つ社員に対する説明などは必要でしょう。

でも、それも自分のことを嫌いにさせたくないではなく、あくまでも全社が協力し合って、共に成果を生み出すために行うことが肝要です。

ちなみに、リーダーの覚悟という点を学ぶにあたって、柳井正さんの【経営者になるためのノート】は最高です。

私はこれを読み返すたびに、柳井さんから怒られている気持ちになります(汗)

ということで、本日のコラムは99%自分に言い聞かせて書いているというのが本音ですので、私の内省録として読み続けていただけるとちょうど良いかと思います(笑)

社員を信じ、期待し、任せる

孤独への覚悟とともに必要となるのが「エンパワーメント」でしょう。

能力開発権限移譲という意味のエンパワーメントですが、要するに社員を信じ、期待し、任せることが重要です。

社員は一人ひとりが必ずリーダーよりも優れた点を持っています。その点を引き出し活かすことがチームプレイの最大の要点だと言えます。

ちなみにですが、エンパワーメントということで面白いと思ったのが、ビジネスインサイダージャパン【給料を2倍にしたら、会社が変わった…売り上げアップ、家を買う社員激増、出生数も10倍に】という記事です。

〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2021年8月18日〉

6年前、クレジットカード決済会社グラビティ・ペイメンツの創業者兼CEO、ダン・プライスさんは、120人の社員の最低年収を7万ドル(約770万円)に引き上げ、話題になりました。

そのためにプライスさんは自身の100万ドル(約1億1000万円)の給与を減額

シアトルに拠点を置く同社の初任給は、かつてはおよそ3万5000ドルで、会社を発展させるには全ての社員が自分の生活を維持できるだけの収入を得る必要であると考え、社員の給料を2倍にしたのです。

すると、同社の収益は急増し、子どもをもうける社員家を買う社員増加。ちなみに、社員の出産数も10倍にもなったとのこと。

さらに、昨年パンデミックの影響で同社の売り上げが50%減少した際に、社員が進んで給与カットを受け入れたことで、苦しい時期を乗り切れました。

その後、プライスさんはカットした給料を社員に払い戻したそうです。

とても淡々と書かれた記事でしたが、ただ、給料を上げたから好転したという話ではないと思います。

皆さんは、このプライスさんの決断をどのように思われたでしょうか?

リーダーといえば、本日は我が横浜市の市長選挙が行われています。

先ほど妻と投票してきましたが、選ばれたリーダーにはぜひ良い未来に導いていただきたいですね。

それでは、また明日。本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

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