リーダー必見!「共感力」の磨き方
column vol.697
昨日お話しした【VUCA時代の「人材育成」戦略】の中で、次世代リーダーは「共感力」が大事であることについて言及させていただきました。
最近では、よく「サーバント(奉仕)リーダー」という言葉で表現されており、米・アップル社のティム・クックさんなどが代表例として挙げられています。
私は記事の中で「共感力は磨かれる」と語りましたが、今日はそのポイントをお話ししたいと思います。
共感力を磨く前の「前提」
私は運の良いことに30歳ぐらいの時には職種リーダーやプロジェクトリーダーを務め、今では曲がりなりにも副社長を経験し、その中で気づかされた教訓が1つあります。
それは…
人の気持ちは分からない
…いや、違うのです…、ネガティブな話ではなく、「人の気持ちは分からない」という“前提”に立った方が良いということです。
このことは、NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ経営コンサルタントの横山信弘さんも指摘しています。
〈東洋経済オンライン / 2022年6月24日〉
いろいろな経営者と話をするが、「社員のことは私が一番分かっている」という話をよく聞く。本当にそうだろうか。社員からヒアリングすると、その実態がかけ離れているケースもある。こういう人は共感力が低いのだ。
経営者に限らず、「私はみんなの気持ちが分かる」「心が読める」と思っている方はちょっぴり問題が起きそうな予感です…(汗)
私もかつてそう思っていた時がありましたが、今振り返ると「自分の都合の良いように解釈していた」と感じています。
人の気持ちはそんなに簡単なものではない。
人はとても多面的で複雑で、場合によっては自分でも気づいていない面すら多くあります。
ただ人間関係に合わせて数多ある面のうち、一つの面を相手との関係やその人のキャラクターに合わて表に出しているだけ。
ですから、自分が見ているその人だけが、決してその人ではないと思うのです。
言われてしまうと当たり前の話なのですが、意外と忘れがちになる事柄でもあります。
また、自分との関係であっても、相手の気分や環境(仕事中?プライベート?)、日々の成長などによって変化するものです。
今、目の前にいるその人は1000あるうちの1つでしかない。
しかも、それは常に微妙に変化する。
「分からない」という前提に立つことが重要なのです。
もう一つの共感を重視する
それほど共感することは難しいと思っており、だからこそ高いレベルで実現できている共感型リーダーにスポットライトが当たるわけなのです。
ですから、共感型リーダーとして成長するにあたって、2種類の共感を理解しておくと得策です。
それは、「情動的共感」と「認知的共感」です。
情動的共感は、相手の気持ち(感情)に自分の気持ち(感情)を合わせること。相手の喜びや怒り、悲しみとシンクロしていくことにあります。
例えば、
A:昨日、こんな良いことがあったんだよ!
B:えっ!それは羨ましいね!良かったね!
一般的に認知されている共感です。
一方、認知的共感は相手の気持ちを“把握”すること。
相手の気持ち(感情)の波長に合わせるわけではなく、その気持ちを理解している、もっと言えば肯定している状態です。
別に、喜ぶ相手のテンションに合わせる必要はありません。
よく言葉と気持ちは裏腹と言いますが
「嫌です」
と言っておきながら、本当は嫌ではないことはありますし、
「大丈夫です」
と言いながら、本当は大丈夫ではないこともあります。
言葉だけでなく、相手の表情や姿勢で、感情を認知する、これが認知的共感です。
一方、ここでの相手の想いは多層的です。
その時、本当に「大丈夫」という気持ちであっても、「たぶん、本当に大丈夫だから任せちゃおう」と思ってそのままにしておくと、時が経ってから「あの時、助けてくれなかった!」と言われる場合もあります。
これは、「実は大丈夫じゃなかったんだ…」とすぐに判断するのは時期尚早です。
もしかしたら、自分の「感謝が足りなかった」ことが原因かもしれません。
そうなのであれば、相手の正解は「あなたがちゃんと感謝してくれるなら『大丈夫』です」ということにあったかもしれません。
時に「大丈夫」の判断は、短期的には判断できないこともあるのです。
雑談でも「認知的共感」で考えていく
ここでポイントを一旦整理しますと、共感とは結果に重きを置き過ぎることなく、実は「姿勢が大事」だということです。
まずは、「相手を理解しようとする気持ち」が重要。
仮に相手が自分のことを理解できたとしても、ドヤ顔されたら鼻につきませんか?(笑)
相手に対して「自分はそんなに簡単ではないよ」と言いたくなる場合もありますよね。
つまり、「謙虚で寄り添う姿勢」が結構大切なのではないかというのが今のところの私の実感です。
もう少しライトな話をいたしますが、よくビジネスは「雑談力」が大事だと言われていますよね?
〈東洋経済オンライン / 2022年6月24日〉
自分が何か面白いネタを提供するより、相手の話を面白がって聞く方が良い。
ただし、無理に情動的共感で寄り添おうとしても見透かされたり、心が疲れてしまったりしませんか?
それだったら、まずは「楽しいんだな」「良かったな」と認知するだけで良いと思います。
変に気持ちまでシンクロさせる必要はないということです。
逆にその方がお互い息苦しくなく自然体で付き合えると思うのです。
全く興味のない話題であっても、興味を持とうとしてくれている、そもそも自分という存在に興味を持ってくれている、ということだけでも伝われば、それだけでも相手は好意を持ってくれると思うのです。
ゆえに結論としては
共感は ムズイからこそ 自然体
鶴亀杯にちなんで俳句で締めさせていただきました。
相手の気持ちは分からないという前提に立ち、できるだけ相手に寄り添いながら、無理をしないで続けていく。
と自分に対しての応援歌という意味も含めて、私も共感型リーダーとしての成長に繋げていきたいと思っております。
ぜひ参考までに、受け止めていただけると幸いです。
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