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個の時代を叶える「クリエイター経済」

column vol.351

noteをやっている方々には、もはや当たり前のことですが、個人が個性を発揮し直接収益を得る「クリエイター経済」が急速に拡大しています。

ただ、その収益構造がここ最近変わってきていると実感しており、ニューズウィーク【個人が直接収益化する「クリエイター経済」が、世界の経済・社会を変えつつある】という記事が、この20年の遍歴も含めて分かりやすくまとまっていたので、ぜひ共有させていただきます。

〈Newsweek /2021年6月24日〉

今回はここ最近の変化にスポットを当ててお話ししたいと思います。

よりクリエイターファーストの収益構造に

まず、FacebookInstagramTwitterなどの主要SNSには、これまで直接的な収益構造はありませんでした。

YouTubeは広告収入はありましたが、それなりのインフルエンサーになれないとマネタイズができない状況で、有名になってこそ稼げる時代でした。

そこを突いて参入してきたのが、新興プラットフォーマーたちです。

世界に目を向けると、例えば、有料ニュースレター・プラットフォームであるSubstackのライターは、購読料収入90%を受け取っており、ライブストリーミング・サービスTwitchのパートナーは、収益の半分を受け取れます。

さらに言うと、アーティスト支援プラットフォームのPatreonのクリエーターには、収益の88%から95%が支払われ、自分の「ファン」専用のコンテンツを提供できるOnlyFansでは、収益の80%が提供されているのです。

日本では、やはりnoteでしょう。

自分の売りたいコンテンツ売りたい値段で販売できることはクリエイターにとっては魅力的で、約380万人のユーザーを抱えています。

今後はYouTubeがスーパーチャット機能を実装したように、メジャープラットフォーマーたちも、新興プラットフォーマーにクリエイターを取られぬよう、クリエイターにとって収益化しやすいサービスを採用してくることになるでしょう。

クリエイター経済はステージを1つ上げることになりそうです。

イギリスではインディーズ音楽が活況

無名アーティストのアメリカンドリーム事例ということでは、アメリカではないのですが、イギリスのインディーズ音楽の盛り上がりに注目が集まっています。

〈BLOGOS / 2021年6月26日〉

イギリスの音楽業界団体、BPI (英国レコード産業連盟)と、同国のインディーズレーベルのビジネス活動を支援するNPO団体のAIM (Assosiation of Independent Music)が音楽業界の現状についてのレポートを発表。

2020年にイギリスで消費された音楽の実に26%が、インディーレーベルまたはインディペンデントアーティストの作品だったというデータが明らかになりました。

売上の内訳をフォーマット別に見てみると、インディーレーベル発の作品アナログレコード市場では35%CD売上では30%音楽ストリーミングでは24.5%ほど占有。

2021年Q1 (1-3月期)を見ると、さらに多くのインディー作品の躍進が目立ちます。

売上面を見ると、アナログレコード市場では39.8%CDでは32.5%ストリーミングでは25.8%がインディー作品で消費されました。

ここ数年はTikTokYouTubeなどのSNSを中心に活動するDIYアーティストや、アーティストダイレクト型の作品の人気が急速に拡大してきたことが主な要因でしょう。

新時代のアーティストの中で、レーベルとも契約せず、SNSやデジタルに強いディストリビューターや事務所と契約する流れが加速しています。

日本でも藤井風さんや、YOASOBIさんなど、SNSから火がついたアーティストが主流になってきていることが世界の事象と重なりますね。

無名マンガ家が世界デビュー

SNSから火がつくというのは音楽業界だけではありませんが、各メジャー企業がその時流に乗ろうとする傾向はますます強くなっていると感じます。

クールジャパンの代表格でもあるマンガの世界も同じです。

集英社が運営する1,700万ダウンロードを超える漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」と世界最大級の動画配信サービスNetflixのコラボ企画に注目が集まっています。

「少年ジャンプ+」の次世代のスター漫画家を発掘することを目的とした新漫画賞「MILLION TAG」(ミリオンタッグ)の優勝者作品をNetflixアニメとして制作し、全世界へ独占配信することを発表したのです。

〈AMP / 2021年7月3日〉

これは凄い…。ジャンプ+の連載が決まるだけでも凄いことなのに、さらにNetflixで世界デビューまでできちゃうというわけです…(汗)

ちなみに、「MILLION TAG」についてもう少し詳しく説明しますと、集英社が次世代のスター漫画家を発掘するべく開催している新漫画賞で、選抜された6名の漫画家編集者タッグを組んで課題に挑み、優勝を目指すというもの。

優勝者には「賞金500万円」と、「少年ジャンプ+での連載確約」「コミックス発売」「アニメ制作」と豪華な報酬を確約されます。

今回のNetflixとのコラボで、制作されるアニメが「全世界に向けて配信する」ことが報酬に加わり、さらにスケールアップした漫画賞となったというわけです。

ますます、個性が花開きやすい世界になったと感じます。

noteも昨年末、文藝春秋社と資本提携しましたね。「noterから芥川賞作家が生まれる時代が来る」…かもと期待で胸が膨らみますが、芥川賞のみならず、いずれこのプラットフォームからも新たなスーパースターが誕生することは間違いなさそうですね。

本当に面白い時代です。

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