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これからは「試し買い」が主流に??

column vol.758

今の時代、商品も情報も溢れる中で、ビジネスの現場では生活者とのタッチポイントをつくることが課題になっております。

「選択肢が多い」を通り越して、存在すら認識できない…。

的確な購買の決定をしたくとも、あまりの量に思考停止してしまう…。

結局は普段愛用しているブランドや商品を無難に選択することになり、高額商品ほど、その傾向は強い傾向にあるでしょう。

そんな中、消費意識に革新をもたらしつつあるのが「試し買い」です。

その変化を牽引する国内プレイヤーの一つが、「どんな製品も買わずに試せる」と掲げる家電お試しサービス「Rentio(レンティオ)」ではないでしょうか?

〈XD / interview〉

レンタルして良いと思ったら、そのまま購入

サブスクのように市民権を得る日も近いのではないかと感じています。

「試し買い」の魅力とは?

Rentioは2015年4月にレンタル事業をスタートして以降、カメラレンタルを中心に着々と事業規模を拡大。

今は家電全般自宅でお試ししてから、本当に自分に合った商品を購入できることで人気が高まっています。

その数、3,000種類以上在庫に至っては12万2,000点以上にも及びます。

例えば、ルンバ

Rentioでは、最新モデルのルンバを、1ヵ月1,980円で借りられる「おためし1月コース」を提供(2022年7月現在)。

お試しして必要ないと思えば、返却すれば良く、購入したかったら、各商品の規定日数(レンタル金額)に達すると自動的に借り手のものになります。

もちろん、規定日数に届いていなくとも、追加料金を支払ったら、その日から借り手のものに。

さらに、よりユーザーの試してみたい心をくすぐるために「お試しセット」も用意しているのです。

例えば「売れ筋集音機器 自宅で聞き比べセット」というお試しセットがあります。

「集音器」とはテレビの音を大きくしなくても、手元のスピーカーで離れた場所からテレビを楽しめるものなのですが、住環境による聞こえ方の差異や、音質、使い勝手などで好みが分かれるため、実際に使ってみなければ判断が難しい。

人気のあるモデルは20,000円以上することもあるので、なおさらです。

そこで、「聴き比べプラン」で安く試し、最適なものを購入する。

これは、もちろんユーザー側に大きなメリットがあるサービスですが、企業側にもマーケティングの場として非常に利点があるのです。

なぜなら、たとえネームバリューの無い新興メーカーであっても、品質さえ良ければ、試してもらうことで信頼を勝ち取ることができるからです。

逆に言えば、名の知れた大手企業でもウカウカはしていられない。

売り手側の意識を変えるきっかけにもなっていくでしょう。

「極端の回避性(松竹梅の法則)」が崩れる?

マーケティングということで言えば、「極端の回避性(松竹梅の法則)」が崩れる可能性だってあります。

極端の回避性とは、真ん中を選ぶ心理

人は値段が異なる3種類の商品が並んでいる場合、それぞれの商品について性能の違いが判断できない時は、中間の値段の商品を選ぶ傾向にあります。

1万円の掃除機、2万円の掃除機、4万円の掃除機の3つが並んでいたら、恐らく、1万円の掃除機が一番品質が低く4万円の掃除機が一番高いと人は仮定します。

1万円の掃除機よりは2万円の掃除機の方が「品質が良い」と信じ、さらに「4万円よりも安い」と思う心理が相まって、真ん中の商品を選びたくなるのです。

だからこそ、本当に売りたい商品をベースに、上位モデルと下位モデルを用意するというのはマーケティング界のセオリーになっています。

ところが、試し買いできるならどうでしょう?

それこそ、3つの価格帯のお試しセットがあれば、何の確約もない真ん中を選ばなくとも、それぞれを試してみて、費用対効果で考えて判断すれば良くなります。

例えば、映画を観る家庭用プロジェクターを買いたい場合。

比較的安い製品を買って、もしも映像の質が低かったとしたら、「テレビでも良かったんじゃないかなぁ…」と思う可能性は高い。

一方、思い切ってハイエンドなプロジェクターを購入して、心が震えるほど感動したら、「高かったけど、これはテレビでは味わえない贅沢な体験だ」と思えば、高いお金出して良かったと思うことができるでしょう。

試せず、スペックの差がよく分からないから極端の回避性が働いていましたが、お試し買いなら「本当に費用対効果の良いものを選びたい」と一層思うようになるのではないでしょうか?

そう考えると、製品開発のセオリーはきっと変わっていくでしょう。

求められる「実店舗」の魅力

そして、小売業のマーケティングを専門とする私としては、実店舗でのお買い物の魅力をより向上していきたいと感じさせてくれます。

なぜなら、実店舗とオンラインの使い分け「価格」「緊急性」が決め手と言われてきたからです。

〈ECのミカタ / 2021年10月8日〉

価格面については、安い商品ほどECで、高いものほど実店舗で買いたい。

高額商品ほど買ってから後悔したくないため、実際に目にし、手に取って判断したいと思う人が多いのです。

だからこそ「b8ta」のような商品をお店で売らずに「体験」を売る店舗や売り場が生まれてきているのですが、その様相も今後は一変するかもしれません。

※体験型店舗については、コチラをご覧くださいませ。

なぜなら、店舗に行かなくても見て、手に取れるどころか、試せてしまうのですから。

実店舗としては、より顧客の意識の中で顕在化していない潜在ニーズを掘り起こしたり、顧客に新たに興味を持ってもらえるような提案力を磨いていく必要があります。

最近では、小売企業の中でも社員インフルエンサーを育んだり、顧客を惹きつける人財づくりが盛んになってきてはいますが、まだまだ全体から考えるとほんの一部に過ぎない。

どの企業も課題として認識しているとは思いますが、ますます「実行・強化」については待ったナシになってくるでしょう

いろいろな点で、今後の消費のゲームチェンジャーになりそうな「試し買い」サービスに引き続き目が離せません。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。



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