見出し画像

日本人の「熱中力」に光

column vol.166

明けましておめでとうございます。新年も何卒よろしくお願いいたします。

横浜は澄み切った青空が広がっています。昨日は東京で新型コロナウイルスの感染者が過去最多の1,337人を記録し、初の1,000人超となってしまっただけに、元日の今日はめでたい話をお届けいたします。

ずっと取り上げたかった話なのですが、2020年のノーベル経済学賞を受賞したポール・ミルグロムさんとロバート・ウィルソンさんの「オークション理論」ですが、実は日本の築地市場が影響を与えていたらしいのです。

〈東洋経済オンライン / 2020年12月10日〉

「それぞれが独立し、全体が調和する」築地市場

オークション理論でまず頭に浮かぶのが「競り上げ式」。競りで一番高値で買う人が落とせるというのもの。その逆が「競り下げ式」バナナの叩き売りが有名ですね。

ミルグロムさんとウィルソンさんはオークション理論の発展したことと、今までオークション理論が根付いていなかった分野に展開できたことを評価されました。

そして、東洋経済オンラインの記事によると、ミルグロムさんは1998年に来日した際に築地市場を見学し、「巨大な市場が実用的かつ迅速に機能している、その”競り”を驚嘆しつつ眺めていた」と語ったとのこと。

同時進行的に行われ、それぞれが独立しつつ全体が調和する結果を生み出す、その巨大な”経済装置”が、その後の理論構築に影響を与えたというわけです。

記事では、逆にそれだけのオークション装置を持ちながら、他分野の展開がままならなかった日本の現状に触れていますが…(汗)、ただ、まぁ…外の目だから気づくこともあり、日本も世界から学んで自国で発展させたものもあるので、持ちつ持たれつであるということにしましょう。

日本人の強みは「傾聴力」

続いても、外から目線で日本人の魅力を掘り当てたいと思います。皆さんご存知のロバート・キャンベルさんの指摘です。

〈MASHING UP / 2020年11月11日〉

「次世代消費のあり方」について語られた記事の中で、日本人の持つ「傾聴力」について触れられています。

企業活動や消費においてますます「サステナビリティ」が求められる昨今、2017年、「ダボス会議」で予測された、SDGsを実行することによる利益年間12兆ドル(約1,260兆円)にも上ります。

それでも、日本でイノベーションが起こりにくいのは「極度の安定志向」が蔓延っていることを指摘した上で、日本人の持つ傾聴力についてこのように語られています。

「例えば、昨今のコロナ禍では、駅や電車でほぼ100%の人がマスクを着けています。それを協調性というのは簡単ですが、それだけではないと思います。どこかで周りを360度見つつ、社会の空気を感じながら、自分で選択することができているからこそだと思います」

日本人はダイバーシティが社会にとって起爆剤になると皆知っており真面目に正しいことをやりたい意思を持っている。あとは一歩を踏めるための仕組みづくりを構築できれば、日本人の良い意味でのマジメ気質が活きるのではないかということです。

私は基本的には長所と短所は表裏一体だと思っています。

イノベーションにおける日本人の傾聴力は「安定志向」という短所で語られる場合が多いですが、その特性を活かす環境整備が整えば、「協調的実行力」という長所に繋がるわけで、日本人に合ったイノベーション方法を構築できれば、この国の肯定感はもっと上がるのではないでしょうか。

世界を席巻する日本の「オタク」力

日本のマンガ、アニメ、ゲーム、アイドルなどが世界を席巻していることは皆さんご存知だと思いますが、日本人の「オタク」力は凄まじい魅力です。

サブカルチャーだけではなく、「電車」「歴史」「家電」など、何かにグッと入り込む「熱中力」は、なかなか貴重に感じています。

テレビ朝日「アメトーーク」「○○○」芸人がウケることが、それを象徴しています。ですから、個人的には個々人に眠るオタク力(熱中力)を伸ばす教育に切り替わっていくと良いと思っています。

ちなみに、オタク力を活かしたトピックスも豊富です。

まずは、100万人が訪れる世界最大級のバーチャルリアリティ(VR)上のイベント「バーチャルマーケット5(Vケット5)」が先月行われましたが、ビームス店舗ももいろクローバーZのリーダー、百田夏菜子さんが登場。

〈WWD JAPAN / 2020年12月26日〉

アイドルと仮想現実という親和性を上手く融合させた面白い取り組みです。

そして、個人的には何と言っても「ガンダム」です。地元横浜港の山下ふ頭に実物大の動くガンダム(全長18メートル・重さ25トン)が降臨しました。

〈東洋経済オンライン / 2020年12月26日〉

テクニカルディレクター・石井啓範さんは日立建機に20年近く勤めてきましたが、このプロジェクトのため退職。安定を捨て「ガンダムを造る」という子どもの頃からの夢を実現しました。

同世代の熱意ある挑戦に心が震えます。

後輩が早々に見に行こうと近くまで行ったら、かなりごった返していたようで断念。私はそれを聞き、傾聴力をもって、しばし見たい気持ちを自制し、落ち着いた頃を見計らって行きたいと思っています。

ということで、2021年記念すべき最初の投稿をお届けさせていただきました。

今年は昨年以上に読んでくださる方々の一助になるような記事アップに努めます。ぜひぜひ引き続き何卒よろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?