小売業は「人」こそカギ
column vol.1001
昨日の1000回目の投稿では、多くのnoterさんからスキやコメントをいただき感無量です🙇
嬉しい気持ちをエネルギーに変え、新しい一歩を踏み出していければと思っております。
次の1000回への最初の一歩と考えると、やはり原点回帰ということで「小売業」についての話をさせていただきます。
1回目の投稿で
と言うてますので、その価値とやらについて考えてみることにします。
3年間、思考してきた結果、やはり「人」ほど価値があるものはない。
それは今後のAI時代の本格的な到来を見据えても同じかもしれません。
まずは、コロナ禍で生まれた新しい傾向についておさらいしたいと思います。
オンラインシフトで顕在化した「人の価値」
ステイホームを余儀無くされた2020年、一気に進んだのがDXでした。
小売の世界でもオンライン接客が各企業で次々と導入されましたね。
その代表例が「スタッフスタート」です。
〈PRESIDENT Online / 2023年4月28日〉
今まではECとリアル店舗は競合関係にありました。
それは同じ会社でも一緒で、例えば実店舗で懇切丁寧に接客したのに、同社のECで購入されれば、実店舗の得点にはなりません(ECチームの売上になります)。
しかし、スタッフスタートでは上記の場合、実店舗の得点になるような仕組みになっています。
その仕組みとはこちらです。
つまり、リアルの場で接客力を磨いたスタッフがオンライン上でも接客する。
そして、良い提案をしたスタッフからオンライン上で購入することで、その人の得点になるわけです。
これによって何が起こったのか?
それは、優秀なスタッフ(努力するスタッフ)がよりフューチャーされるようになったのです。
今までは例えば横浜店だった場合、基本的には横浜のお客さましか接客できませんでした。
しかし、スタッフスタートを利用し、オンライン上でも接客するようになると、全国のお客さんとつながることができる。
そうなると超人気スタッフが生まれるわけです。
実際に、ある人気スタッフが別の店舗にヘルプに行ったら、そのお店の1日の最高売上を更新したという実績もあるとのこと。
さらに、1回のコーディネート投稿で約8100万円のEC売上を叩き出したスタッフもいらっしゃるそうです。
そうなると、東京も地方も関係なくなる。
どこにいても素敵スタッフはスターでいられるのです。
「川上の人」への接客ニーズ
「人の価値」ということでいえば、百貨店の外商スタッフからこんな話を聞いたことがあります。
という依頼が増えているそうです。
これはどういうことかというと、バイヤーがどういう基準と想いでその商品を仕入れたのかというバックストーリーをお客さんは求めているのです。
それも含めて購入の判断材料にしているというわけです。
そうしたニーズに呼応して、最近ではつくり手と直接つながる仕掛けづくりが増えてきています。
最近の事例でいえば、青山に誕生した「ネオンサイン」の直営店。
こちらはデザイナー自らが接客するサロンとして注目を集めています。
〈WWD JAPAN / 2023年4月28日〉
デザイナーの林飛鳥さんの制作現場を兼ねたサロンが先月28日にオープンしました。
5月3〜7日は通常営業し、以降は不定期での営業になるそうですが、平日の来店は1日1組限定のアポイントメント制。
ここでお客さんは林さんのファッション哲学や、商品に込められた想いを思う存分聞くことができるのです。
このように商品を製造する、セレクトする、そうした商品流通の「川上の人」と直接つながりたい人が増えています。
商品に単なるモノではなく「意味」を求めている。
機能だけではないつくり手や選び手の哲学やセンスに触れながらモノを楽しむ時代であるということが分かりますね。
こうした川上の人との接点もオンラインがあることでつながりやすくなるでしょう。
AI時代のオンライン接客2.0
というわけで、センスや提案力、キャラクターなどを磨いていけば、DXを味方にすることができるのです。
一方、そうなると優秀な人(素敵な人)が総取りする時代になるのではないか?という心配もあるでしょう。
…確かにそういう面もありますが…、AIの進歩が著しい今日において普通の人でも光明もあるかと思います。
それは名付けて「ニッチ&ディープ戦略」です。
これは99%の人に響かなくても、1%の人に深く刺さるセンス(価値)を発信するというもの。
これまでは狭い商圏の中で商売しないといけなかったのですが、先程DXによって場の制約がなくなったことを確認できました(全国に接客を広げることができる)。
そうなるとどうでしょう?
日本の人口は約1億2千万人います。
1%でも120万人に深く刺さるというわけです。
いやいや、それでもデモグラとか考えると…という声が聞こえてきそうですが…(汗)
世界規模で考えたらどうでしょう?
私はAIの進化でより世界はシームレスになると思っています。
GPT4の翻訳レベルは相当上がってきていると感じます。
近い将来、かなり高いレベルで他国の言葉に翻訳できれば、テキスト上でのコミュニケーションの壁がなくなりますし、Zoomなどのオンラインミーティングアプリでも同時翻訳字幕機能が実装されてされていくでしょう。
そうなると80億の1%、つまり8000万人に深く刺さるということになります。
…いやいや物流の問題があるでしょう…という声もあると思いますが…
最近はSNSで発信するためのバーチャルファッションや、メタバース上でアバターに着せるデジタルファッションなど、商品のOMO化(オンラインとリアルの融合)も進んでいます。
きっともうすぐリアル服だけを売るアパレルスタッフという世の中は終わっていくでしょう。
そうなれば、さらに場の制約はなくなります。
と少しSFの話に聞こえるかもしれませんが、DXの推進は実は「人の価値」を顕在化させるというパラドックスを感じていただけたら幸いです。
これまでは組織の一部(一人)として会社の売りたいものを売ってきました。
今後はより「人」が起点になっていくでしょう。
もちろん、信じるか信じないかはアナタ次第です👌
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