魅力的な「ワンチーム」になるために
column vol.462
今週は上期の評価についてのフィードバッグ面談があったのですが、当社では全社員と直接面談し伝えます。
もちろん、さまざまな社員がいるので、喜怒哀楽、さまざまな面談ドラマが生まれるのですが、皆を通じて多くの気づきをもらえます。
改めて大きなポイントだと思ったのがマインドシェアです。
コロナにより当社でも大胆なイノベーションを行わないといけない状況に直面しているのですが、自分の発したメッセージに対して想像以上に多様な捉えられ方をしてしまうことが分かりました。
確かに社員のリテラシーには個人差がある。
やはり、変革期は特に個々人との細かな意思確認が必要だなと改めて痛感しました。
ということもあって…、全社員面談を経て感じた反省とともに、改めて魅力的なワンチームをつくるためのヒントを本日は学びたいと思います。
組織はバランスと多様性
当たり前かもしれませんが、組織はエースばかりで集めても上手くいきません。
〈幻冬舎GOLD ONLINE / 2021年10月27日〉
『修羅場のケーススタディ』の著者、木村尚敬さんによるとM&Aなどの人員整理でもエース社員を成績順に選抜することの危険性を示唆しています。
野球でも四番バッターだけを集めたチームが意外と機能しないことは周知の通りです。
塁に確実に出る一番バッターや繋ぐ二番バッター。そして、仮に四番が打てなくても五番でなんとかする。
そういう信頼がある中で、四番バッターは活躍します。
要はさまざまな役割があって組織は回っていく。組み合わせこそが魅力的な組織力に繋がるというわけです。
だからこそ、クライアントの人員傾向も考慮しなくてはなりません。
お堅い企業もあれば、ノリの良い企業もある。多様性が組織にあることが、対応力の高い集団をつくるのだと思います。
しかし、トップがそれを忘れてついつい安易に特定の人を褒めたりすると、一気に皆がそれぞれの個性や得意領域を忘れて、その人に寄っていってしまいます。
こうして最適な多様性が壊れてしまうことをトップや上司は認識しないといけないですね。
チームづくりには「混乱」が必要
「プライベートで仲の良い組織ほどテレワーカーは孤独になる」
『テレワーク時代のマネジメントの教科書』の著者、髙橋豊さんはミッションやビジョンを共有していない仲良し組織は、距離が離れてしまうと関係を繋ぎ止めておく方法が分からなくなってしまうと語ります。
〈DIAMOND online / 2021年10月29日〉
つまり、共有していたのは空気感。
愚痴や噂話を共有することによってのみ仲の良さを保っているチームも同じです。
メンバーがお互いに理解し合い、誰もが安心して要求を言葉にでき、ぶつかり合いを乗り越えた末に高いチームパフォーマンスを発揮できるようになるためには、戦略的なチームビルディングが必要となります。
その良きお手本が心理学者、ブルース・W・タックマンさんの「タックマンモデル」。チームを次の4段階に分けています。
形成期(Forming)…チームが形成される時期
混乱期(Storming)…ぶつかり合いが起きる時期
統一期(Norming)…それぞれの役割や共通の規範が明確になる時期
機能期(Performing)…成果を出せる時期
ここでポイントになるのが、混乱期です。
チームとしてのぶつかり合う時期。ここで言いたいことを言わず、うやむやにすると空中分解するか、なあなあな組織になってしまう。
ここで膝を突き合わせて、ちゃんと語り合うことで共通の目的やお互いの要求を確認し合うことができ、組織は本当の意味でワンチームになれるのです。
テレワークで見えなくなっていたもの
私が副社長になり、最初の一年目(特に下半期)がこの状態でした。なかなか結構揉めました…。
それを乗り越えて、二年目は組織として安定していましたが、三年目でコロナでイノベーションを図ることによって、また混乱期に戻ったと感じています。
しかし、一年目と違う点は、今はリモートで距離が生まれてしまったということです。
私への不満や疑問を社員が感じていても、なかなか私に届かない。
仕事の組み合わせ上、同じクライアントを担当するチームメンバーや、ちょこちょこ出勤するメンバーとは雑談をするので、まだマインドシェアしやすいのですが、他プロジェクトのリモートメンバーだとオフィシャルなミーティングでしか会話をしないので、より深く確認し合えません。
ということで、今後はイノベーションしていく上での分科会をいくつか用意したいと思っているので、普段あまり一緒にならないメンバーとも接する機会を多くとりたいと考えております。
あとは、平行して幹部メンバーとはより深くマインドシェアをすることで、自分が介在しなくても、組織全体で意思統一できるように努めたいですね。
「認め合う」環境づくり
自分が全社員面談でもう一つ反省したのが、各社員の成長や成果がしっかりと把握できなかったことです。
評価制度も皆が出勤していた頃のままでしたが、慌ただしさに怠けて見直しを図れませんでした。
社員にとって何よりも大切なのは「レコグニション」です。
〈Forbes JAPAN / 2021年10月29日〉
社員の存在価値を認め、誰の目にも留まらない人ではないと示すことを意味する言葉となります。
社員が自分は職場で評価されていると感じれば、エンゲージメントや生産性、さらには会社への忠誠心も向上する。
人間は社会性の動物なので、認められること、愛されることが大きなエネルギーになることは誰もが想像つくところです。
しかし…、全社員面談を通して副社長という立場への認識不足に気づかされました。
私がふと発した一言が社員にとって自分の想像以上に影響を与えている部分があるようです。
何気なく誰かをみんなの前で褒めたことが、予想以上にみんなの心を左右してしまっている。
自分としてはなるべくみんなとヒエラルキーをつくらず、フラットな関係を築いてきましたが、それでも副社長になって3期目。徐々に副社長であることが定着し、影響を与える部分もあったのです。
副社長として謙虚であることと、副社長であると意識することは違う。
特に人を評価するということにはデリケートにならないといけないと思いました。
自分としては社員一人一人を尊敬していますし、社会に誇る会社にしていきたいと考えていますので、今回の気づきを活かしてより魅力的な組織をつくっていきたいと改めて心に誓いました。
なかなか難しいこともありますが…、今まで以上にがんばります!
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