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「ワーケーション時代」の住まいの形

column vol.629

今週の水木大阪・京都出張ということで、本当に久しぶりに仕事で関東を出ます。

といえ、クライアントとの打ち合わせ以外の時間は、ほぼほぼホテルに篭ってパソコンに向かわないといけないので、どこまで楽しめるかは微妙です…。

でも、いつもと違う場所に行けるので、少しはいいかな?と思いつつ、ふと「ワーケーション」という言葉が頭に浮かびます。

このワーケーションニーズを追い風にして新たな住宅の形を提供しているユニーク事例があるので、今日はそちらをテーマに話したいと思います。

「外泊」すると家賃が割引!

そのユニークな住宅の形とは「外泊すると家賃が下がる」物件。

東急が手がける「Re-rent Residence 渋谷」です。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2022年4月3日〉

この物件の特徴は、自分の部屋をホテルのように貸し出すことで、家賃が宿泊数に応じて下がることにあります。

例えば、家賃19万2000円で、割引額6000円×15日(外泊日数)とすると、実際の家賃月10万2000円に(共益費8000円と水光熱費+WiFi使用料1万5000円/月は別)。

しかも、リレントの凄いところが、仮に借り手がいない日も割引するというのです…(驚)

東急のこの覚悟に驚きです…。

訳アリ物件なのか…と思ったのですが、なかなか条件は良い

例えば、渋谷駅から徒歩5分ほどの物件について。

普通この辺ならばワンルームの場合、18~22平方メートルほどの物件が多いのに対し、リレントの専有面積は34~37平方メートルほど。

ほぼ倍の広さになっています。

しかも部屋の設備も充実していて、例えば、80インチの大型プロジェクターを設置していて、ホームシアターを楽しめるようになっていたり、机と椅子のほかにミーティング用のテーブルを設置していて、ちょっとしたオフィスとして使えるようになっていたり。

キッチン洗濯機などが設置されているので、もちろんそこで暮らすことができます。

一方で、外泊して、他人に部屋を貸したときには、運営スタッフが清掃してくれるので、ホテルに戻ってきたような感覚も味わうことができます。

家主からすると至れり尽せりの好条件です。

2021年5月に受付を始めたところ、「オレも借りたい」「ワタシも興味がある」といった声があって、募集6部屋に対し、初日だけで32件の問い合わせがあったそうです。

ワーケーション需要は拡大の一途か?

リレントはコロナ前に企画されましたが、コロナ禍のワーケーション需要も追い風となって企画が実現。

実際、アステリアサイボウズZVC Japanレノボ・ジャパンの4社の合同調査でも、そのニーズが垣間見えます。

〈travel voice / 2022年4月12日〉

全国の20~60代のフルタイムで働く就業者2000人を対象に「これからの働き方を考える」というテーマで調査を実施。

「働く場所を選ばない職種・働き方になったら、どのようなことをしたいか」の問いでは、「住まいを変えたい(23.6%)」「ワーケーションがしたい(21.8%)」「移住(海外移住、地方移住、Uターン)をしたい(21.7%)」「多拠点居住・二拠点生活がしたい(20.5%)」と、現在の生活から大きくライフスタイルを変化させたいと思っている人が約5人に1人以上がいることが分かりました。

さらに、年代別でみてみると、すべての項目において、20代が6.9ポイントほど平均より高く、若い人ほど働き方の変化を望んでいることが明らかになっています。

こういう数値を見ると、確かに東急の取り組みは、無きにしも非ずなのかもしれません。

とはいえ、まだワーケーションが一般化されていない中で、このような挑戦をすることは大変勇気のいることです。

私は、この東急の挑戦を応援したいと思います。

ちなみに、テレワークで人気の居住地の調査では、第1位「東京都(27.3%)」、次いで「神奈川県(19.1%)」「北海道(16.6%)」という結果に。

理由は「交通の便が良い」「買い物やショッピングに困らない」「いざとなったら職場に通える距離」が上位となりました。

また、人気のワーケーション先については、第1位は「北海道(27.0%)」、次いで「沖縄県(23.1%)」「東京都(15.6%)」

ワーケーションに関しては特に観光地に求める要素を重視していることが分かりました。

この第1位の北海道で新たな挑戦が見られます。

奇跡の町×無印良品の新施設

北海道と言えば、今ホットな話題となっているのが十勝地方の上士幌町なのではないでしょうか?

酪農が主な産業のこの町は、長年人口減少に悩まされてきましたが、ここ数年では反転して人口増加しています。

その要因は「子育てしやすい町」を実現し、PRしているから。

実際、認定こども園の「ほろん」では、2015年の開園時には102人だった園児が、2022年度170人に増えています。

人口全体で見ても、2015年の4886人から、2021年12月には4935人に増加。町外から移り住んだ人は2019年度までの5年間で244人にのぼり、「奇跡の町」と呼ばれるようになりました。

この上士幌町がさらに関係人口を増やそうとさまざまな取り組みをしていますが、その一つの無印良品との取り組みがあります。

働きながら余暇を楽しむワーケーションの施設を無印と手がけているのです。

〈HBC北海道放送ニュース / 2022年4月8日〉

木造2階建ての2棟からなり、宿泊機能を備えたシェアオフィスとして利用できる「無印良品の家」は道内初の試み。

空間デザインは無印良品のインテリアコーディネーターが担当。

家具や家電などの生活用品は、ほぼすべてが無印良品の商品です。

2階には宿泊用の個室が8部屋完備されていて、オフシーズンは1人1泊5700円で泊まることができるそうです。

また一つ、多拠点生活が日常に変わる一歩が見られ、非常にワクワクします。

もともとコロナ前からアドレスホッパーが増加していただけに、アフターコロナの世界ではワーケーションがより当たり前の光景になるかもしれませんね。

これからの展開に期待したいと思います。

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