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仏教から学ぶ「新しい資本主義」

column vol.473

昨日は「地球経営」という視点で話をさせていただきましたが、仏教の教えを経営に活かすという試みもあるようです。

〈日刊ゲンダイ / 2021年11月6日〉

仏教の教えを経営者向けに活用しようとする経営塾「寺子屋経営塾」が、コロナ禍の中で立ち上げたにもかかわらず、会員を増やしているとのこと。

代表を務めるのは、真言宗僧侶の足立信行さん。

高野山真言宗総本山で修行を積んだ後、葬儀社に勤務し、さらにその後システムエンジニアに転身するという異色の経歴をもつお方です。

当塾では経営者を企業や組織のマネジメントをする人と捉えず、『社会をデザインする人』と捉えます。

経営者の役割を、よい社会やよりよい国家のために能動的に動く人と定義する。

そのための知恵を学ぶことが「寺子屋経営塾」の目的です。

ここまでで「地球経営」と何か通ずるものを感じます。

どんな学びがあるのか、読み進めていきたいと思います。

「他」を大事にすることで利益がついてくる

足立さんは、経営に何よりも必要なものは「軸」だと語ります。

経営はよくX解(エックスかい)だと言われますが、確立されたメソッドがあっても、経営者が上手に運用しないと機能しない

逆に、確立されていないメソッドであっても経営者が本気で運用すれば上手くいくこともある。

自分自身の本心これまでの生い立ちなどを掘り起こし、社会に貢献していくことが経営者の役割であり、務め。

昨今よく言われるSDGsも、自然を大切にする差別をなくす貧困をなくすなど、従来から仏教が掲げていた価値観と似ているというわけですね。

仏教には普遍性があるからこそ、ともすると社会性を無視した利益偏重になりがちな経営の姿勢を正すことができるのです。

例えば、売上に対しても仏教的に考えると『お客さまへのお役立ち』と捉えます。

つまり売り上げが上がらないのは、お客さまへのお役立ちが少ないからだと。

地球環境も含めた全ての「他」にお役立ちしてこそ利益が後からついてくる

まさに、さまざまなステークホルダー(利害関係者)に配慮した「ステークホルダー資本主義」と通ずるところがありますね。

ステークホルダー資本主義で経営危機を脱出

ステークホルダー資本主義とは、自社の利益と社会の利益を両立する経済のこと。近江商人の三方よしに通ずる考え方ですが、三方どころか全方位に配慮します。

このステークホルダー資本主義を体現している一社が丸井グループ

「利益と 幸せの調和」をテーマに、「お客さま」「お取引先さま」「社員」「将来世代」「地域・社会」「株主・投資家」、6つのステークホルダーに目を向けた経営を行っております。

〈NIKKEI STYLE / 2021年11月7日〉

ステークホルダー経営を志すきっかけとなったのが、07年から7年間続いた経営危機だったとのこと。

利益は「御利益(ごりやく)」。お客さまや地域の皆さまへの「お役立ち」を忘れたことに原因があると分析されたそうです。

まずは全社的に顧客のお役立ちになることから突き詰め、そのお役立ちの熱が、地域の方々果ては地球の裏側で苦しんでいる人たちまで膨らんでいったのです。

自社の利益と社会の利益を両立するステークホルダー経営は、理想論だと語る方も当然います。

しかし、丸井グループの青井社長は短期的には難しいが、長い年月をかけて、それぞれの矛盾するところを調整すれば、実現可能ではないかと考えていらっしゃいます。

目指すは「真っ直ぐな経営」

ROEESGの両立など難しい。ESGに配慮しながら利益向上を図るには、それこそ利害関係者との根気のいる対話が必要になります。

しかし、経営のストーリーを描き、じっくりと共感を得ていく

最近では「グリーンエコノミー」という言葉が流通してきましたが、脱炭素など環境対策で、いろいろ考えていくと新たな発想やビジネスモデルが生まれてきます。

そもそも「六方よし」で考えるから、新しい着眼が生まれ、今までになかったものが生まれ、イノベーションに繋がるようにもなります。

青井社長の目指すところは「真っ直ぐな経営」

現在、Z世代の5人に1人が企業選びの軸は「社会課題への取り組み」という調査結果もあります。

会社は社員の総和。

何よりも勤めている社員が「誇り」「やりがい」を持てなければ、魅力的な会社づくりはできませんので、やはりステークホルダー経営への志は非常に共感するところです。

他にも、ステークホルダー経営を実現しようとされている方は多いので、その一例としてコチラもご覧いただければ幸いです。

真言宗僧侶の足立さんの話ではないですが、心の軸によって叶えられる経営は異なります。

私も「軸」のある経営者になれるよう日々精進しないといけないと感じた今日この頃です。

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