私が「最初のお客さま」
column vol.1146
先週末、昨年の11月に他界した先代社長・谷口正和の「回顧展」を実施。
社員やOB・OG、そして谷口が公私でお世話になった方々が集まり、旧交を温め合いました。
その時の様子を、当社の社員がnoteで記事にしてくれたので、ご紹介させていただきます。
【谷口正和が未来に残した数々のビジョン】
この記事に刺激を受けまして、私も先代から学んだ言葉の中から1つ、本日お届けしたいと思います。
それは
という言葉です。
当社では時流研究・生活者研究を徹底した上で企業のマーケティングサポートを行っていることもあり、よく顧客リサーチを依頼されます。
それはもちろん、全ての企業が大切にしていることでしょう。
一方、谷口は
とも、よく言っておりました。
最近、読んだニュースの中にも、そうした考えに通ずる話がありました。
顧客は正解ではなく「ヒント」
家具チェーンのIKEAでは「迷路型」とも言われる独特な店舗レイアウトが特徴ですが、一時期、試験的に廃止していたことがありました。
〈PRESIDENT Online / 2023年11月9日〉
それは、2015年頃のこと。
素早く買えるネットショッピングが広まってきた時期で、手短に買い物を済ませたい顧客を中心に、余分な時間を費やしているとの批判を受けることがあったそうです。
確かに、効率が重視される時代の中、迷路のような店舗は非効率。
そういった声が生まれるワケも分かります…(汗)
お客さまの声(ニーズ)は絶対です。
当然、同店も商品を素早く買い物ができるレイアウトにリニューアルしたのです。
これで、ますます売り上げが上がる、多くの社員がそう願ったはずですが、実際は思いとは裏腹に、…逆の結果になってしまいました…(汗)
…つまり、不評だったのです…
これは、多くのお客さまが実は迷路型店舗に価値を感じていたという話…
一部のクレームにより、本来の魅力を見失ってしまったということです…
こうした迷路型の店舗は、他にも「ヴィレッジヴァンガード」や「ドン・キホーテ」が人気であることからも分かるでしょう。
迷路型だからこそ、思わぬお気に入りと出会える可能性もある。
最近、流行りの「セレンディピティ」(偶然の幸福)にも通ずる話ですね。
顧客の声を自分の心に聞いてみる
冒頭の谷口の「私が最初のお客さま」という言葉は、お客さまの言葉を単に鵜呑みにしないということを教えてくれています。
そうしたことを、きちんと考えていく。
お客さまの声を自分の心に聞くことが肝要ということなのです。
と、よく言われました。
ちなみに、もう1つ谷口の考え方とリンクする事例があります。
乳幼児用品、小児用雑貨専門店の「西松屋」です。
同店では、あえてBGMを流さない方針をとっているのですが、こちらもある社員の気づきから生まれています。
〈with news / 2023年9月19日〉
同店では、2006年頃まで童謡やアニメの主題歌、同社のCMソングなどを店内BGMとして流していたそうなのですが、アメリカ視察で考え方が変わります。
訪れたチェーンストアでは、BGMがかかっていなかったのです。
そして考えます。
そうした想いを検証するため、同店では無音テストを実施。
その結果は、どうだったのでしょうか?
仮説を立て検証する
結果は、売り上げ減や利用者からの苦情といった問題は生じなかったそうです。
そして、この決断の裏には、もっと重要な顧客満足への想いがありました。
西松屋では「積極出店」と「ガラガラ経営」を両立させることを目指しているのです。
ベビーカーを押しながら買い物するお客さまにとって、混雑はできれば避けたいところ。
その想いに応えるため、同店では集客数が一定を超えたら、近くに新たなお店を出店するようにしているのです。
つまり、ゆとりのあるお買い物をしていただくことを第一に考えています。
これは、お客さまにとっては理想中の理想ですが、企業側にとってはハードルが高いこと…
集客を分散させることは1店舗あたりの利益が減ることになりますし、お店の数が増えるほど、それは苦しくなる…(汗)
だからこそ、ローコストオペレーションを徹底し、効果の見られないBGMを無くすことで楽曲の使用料をカットしたという話につながるのです。
こうした同店の「考える」姿勢が「ガラガラ店舗」という西松屋の魅力を高めているのでしょう。
仮に、お客さまの声と自分の考えが違うのであれば「ABテスト」などを行うことで検証する。
…と、若い頃、私も谷口によく怒られたものでした…😅
そんなことを思い出した週末だったのですが、谷口の過去のWORKSや手記に触れて、改めて彼の偉大さを痛感…
…あまりにも、私たちにとって大きな存在だったので
当然ですが、私は谷口になることはできませんが、一点だけ、谷口を知る人から「先代のようになったね」と言っていただきたいことがあります。
それは冒頭のリンク記事を書いた中川の締めの言葉に表れています。
「私たちを勇気づけてくれます」という一節。
谷口のコンサルを受けた多くの方は口を揃えてこのように仰ってくださいます。
社員である私もその一人です。
これだけは、きちんと継承したい。
仕事でも、プライベートでも、noteでも。
1mm、いや0.1mmでも前向きな気持ちをつくれる人に。
そんな未来を夢見て、日々「人間修行」をしていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました😊
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