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変わる「お金」の概念

column vol.265

先週、メルカリが子会社の「メルコイン」を設立し、仮想通貨事業に参入するニュースがリリースされていましたね。

〈AMP / 2021年4月3日〉

ブロックチェーンの技術によって、NFT(Non-fungible token)など、これまでのモノ・お金に限らず、サービスやデジタルコンテンツなどのあらゆる価値を誰もが簡単に交換できる新しい取引の形を創出し、さらなる顧客体験の向上や顧客基盤の拡大に繋げていきたいそうです。

これにより、例えばアート作品などがより固有性を持つことができるので、この「特別感・限定感」がより経済を活性化させることに繋がるでしょう。

しかし、ここで私個人として、一旦立ち止まりたいと思います。

そもそも「自分はお金を一体何に使いたいんだろう」かと。

年を重ねるごとに低下する物欲

「お前、ファミコン買ったこと学校でペラペラ話すなよ」

1983年、まだ小学校一年生だった私は、3つ上の兄からキツく念を押されました。

当時、豊かになった時代とはいえ、ファミコンを買える家と買えない家があり、買えない友達に対する配慮として、兄はクギを刺したのです。

もちろん、あの頃よりも今の方が格差社会は課題となっていますが、80年代圧倒的にモノ(所有)の価値が高くお金持ちは皆の憧れでした。

しかし、時代は変わりました。シェアエコノミーが台頭して、高級外車を運転することは特別なことではなくなりました。

あれから40年経った自分は本当に物欲が無くなり、今、欲しいものが特に見つかりません。

お金は「使用価値」の時代へ

ブロックチェーンの技術があれば、例えばゲームでも世界でたった1つのアイテムを作ることができ、それを得られる特別感を生み出すことができます。

もちろん資産運用的な観点から言えば価値のあることだと思いますが、個人的には世界で1つだけのレアアイテムをもつということ自体にあまり強いモチベーションが湧きません。

そんな中、ダイヤモンドオンライン【努力や頑張りではつかめない!科学的に自分を幸せにする「すごい裏技」】という記事で自分のモヤモヤしている気持ちが上手くまとまりました。

〈ダイヤモンドオンライン / 2021年2月22日〉

『99.9%は幸せの素人』という本をもとに書かれた記事なのですが、お金に対する幸福感を次のように言及しています。

「稼ぐ量を増やすのではなく、今あるお金の使い方を変えることである」

この言葉にピンときたのですが、世の中、お金を稼ぐ本などは多いのですが、お金の豊かな使い方に対する指南が少ないと感じます。

お金をどのように使うと人は豊かになれるのか。

人は何にお金を使うと幸せになれるのか?

この記事を読み進めていくと、お金を使う例としてまた共感する言葉に出会います。

「自分のためではなく誰かのために使ったお金のほうが幸福度は高くなる。例えば寄付をすることで、家庭の所得が2倍になったのと同じくらい幸福度が増すことも判明している。大切なのは使った金額ではなく使い方である」

そもそもそんなに稼ぎが無いので、正直言うと、そこまで単純にチャリティにお金を使いたいという動機が生まれないのですが、「他人のためにお金を使うと豊かになる」という部分には共感します。

改めて自分の人生の幸福感を追求すると、わずか2つに集約されると思います。

「成長」「貢献」

貢献は人の役に立ったという実感です。

ということで、今のところ自分が一番ピンとくる豊かなお金の使い方は、「人の役に立てる力を育むための自己投資金」であると結論づけました。

自分を高めることで、より貢献できる範囲を広めたいといったイメージです。

第四次産業革命を国際公共財づくりに

自分のお金の使い方が決定したところで、もう1つ紹介したい事例があります。

フォーブスジャパンに掲載されていた世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長を務める須賀千鶴さんの記事です。

〈Forbes JAPAN / 2021年4月3日〉

第四次産業革命とは、デジタル革命を大前提としており、技術が社会内や人体内部にすら埋め込まれるようになる新たな道を表しています。

先ほどのブロックチェーンや、ロボット工学、人工知能 (AI)、ナノテクノロジー、生物工学などが対象になります。

デジタル分野の向上は、人間の労働をより代替可能にし、格差社会の拡大に繋がると危惧されています。

そういった不安心理の高まりを察知して、須賀さんはダボス会議「グレートセット」を引き合いに出し、「人が本当に豊かになる社会の実現とは何か」ということを問題提起しています。

そして、デジタル革命を一部の人たちの富の独占に繋げず、持続可能な社会の実現のための国際公共財づくりに繋げたいと語っています。

自分のコミュニティの延長戦上に想いを馳せる

そして、須賀さんのこの言葉にとても共感しました。

「人は、自分のコミュニティの中に居る人、あるいは自己の延長線上だと思える人に対してはすごく優しくなれる。だから、この自己の延長線に入るものを、それぞれがなるべく広げていく努力をすることが特に成功した人に求められています」

平たく言うと「世界市民」の視点なのですが、そのためにはDXの発展に単純に目を向けるのではなく、活用に目を向けることが重要ということでしょう。

テクノロジーの進化によって、世界全体がシームレスにコミュニケーションできる時代になりましたが、まだまだ地球上にある課題と個人の実感を繋ぐパイプラインが整っていないような気がします。

須賀さんが語るようにルワンダの現実を自分のコミュニティの延長線上で見つめることができるかどうか。

ちょっと話が大仰になってきてしまいましたが、もちろん、お金の使い方に正解はありません。

ただ、使い方を学ぶ(考える)環境づくりが社会の中で広がると、より個人間での豊かさに繋がるような気がしています。

私個人としては、グレートリセット後の社会のあり方とお金の持つ幸福感の追求はとても密接に関係していると感じています。

少なくても全ての分野で価値は所有(消費)から使用に移っているような気がしています。

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