「かるみ」が「自信」を育む
column vol.517
昨日はVUCA時代は正解主義ではなく「修正主義」が最適であるという話をさせていただきました。
ビジネスパーソンにおける一番大切なマインドセットは「軽やかさ」だと思います。
変化が激しく、予測不能で、答えなない時代だからこそフレキシビリティーが求められるというわけです。
良い意味での「脱力感」。
それは柔軟性という側面だけではなく、同時に仕事のパフォーマンスを高めてくれます。
「正解主義」から抜けられないのは「失敗してはいけない」という強迫観念があるからではないでしょうか?
失敗したら、会社の中で評価が下がり、もしかしたら…最悪の事態に陥ってしまうかもしれない…(汗)
そういった心配が仕事における力みをつくってしまいます。
しかし、力みは本来、どんな分野の仕事においてもマイナスです。
例えば、スポーツの世界は言うまでもありませんが、俳句の偉人ですら、作品の最高価値はわびさびではないと言っています。
松尾芭蕉が究極に求めたのが「かるみ」。
とはいえ、真面目で責任感が強い人ほど、力んでしまうものではないでしょうか?
そこで、「かるみ」を手にするためにオススメなのが、個人の中に多様性(多面性)をつくることです。
そして、これを叶える最適な方法の一つが「副業」なのではないでしょうか?
「副業」が自信をつくる
副業の醍醐味は、自分のキャリアを棚卸しできることにあるような気がしています。
自分の「好きなこと」「得意なこと」など、本業では見えなかったものを副業が教えてくれるからです。
私は日本コンディショニング協会の広報を本業でお手伝いしたきっかけで、その協会の運動指導資格を取得しました。
内容はコリや慢性疲労、冷え性などを解消する体調改善運動です。
副業ではないのですが、せっかく手にした資格を錆びらせたらもったいないと、知り合い相手にパーソナルトレーニングをしていたら、「池さん、教えるのが上手だね」と言ってくれることが多く、そこで「教える」ということを初めて意識しました。
さらに、noteもそうです。
私の文章は決して洗練はされてはいませんが、読んでくださる方から「分かりやすい」と言っていただくことがあり、そこでようやく「ひょっとしたら自分は人に分かりやすく教えるのが得意かもしれない」という自身の鉱脈に触れることができました。
実はこれは本業では気づかなかったことで、でもよくよく考えてみたら、後輩のメンターやインターンシップの先生になる機会が他の人より多かったなぁと思い返して、なんとなく上司もそんな私の特性を感じてくださっていたのかな?と自分のキャリアとのすり合わせができたような気がしました。
それ以来、「分かりやすく教える(伝える)」ということを意識するようになり、本業の中でも活きるようになってきました。
最近では、クライアントもどんどん私よりも年下の方々が増えており、二回り近くも離れた担当者様もいらっしゃいます。
そういった方々にマーケティングのセオリーをなるべく「分かりやすくお伝えしよう」と思うようになったことで、今までよりもクライアントとの関係が良くなったのではないかなぁ?と個人的には感じています(…多分ですが…汗)。
何から始めたら良いかと悩んだら
もちろん、運動指導もnoteも、これでお金を稼いでいるわけではないので偉そうなことは言えませんが、少なくても本業という一面ではなく、多面性をつくることで、これらが困った時の自分を助けるかもしれないという淡い期待を持てるようになり、さらには本業に対しても自信が循環することで、「かるみ」に繋がっていると思います。
副業はさらにお金がついてまわるので、得られる自信はますます増えるのではないでしょうか?
ただ、一方で「好きなこと」や「得意なこと」と言われても…という方もいらっしゃるはずです。
まずは「好きなこと」の発掘の仕方で面白いなと思ったのが、放送作家であり、戦略的PRコンサルタントでもある野呂エイシロウさんの「もしも…メソッド」です。
〈マイナビニュース / 2021年12月17日〉
「宝くじで1億円当たっちゃったから速攻で会社を辞めよう。その先、なにを仕事にしたら楽しいかな?」
と妄想してみる。
「いや、それなら仕事しないよ」という声も聞こえそうですが(笑)、それならボランティアや趣味でも良いかもしれません。
例えば、「マラソン」と「スイーツ」が好きな人は、スイーツ巡りのマラニックイベントの企画・運営をやっても良いかもしれません。
(マラニックとはマラソン×ピクニックの造語で、ピクニックのようにランニングを楽しむランニングスタイルです)
今じゃSNSを使えば、簡単にラン仲間と出会える時代です。
別に儲けようと気張らなければできますし、今や散歩が副業になる時代です。
そこで何か自分の得意な面が見つかるかもしれませんし、ラン仲間が増えることで、多業種の人たちとの接点ができ、自分のキャリアの幅を広げてくれるかもしれません。
実際、私にとってのnoteは素晴らしいnoterさんとの出会いは結構なプライスレスだと感じているからです。
「得意なこと」の見つけ方
続いて「得意なこと」についてです。
これは「どんなことだったら教えられるか?」という視点で物事を考えると良いかもしれません。
例えば、話術に長けたゲーム好きの営業職の方ならゲーム実況という方向性が一つ考えられます。
自分の中にある特性を掛け算する。
もしくは本業のノウハウを体系的にまとめることも良いかと思います。
意外と普段自分がやっている仕事って何となくでやっていることが多いのではないでしょうか?
いや、後輩に教えているから、という場合も、同じ会社の人であればその業界の基礎知識もあるでしょうし、曲がりなりにもその業界に興味を持って入ってきています。
そうではなく、例えば高校生相手にあなたの持っているノウハウを興味を持ってもらいながら、教えることはできるでしょうか?
「複業先生」で自分のノウハウを深める
今、「LX DESIGN」という会社が手掛けている、教育に特化した外部人材活用サービス「複業先生」に注目が集まっています。
〈東洋経済オンライン / 2021年12月19日〉
例えば、マーケティング会社の社員が、高校生相手にプロモーションプランやクリエイティブワーク、プレゼンテーションなどを教えるのです。
同サービスの事業形態は主に2つで、1つは、「企業」と「学校」をつなぐ方法。
企業側にも人材教育メリットがあり、社員研修の一環としても利用されています。
もう1つは、応募してきた“先生”志望の個人を、学校に紹介する方法です。
参加する社会人先生は、まず高校生に対して自分の業種についての興味を持ってもらうことから始める必要があります。
これによって、社会人先生はより自分の仕事の面白さを自分自身で見える化しないといけません。
本業が持つ強みや魅力を整理することは、副業で展開した時のみならず、本業へのモチベーションにも繋がるはずです。
「あっ、マーケティングの面白さって、ここだったよな」と。日頃、ビジネスライクで汚れてしまった心が浄化される感じです(笑)
「副業」が見つける「青い鳥」
つまるところ、副業など自分の中に多様性をつくることは、さまざまな選択肢や本業で何かあった時の保険に繋がり、日々の業務での力みを無くすことに繋がるとも言えます。
そして、また他の世界を知ることで本業の魅力を再発見することにもなるわけです。
実際、私も運動指導やnoteを書くことによって、今の仕事がもっと好きになった一人です。
能力面でも、マインド面でも、外の世界で活躍することは本業に必ずやプラスになるはずです。
それは、まるでチルチルミチルの大冒険と同じです。
外の世界を冒険したからこそ、家にいる鳥が「幸せの青い鳥」であることに気づいたわけで、軽やかに副業に挑戦できるような社会のムードになることが、修正主義時代の一つのカギになるのではないかと感じる今日この頃です。
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