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「中小企業」ほど海外進出が良い理由

column vol.441

コロナの新規感染者数が減少してきた中、経済再生への期待が高まる昨今。さまざまな再生の道がありながらも、最近注目が集まっているのが中小企業の海外進出です。

〈幻冬舎 GOLD ONLINE / 2021年9月10日〉

1つはコロナによってオンライン商談が増えたということ。

日本ではトレンドが終わったと言われている商品も海外では目新しいと思われる場合は多々あります。

そもそも日本ブランドの商品・サービス・技術力への信頼は世界では未だ高い状況。他国の事業者・消費者の注目を集められる可能性が十分にあるのです。

だから、オンラインの促進により商談機会が増えることは望ましいのです。

そして他にも、中小企業に大きな追い風となる事例があります。

1つは、日本商工会議所中小企業の海外進出を推奨していることです。

日本商工会議所が後押し

同所が2020年8月に公表した「2021年度中小企業・地域活性化施策に関する意見・要望」では、コロナ危機に直面する中小企業に対し、「海外ビジネス展開支援、自由貿易体制の堅持、経済連携協定の推進」を要望項目の一つとして挙げています。

具体的には、以下の4つの事項です。

(1)グローバルな経済活動の再開に向けたタイムリーな情報提供人の往来を支える検査・医療体制の早期拡充
(2)自由貿易体制の一層の推進、日米貿易協定TPP11日EUEPAの活用促進、RCEPなどの経済連携協定の交渉推進
(3)特定原産地証明書オンライン発給の早期実現
(4)各国で感染拡大が収束し、国際的な経済交流活動が再開した際には、国内中小企業の輸出促進を図るなど、外需取込みに向けた中小企業の国際化支援の強化

ちなみに、菅前首相も昨年11月、商工会を設置する法律の施行60年を記念した式典に出席し、このようにお話しされました。

「ポストコロナの社会構築に向けて集中的に改革し、必要な投資を行って再び強い経済を取り戻していく。変化をチャンスと捉え、経営基盤を強化し、海外展開などの新たな取り組みに挑戦できるよう、中小企業を積極的に応援したい

そして、2018年に発行したTPP協定も大きなファクターになっています。

TTPが海外進出の追い風に

政府のTPP等総合対策本部によってまとめられた「総合的なTPP関連政策大綱」では、次のように述べられています。

コロナ禍でも中堅・中小企業が海外展開を進められるよう、中堅・中小企業へのEC向けの商品開発支援EEC事業者との契約締結等の支援など、専門家による支援を拡充する。

そして、海外展開に関するTPPの具体的な効果やメリットとしては、以下のような点が挙げられています。

(1)関税撤廃
自動車部品などの他、繊維・陶磁器などの軽工業品についても関税撤廃。
→中小はもちろん大企業の輸出拡大を通じても中小企業にメリットが。
(2)原産地規制の「完全累積制度」の導入
複数の締約国において付加価値の足し上げを行い、原産性を判断する「完全累積制度」を採用。
→部品などを輸出する企業にメリット。「居ながらにしての海外展開」が可能に。
(3)投資・サービスの自由化
コンビニエンス・ストアや金融業などに関する外資規制が緩和。
→食品や特産品などを生産する企業がコンビニエンス・ストアと連携することで海外展開が容易に。
(4)電子商取引に関する規定の導入
消費者が電子商取引を安心して利用できる環境の整備。
→ITを活用して、海外で商品を販売できる。「居ながらにしての海外展開」が可能に。
(5)政府調達に関する規定の導入
調達の公平性や透明性に関する手続規則が規定される。
→インフラ市場や政府関係機関の調達市場へのアクセスが改善。

「居ながら海外展開」は個人的に注目したいキーワードです。

その他、最近では全国各地で中小企業の海外進出支援セミナーも多数開催されています。

起業促進が1つのトレンドになっているように、今後は中小企業の海外進出も注目のトピックになるような気がしますね。

グローバル企業へのマインドセット

ワールドクラスの企業に成長するにはどうすれば良いのか?

大小問わず、海外進出がスタンダードな社会になるなら誰もが知っておきたい事柄です。

そのヒントがダイヤモンドオンラインに掲載されていたので共有させていただきます。

〈DIAMOND online / 2021年9月13日〉

2つの大事な要素があり、1つはコアバリューの徹底です。

デュポン「安全と健康」「最高の企業倫理」「地球環境の保護」「人の尊重」をコアバリューとして掲げ、それらを社内に浸透させるよう努力を継続しています。

社員全員がコアバリューの観点で「おかしい」と思ったら、必ず誰かに相談すること。マネージメントクラスからは常にそのように伝えられているそうです。

そしてもう1つが「リスクマネージメント」。常に「ワーストケース」を考えることが重要とのこと。

これは非常に分かります。最悪の事態を想定しながら、先々の展開をどう切り開いていくかは重要なプロセスです。

ただし、慎重になりつつも、それが保守的になってしまえば時代に取りこされてしまいます。

現にデュポンはかつて同社を象徴するナイロン事業を大胆に切り離しました

時代に合わせて挑戦的に変化する。そのことなくして企業の継続・発展はないということですね。

二律背反を制するのがワールドクラス経営

相反する2つのファクターの均衡をどう保つのか?

『グローバルとローカル』『短期と長期』『既存と新規』、そして『自社利益と社会利益』などなど、二律背反することは往々にしてあります。

仮にグローバルに展開してもローカルに適応する。

例えば昨年、CoCo壱番屋がカレーの本場インド進出しましたが、肉や魚を含んでいないカレーソースを使ったり、牛肉と豚肉をトッピングから外し、鶏肉やヤギ肉、菜食主義者向けの肉を使わないカツを用意。

あのマクドナルドですら、スパイス文化のインド進出において、メニューを改良し、ふんだんにスパイスを使うことで、成功したのです。

『自社利益と社会利益』もそうです。

自社利益を社会に還元したり、時には競合他社と共同プロジェクトを起こし、ESGに注力したり。

競合との共同ということであれば、例えば、花王ライオンがプラスチック包装容器資源循環型社会の実現に向けて、フィルム容器のリサイクルに協働して取り組んでいます。

つまりは二律背反を制することがワールドクラスの経営ということですね。

翻って日常を思い返すと、矛盾することにキ〜〜っと成りがちになっていますが、今回の事例から考えると、これは世界企業になるための宿命なんだと捉えた方が良いのでしょうね(笑)

やはり、顧客のために社会のために障がいを前向きに乗り越えていくのが世界で愛される企業の所以なのでしょうね。

非常に勉強になります。

世界企業になることは置いておいて、会社経営にとても大切なエッセンスですね。

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