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「真似」からのマネタイズ

column vol.1214

過去の成功体験に囚われるな!

ビジネスの現場でよく聞く言葉ですが、確かに「囚われる」ことはリスクですが、「学ぶ」ことは大切でしょう。

起業新規事業など、新しいことにチャレンジする際、誰もが意識するのがブルーオーシャンです。

ブルーオーシャンとは、従来存在しなかった全く新しい市場

そこを生み出す(見つける)ことで、優位に立とうとする考えです。

その逆はレッドオーシャン

競争が激しい既存市場を指す言葉です。

でも、このレッドオーシャンにも実はビジネスチャンスは眠っているのです。

えっ??新しいことやるんだったら、誰も考えつかないことを考えた方が良いじゃん!?

という意見もありますし、その視点も大切なのですが、

レッドオーシャンには必ず「エアポケット」があるのです。

今日は、そんな話をしたいと思います😊

ブルーオーシャンの落とし穴

まず、誰もが思いつかないことを思いつくというのは、非常に難しいことです。

もちろん、それができれば素晴らしいですが、大抵「これだ!」と思いついたものは、他の人がすでにやっている…(涙)

幸い、誰も見つけていないアイデアに出会ったとしても、それが市場に受け入れられるかは分かりません

そして、その新しい価値人々に広く理解してもらうことも大変な労力がかかります…

ちなみに、「豚の角煮ラテ」というカフェラテ豚の角煮が乗ったドリンクを売り出しているカフェがあったとしたら、行きたいと思うでしょうか?

「面白いなぁ〜」と思いつつ、「私はちょっと…」と思う方がいたり、

「後で後で…」と言っているうちに忘れてしまう方もいらっしゃるでしょう。

つまり、「絶対行きたい!」と思う方は意外と限られてしまうのです。

それに、面白いとバズって人気が出たとしても、それが長く続くかどうかは分かりません

やはり、長く愛されているもの、多くの企業や人が手を出しているものにはワケがある

星の数ほどラーメン屋があるのに新規参入が続くのも、そういうことが理由なのです。

そうした新奇性の難しさがよく分かるのが、東京都立大学大学院経営学研究科准教授、高橋勅徳さんの著書『アナーキー経営学』を抜粋・再編集した現代ビジネスの記事

【なぜ「二郎系ラーメン店」が増え続けるのか、じつは「極めて合理的な理由」があった】

〈現代ビジネス / 2024年4月30日〉

【意外と多くの企業が陥る「新しさ」の罠…「流行に乗る」ことが強みになるワケ】

〈現代ビジネス / 2024年4月30日〉

新奇性の脆弱さを知る

高橋さんは、このような問いを立てていらっしゃいます。

仮にあなたが銀行の融資担当者だとして、ちょっと考えてみましょう。
同等レベルの事業計画書を提出してきたとして、「上質の国産素材をふんだんに使用した、新ジャンルの創作系ラーメン」と、「いま流行している二郎インスパイア系のラーメン」どちらに融資をしますか? ラーメン好きなら前者と言いたいところですが、おそらく後者に融資する可能性が高くなると思います。なぜなら、融資担当者側からも成功確率が高いと「計算」できるからです。

流行しているということは、一定の顧客数が既に存在しているということになります。

もしも、出店予定場所の周辺に、二郎系のお店が存在しなければ、地域内でニーズを独占することも可能でしょう。

つまりこの場合、成功の要因は「味」ではなく「立地」になるというわけです。

「このエリアには二郎系がない」ということが独自価値となる。

…もちろん、店の近くに二郎系が出店したら、その独自価値は奪われてしまいます

とはいえ、その競合店にガテン系の方々が集まるのなら、「ファミリーが行きやすい店」「シニアの方々が行きたくなるお店」という形で、ターゲットで差をつけて、空間の見直し、メニューの見直しを図り、独自性を守ることもできるわけです。

実際、私の近所に横浜らしく「家系ラーメン店」が密集しているエリアで、女性が店主のラーメン店があり、そちらでは女性客が多く見られます

つまり、レッドオーシャンの中でエアポケットを見つけことによってオリジナリティを保てているのです。

ちなみに、経営学では「新奇性の脆弱さ」という言葉があります。

「新しさ」を求めることはどこかで正しい、と無自覚に信じてしまっている現象です。

しかし、「新奇性が高いもの=よく分からないもの」というハンデはあります。

私もマーケターとして、新奇性の高いものをマーケティングしないといけない場合があるのですが、よっぽどベネフィットが明確じゃないと難しい

ほとんどの商品やサービスは突出しておらず、その価値を伝える&広げることに時間がかかってしまうというのが現実です…

ミュージシャンや芸人もそうですが、独自性があればあるほど、ブレイクするまでの道のりが長くなってしまう可能性はあるでしょう。

新奇性を追求する場合は、「耐えられる時間」も明確にしておく必要があるわけです。

成功事例を他の空いている市場に

もう一方、分かりやすく今回のテーマを説明してくださっている賢者がいます。

株式会社オリジナルベースキャンプ代表取締役の村上学さんです。

〈東洋経済オンライン / 2024年4月9日〉

お金を稼げるポイントを心得ている人たちは、「成功している誰かのやり方を、他の空いている市場でやる」のが最短の道だとわかっています。そこに、新しい商品やサービスで参入しようという考えはありません。非効率で不確実=儲かりづらいからです。

高橋さんのお話に通ずる考え方だと思います。

「成功している誰かのやり方を、他の空いている市場でやる」というのがポイントで、その例として東京・大田区の町工場を挙げていらっしゃいます。

区内には実に3500もの工場がありますが、そのほとんどはネジのような小さい部品の加工を専門に請け負っている

そのほとんどの市場規模は数億円と小さいわけです。

しかし、それが独自性を守る防壁にもなっている。

実際、大手はなかなか参入できません

なぜなら、わざわざ設備投資するうまみがないからです。

職人技が光る業界でもあるので、人を育てるのに時間もかかります

ゆえに、小さいけどその市場を独占できるのです。

製造業はまさにレッドオーシャンですが、その中で生き残っている企業はそれぞれがエアポケットを見つけている

「町工場の親父は実はお金を持っている」のは界隈では有名な話です。

と、村上さんは仰っておりますが、これぞ「ニッチ」という成功法を活かして得た「リッチ」なのです。

固定観念を捨てることが肝要

〜ということで、私としては「過去の成功体験に囚われるな」というよりかは「 “安易に” 過去の成功体験に乗るな」ということなのだろうなと捉えています。

ビジネスはどんな道に進んでも(どんな手を打っても)基本的には簡単ではありません

成功体験もきっちり学び、新しい発想で考えもする。

何より、市場の中で絶えず自社の状況を分析することが大事でしょう。

新奇性の脆弱さを理解し、レッドオーシャンのエアポケットにも目を向ける。

それでも新奇性を追求するならば、それも良いでしょう。

マーケティングの世界には、顧客のニーズや市場の要求を基にして商品やサービスを開発する「マーケットイン」という考え方と、

企業の技術力や製品コンセプトを基にして商品やサービスを開発する「プロダクトイン」という考え方があります。

成功へのアプローチは様々だと思いますが、学び、考え、見直す習慣が必要というのは同じですね。

〜ということで、今回の話が新しく何かを始める時の参考になればと願っております😊

ちなみに!

先述の「豚の角煮ラテ」スターバックスで実際の販売されたメニューです。

日テレ / スターバックスコーヒー 豚の角煮ラテ

どんな意図で開発されたか知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧くださいませ(笑)

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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