熱狂の「投げ銭」市場
column vol.255
YouTubeの投げ銭機能「スーパーチャット」(スパチャ)に注目が集まっています。
というのも、日本のバーチャルYouTuber(VTuber)や、コロナ禍で音楽イベントの開催を余儀なくされたアーティストたちが、スパチャを利用して結構稼いでいるのです。
〈ITmedia NEWS / 2021年3月18日〉
YouTubeのさまざまなデータを収集・公開している「Playboard」が発表した年間ランキングによると、2020年に最もスパチャを受けたのはVTuberの桐生ココさん。
その額なんと、約1億6000万円!!!
なかなかガッチリ稼いでいます。
「スパチャ」日本勢が席巻
さらに言及すると、桐生さんを含めた上位3位は1億円以上のスパチャを受けており、いずれも日本勢が独占。トップ10にもVTuberを中心に9人がランクインとなるなど、日本勢が席巻しています。
音楽アーティストもスパチャに活路を見出す人が多く、ニコニコ動画やYouTubeで活動する4人組のゲーム実況&音楽制作ユニット「M.S.S Project」(MSSP)はその代表例です。
MSSPは20年3月に全国ツアーの最終公演を無観客で実施。
YouTubeで生配信したところ、視聴者数は7万人を超え、スパチャによって2日間で1億円以上(推計)が集まりました。
Twitterでは一時「#MSSP無観客ライブ生配信」「スパチャ1億」がトレンド入り。スパチャの時代を印象づけました。
「SUPER FOLLOWS」にも注目
話がそれますが、Twitterといえば先月新機能が発表されましたね。
そうです、ファンがクリエイターに金銭を直接支援できる機能「SUPER FOLLOWS(スーパーフォロー)」です。
〈ねとらぼ / 2021年2月26日〉
金額は支援される側が指定可能で、料金を支払ったサポーター(=Super Follower)に対する特典も付与できます。
noteもそうですが、直接クリエイターを支援できるSNSのインフラが整ってきました。
今までのSNSは広告収入を得るか、企業案件を依頼されることで収益化してきましたが、今後はよりダイレクトにビジネスに繋げられるようになっていきます。
改めて考えると凄い時代に突入していますね。
海外から見た日本の独自性
話を元に戻しますが、YouTubeのアジア太平洋におけるクリエーター・アーティスト開発責任者、マーク・レフコウィッツさんは、MSSPのコロナ禍での成功について「YouTubeで収益、ファンとのコネクションでも成功した良い例」と評価。
レフコウィッツさんは日本の独特さについて「サイレントVlogがむしろユニークだ」と話しています。
サイレントVlogとは、「Vlog」(Video Blog)と無音を指すサイレントを組み合わせた造語。
厳密に無音というわけではないものの、代表例としてはBGMなどと組み合わせた勉強動画などがあります。
(投稿者が顔出ししない動画や字幕のみの動画なども広義でのサイレントVlogに含まれるそうです)
オリラジの中田敦彦さんが4月に“顔出し”を引退しますが、この流れはますます今後大きなトレンドになることが予想されます。
YouTube界も一つのターニングポイントを迎えそうです。
「UUUM」の新しい挑戦
YouTubeといえば、この会社を外して語ることはできないでしょう。
HIKAKINさんやはじめしゃちょーさんを擁するインフルエンサー事務所大手の「UUUM」です。
そのUUUMが、D2Cブランド支援などのプラットフォーム構築を手掛けている「AnyMind Group」と戦略的パートナーシップを結ぶことが決まりました。
〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2021年3月15日〉
具体的施策として2つの方向性があります。
1つ目は、同社のノウハウとリーチ力と、AnyMindのデータ分析とソフトウェア開発力を掛け合わせたマーケティングプランの提供。
2つ目は、業務提携にともなう、UUUM所属クリエイターのD2Cブランドの立ち上げ。
UUUM広報は詳細について「4月以降の正式発表をお待ちください」と回答していますが、後者の「UUUM所属クリエイターのD2Cブランドの立ち上げ」にはとても興味があります。
スパチャにしろ、SUPER FOLLOWSにしろ、そしてインフルエンサーのD2Cブランドにしろ、クリエイターが自在に可能性を発揮する時代がますます広がっていきます。
本当に面白い世界になってきましたね。
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