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#連載小説
【連載】スローイン・ファストアウト 0
背はどれくらいだろう。高いわけではないが私よりは確実に高い、日本人男性の一般的な高さ、172.3といったところだろうか。
この三行で私のサイズが豆なことをご理解いただきたい。今後の話に一切絡むことのない情報だが。
体のラインはかなり華奢で痩せ型。私より軽いんだろうな、と思うと少し病む。
スーツに着られている感じはないが、夏場に着ている白のポロシャツの方が似合っていた気がする。羽織がないので細いウ
【連載】スローイン・ファストアウト 1
読んでも読まなくても困らない前作
封筒を渡された。随分と分厚い封筒だ。
「これ、十万円入ってます。」と顔色を変えずに○○は言う。
「え?あ?は?」
言葉にならない声を発してしまっただろうな、あからさまに挙動不審な私。
すかさず「嘘です。」と○○は言った。
よく考えなくても嘘なことは明らかなのに、テンパったところを見せてしまって恥ずかしい。
あがり症なのでテンパってしまいがちの私をもう数ヶ月も〇〇
【連載】スローイン・ファストアウト 2
前作
○○はおいくつですか。
意を決して聞いてみた。
この日は○○があまりにもプライベートな話をするものだから、合わせて私も調子に乗ってみた。
いつもより饒舌な○○は、表情は変わらないが少し楽しそうだったから。
「いくつに見えると思いますか、といつも聞くんです。」と○○は言う。
聞かれ慣れてる質問なんだと感じた。
爪痕を残したいのに浅はかだったなと軽く反省した。
「私、人を見る目がないんです。
【連載】スローイン・ファストアウト 3
前作
あ。ここのラーメン屋。
この間友達と行って豚骨ラーメンがものすごく美味かったお店だ、と一瞥した。
すると「ここのラーメン、美味しいですよ。」と間髪入れず隣の席の〇〇がラーメン屋を見ながら言った。
一瞬心が読まれたのかとどきりとした。
「私も行ったことあります。ここ美味しいですよね」
釣れた魚を逃すまいと私も続ける。会話はキャッチボールが大事だが、スピードも外せない。
「へー、行ったことある
【連載】スローイン・ファストアウト 4
前作
私と〇〇の二人きりの空間はラブ・ロマンスが起きてもおかしくないくらい接近している。
流行りの言葉で言えば、「濃厚接触」間違いなしだ。
時間はきっかり一時間。
原作より短いシンデレラタイム。
ラブ・ロマンスが起きるにはちょっと短すぎるかな。いや、人生何があるかわからないぞ、私、油断するな。
油断って、何?
* * *
その日、私は対人関係で落ち込んでいた。
この間一緒に豚骨ラーメンを食べ
【連載】スローイン・ファストアウト 5
前作
金曜日。
起床。
今日は体調がすこぶる良い。目覚めが違う。
昨日やらずに放置してしまった洗い物をしてから出勤しよう。
我が家の前は高校の通学路になっている事に、越してから気付いた。
私が家を出る時間と高校生のグループの通学時間が被る。
擦れ違う女子高生のスカートは相変わらず短いが、今の流行りか、靴下も随分と短い。
自分の学生時代は皆ハイソックスだったのに、と常々思う。
擦れ違う男子