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谷郁雄の詩のノート39

皆様、あけましておめでとうございます✨今年は元日から大きな自然災害が発生して、一日中そのニュースばかりでした。被災された方々の気持ちを思うと「おめでとうございます」という新年の挨拶にも陰りが出ます。3日の日に夫婦でお寺にお詣りに行ったら、日光猿軍団の猿回しをやっていました。猿くんも猿に芸をさせる女の子もデビュー戦で、おっかなびっくりな感じ。見物人は大笑いしていましたが、猿くんはなんだか苛立っているようでした。お金だけはちゃっかり集めて幕引きとなりました。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中)



「一日なら」

くも一つない
青空の一日は
高望みだとしても

もう
だめかなと
諦めかけた頃に
すーっと
くもの切れ間から
一すじの光が
射してくるような一日なら

何度でも
生きてみたいと
思いませんか?



「ヒヨドリ新聞」

新聞を
読まない
ぼくのために

毎朝
ニュースを
届けに来てくれる
ヒヨドリ一羽

近所で
見聞きした事を
柿の木の枝の上から 
知らせてくれる

どれも
取るに足りない
小さな事ばかり

ヒヨドリは
知らないのだ
遠くの国で
続いている
戦争のこと

鳥の言葉が
話せたら
いろいろ
教えてやれるのに

ウンコを一つ
置き土産に
空へと帰る
ヒヨドリ新聞配達員

明日も
よろしく



「風」

街を
吹きぬけていく風の
大切な仕事

ゴミを
一カ所に集めること
悲しみを
遠くへ運び去ること
ふるさとの匂いを
運んでくること

人生に
疲れて
とぼとぼ歩く人々の
背中を押してやること

©Ikuo  Tani  2024


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