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【Cybozu Days2023】先生も子どもも幸せな教育現場へ!三島市の学校BPR【セッション登壇レポート2/2】

11月8日と9日、幕張メッセで開催されたCybozu Days2023。
会場にお越しいただいた皆さん、ご挨拶をさせていただいた皆さん、ありがとうございました!

今回のCybozu Daysの2日目(9日)では、サイボウズが取り組む学校BPR(学校の働き方改革)に関するセッションを行いました。

サイボウズは2021年7月から、静岡県三島市の教育委員会や学校とともに働き方改革に取り組んでおり、ソーシャルデザインラボのメンバー・中村龍太(以下、龍太さん)と前田小百合(以下、前田さん)が参加しています。

今回のセッションは、一緒に取り組みを進めてくださっている三島市教育委員会の杉山慎太郎さん(以下、杉山さん)をゲストにお招きし、幸せな学校の働き方を考えました。

今回の記事は、先生方とのクラウド化の道のりや、三島市の今後について。セッションの模様後半をレポートします!

前半はこちら↓

保護者にも教員にも効果大!家庭環境調査票のクラウド化が決まるまで

まず前田さんから、今回クラウド化された『家庭環境調査票』について紹介しました。

前田さん「入学時や年度初めに家庭と学校でやり取りされる書類で、担任が児童について理解し、指導の効果をあげるために使います。子どもの健康状態やアレルギーなど、健康上大切な情報を共有する『保健調査票』や『問診票』も含まれていて、三島市の場合は全部で6枚綴り。どれも学校生活を送る上で大切な書類です。」

家庭環境調査票のほか、保健調査票、問診票など提出書類はたくさん!

前田さん「私も書いた経験がありますが、保護者名や住所、電話番号など、同じような情報を何度も書く必要があったり、小学校入学時に書いたものを中学校入学時に再度書く必要があったりで、入学前準備が大変でした。」

前田さん

実際に3人のお子さんを育てる前田さんにとっても大変だったそうですが、受け取る学校側の先生にとっても骨の折れる作業だったようです。

杉山さん「保護者にも手間がかかっていますし、教員も手書きの紙からパソコンに1枚1枚打ち直していたので大変でした。
保護者が入力したものをクラウドに直接保存できるようになれば、双方の手間や時間が大きく省ける。クラウド化が進めば保護者も先生も嬉しい業務の1つでした。」

杉山さんと前田さん

クラスに何十人もいる児童・生徒の情報を1つ1つ入力するってすごい作業量ですよね。大切な個人情報なので保管も大変そうです。

この家庭環境調査票のクラウド化に着手することが決まったのは、サイボウズが呼びかけたワークショップがきっかけだったそうです。
ワークショップには教育委員会職員(教育総務課、学校教育課指導主事)、サイボウズのパートナーであるアイティエスさん、サイボウズなどが参加し、意見を出し合いました。

ワークショップで使った白板。難易度と効果の大きさを考えながら、取り組む業務を考えました!

前田さん「ワークショップで杉山さんが『先生が一番楽になる業務はなんだろう』と呼びかけてくれ、『入学時の書類がクラウドできたら効果が大きいね』という話になりました。また今年春には、個人情報保護条例の廃止が視野に入っていたため、取り組むタイミングとしても最適でした。」

このワークショップを前田さんは『私たちも現場の業務を理解することができたし、俯瞰して眺めて皆さんと次に取り組む業務をイメージができたのが良かった』と振り返りました。

ワークショップが大きな機会になったと振り返る、前田さん

いよいよ実装へ!仕組みやアプリができるまで

実際に活用する仕組みやアプリは、前田さんと、同じくサイボウズの深澤さんで手分けして作ることになりました。

前田さん「紙で運用しているものを元にデモを作ってみて、現場の先生に使ってもらい、声を聞いて改善する、ということを学校に何度も通いながら繰り返しました。」

保健調査票のイメージ

前田さん「こうしたタイミングは、必要な項目を精査するいい機会でもあるんですよね。例えば保健調査票には緊急連絡先を書く欄がありますが、家庭環境調査票にも同じものがあるので、それを重複して書かないようにする。『健康状態』も20項目くらい毎年記入して残すのですが、最新情報で上書きしていく、という形に変えました。」

保健調査票について話す様子

先生たちから聞いた必要な情報を素早く正確に取り出せるようにするには、kintoneの機能が大きく役に立ったといいます。

前田さん「保護者に入力してもらった情報がkintoneに入ってきて、一覧で表示できるのですが、全校生徒の中でアレルギー対応が必要な生徒だけ絞り込んで表示することもできます。
また、未提出者の管理が大変という話もあったのですが、『未回答者一覧』という絞込みを使って管理をすることも可能になりました。」

保健調査票kintoneアプリ

ここでも大切にしたのは、一方的に進めず対話することでした。

前田さん「『いらないよね?』と一方的に決めるのではなく、『どういう時にこの情報が必要なんですか?』と聞いた上で、最終的に先生たちと一緒に形を決めました。
現行のものを変えていくことに先生が不安を持つのは当たり前のことだと思います。しかし今困っていることが、IT化した時にどう解決されるのか、追加でどんなメリットがあるのかを一緒に想像しながら、最適なものを探っていくことで、とても前向きに捉えていただけるようになりました。作っていく過程で対話をしながら、一緒に作ることが大事だと感じました。」

前田さんと杉山さん

今年の春から実装し、三島市全域の合算で、教員の事務作業が530時間減り、1万枚以上のペーパーレス化を実現。これだけ大きな成果が生まれたのは私たちも驚きでしたが、保護者や現場の反応も上々だったようです。

こうした取り組みがメディアなどでも紹介された影響で、問い合わせもたくさんきていると話す杉山さん。
最後に龍太さんから、今度どうしたいかと問われた杉山さんは、『課題は全国共通だと思う。三島でできた取り組みが全国に広がるといいなと思う。』とまっすぐな目で語ってくださいました。

問いかける龍太さん
杉山さん

学校の働き方については、当事者だけでなく、保護者の方、最近のニュースで見かけて関心を持っているという方などさまざまな方が関心を寄せている話題です。いろんな立場の人が力や知恵を出し合いながら、チームとなって、皆の手で教育のアップデートができたら素敵ですよね。

セッションでは、ご紹介したのは、取り組みのほんの一部です。
この取り組みにご関心を寄せていただけたら、ぜひその道のりを詳しく記録した以下のマガジンもお読みいただけると嬉しいです!

サイボウズのソーシャルデザインラボは、学校の働き方改革のほか、学校を楽しめていない/不登校のお子さんたち向けに『ワクワクする学び場』、オルタナティブスクールを創ろうと計画しています。
ぜひこちらの取り組みも応援してください🍀

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