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【Cybozu Days2023】先生も子どもも幸せな教育現場へ!三島市の学校BPR【セッション登壇レポート1/2】

11月8日と9日、幕張メッセで開催されたCybozu Days2023。
会場にお越しいただいた皆さん、ご挨拶をさせていただいた皆さん、ありがとうございました!

今回のCybozu Daysの2日目(9日)では、サイボウズが取り組む学校BPR(学校の働き方改革)に関するセッションを行いました。

平日のお昼にもかかわらず、セッション会場にはたくさんの方が。ありがとうございます!

サイボウズは2021年7月から、静岡県三島市の教育委員会や学校とともに働き方改革に取り組んできました。この取り組みに、私たちソーシャルデザインラボのメンバー・中村龍太(以下、龍太さん)と前田小百合(以下、前田さん)が参加しています。

今回のセッションは、一緒に取り組みを進めてくださっている三島市教育委員会の杉山慎太郎さん(以下、杉山さん)をゲストにお招きし、龍太さん・前田さんを含めた3名で幸せな学校の働き方を考えました。

そのセッションの模様をこちらでレポートしていきます!

SNSでは“定額働かせ放題”とも…。深刻な働き方に隠された先生たちの思い

最近ニュースでも度々取り上げられている教育現場の長時間労働。これに加え、法律によって教員の残業代は支払われないことになっており、SNSなどでは『定額働かせ放題』というワードも飛び交っています。

三島市でも教員の働き方は深刻だったようです。杉山さんが持ってきてくださった、去年の三島市における教職員の働き方実態調査結果によると…。

「勤務時間内に仕事が終わらない」が66.2%、
「週1日以上、家に仕事を持ち帰る」が60.2%、
「月2日以上、休日学校で仕事する」が約半数という結果が。

去年の三島市における教職員の働き方実態調査結果

残業も休日出勤も当たり前といった先生も少なくありません。
また、三島市の教員の1日のモデルスケジュールもお持ちいただきました。(小学校高学年の教諭、中学校の教諭の場合)

三島市の教員の1日のモデルスケジュール

スケジュールは細かく分刻み。中でも注目したいのは「学校で過ごす時間の長さ」でした。小学校高学年を受け持つ先生で13時間5分、中学校の先生が12時間20分と、1日の半分以上を学校での仕事に費やしていることがわかります。

これに加え、杉山さんによると「中学では部活動の顧問、小学校だと子どもから目が離せず、休み時間も教室にいることがあり、トイレすら行けないという先生も多い」とのこと。どれほど大変な現場で先仕事をしているのか…想像に難くありません。

教育現場の働き方改革を望む声が上がるのは当然のように感じますが、この裏には先生たちの切実な思いが込められていると杉山さんは言います。

杉山さん「先生たちは『もっと児童や生徒に向き合う時間を作りたい』と思っているんです。働き方改革というと『楽したい』と捉えられることもありますが、むしろ先生達が願うのは、『今以上に子どもたちに時間をかけて向き合うこと』。この思いを知ってほしい。
働き方改革が実現すれば、先生が健康で笑顔で働けるだけでなく、子ども達へのより良い教育にも必ず繋がります。子どもや保護者にとっても大切な取り組みなので、ぜひ三島でどんなことができたのか知っていただき、皆さんの地域にも持ち帰ってもらえたらと思います。」

杉山慎太郎さん

生徒や児童を思う先生たちの思いに胸が打たれました。この働き方改革は子どもたちの幸せにもつながる大事なものなのですね。

三島市では、家庭と学校でやりとりされる「家庭環境調査票」などクラウド化を進め、教員の事務作業時間を推計530時間程度削減することに成功しました。どのようなきっかけで取り組むことになったのか、このような成果をどんなチームで生み出したのかー。まずはチームづくりから振り返っていきました。

三島市で”チーム”を創るために 心がけたこと

まずは三島市で取り組むことになったきっかけについて。
きっかけは2021年夏。経済産業省主催の「学校の働き方改革事業」にサイボウズがエントリーしたことでした。知人を介して知り合った三島市とタッグを組むことになり、活動が始まりました。
この時、教育現場の反応はというと、前向きな方も不安そうな方も様々だったそう。一方、杉山さん自身はとてもいい機会だと捉えていたようでした。

杉山さん「私自身は率直に外から指摘してもらえる良い機会だと感じましたね。教員にとって事務作業は、負担が大きい業務とも指摘されているので、IT化ができれば、事務作業が大きく減るのではと期待が高まりました。」

にこやかにお話する杉山さんと前田さん

そんな不安と期待の入り混じった現場でチームづくりに取り組んだ龍太さん。最初に実施したヒアリングや視察では、学校のリアルな働き方を教えてもらうのと同時に心がけたことがあったと言います。

ソーシャルデザインラボ所長・龍太さん

龍太さん「『こうしなさい』とか『ああしなさい』みたいな一方的なアドバイスではなく、一人一人のお話を素直に聞くことを心がけましたね。すると、どんなことが負担になっているのか、率直に話をしてくれました。学校と外部企業という関係から脱し、同じ目線で話し合うチームになることができた。これが働き方改革を一緒に進めていく中でとても大事なことだったと思います。」

チームになるためには、同じ目線で物事を眺めてみるのが大事ですよね。企業と学校の間にある無意識の”隔たり”を取り除くためにも、とても大事なことだったと振り返りました。

そうして三島市でチームを創り、今年春、家庭環境調査票のクラウド化を実現。この家庭環境調査票は保護者にとっても学校にとっても大変な作業を要する書類でしたが、大切な子どもの情報を確認するための書類とあって、様々な人と意見を取り交わした上でクラウド化することができたのだとか。

次のnoteでは、この家庭環境調査票のクラウド化までの道のりを記します!
続きは↓