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【コラム】~介護老人保健施設編~#1

みなさんこんにちは!
フリーランス管理栄養士のtamosanです。

みなさんは管理栄養士がどんなところで働いているか知っていますか?
近年だと大手食品会社の管理栄養士が注目されていますね。
あとは病院がイメージしやすいでしょうか。

実は、行政、医療機関、一般企業、福祉施設、保育園、給食センター・・
さまざまなところで管理栄養士が活躍しています。
「管理栄養士」といっても働く場所によって業務内容がかなり変わってくるので、やりがいや大変なことなど実際に働いてみてわかることを紹介していきます!

今回は介護老人保健施設で働くMさんにインタビューをしてきました!

(インタビュー当時2021.2)
※以下、介護老人保健施設=老健(ろうけん)と略す。

tamosan 本日はよろしくお願いします!

Mさん  参考になるかわかりませんが、よろしくお願いします。

tamosan では、さっそく質問していきますね。

1.勤務形態は?

Mさん  シフト制です。
     お休みは日曜日と月曜~土曜のどこかの週2日です。

2.業務内容と1日のスケジュールは?

Mさん  午前中に入所者さんの栄養アセスメント・モニタリングを行い、
     栄養ケア計画書を作成します。お昼にはラウンドをして昼食を
     食べている様子を確認します。
     午後はNs(看護師)、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、
     ST(言語聴覚士)さんたちとカンファレンスをします。
     1件20分くらいで2~3件。
     あとはおやつの発注かな。
     前日には、デイケアの食札を準備します。

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tamosan なるほど。
                  Mさんのところは給食を委託していますよね。
     完全委託ではなく、おやつの発注だけMさんが行われている
                  のですね。

Mさん  そうなんです。
     献立作成や発注・調理は別の会社へ委託していますが、おやつの
     発注や提供準備は施設側の管理栄養士の仕事になっています。
     予算の関係があると思いますが、うちの契約はそうなって
     いますね。

tamosan そうなんですね。
     給食関係はすべて委託するところもあれば調理だけのところも
     あるしそこは様々ですよね。
     おやつだけというのは初めて聞きました!

tamosan 午後のカンファレンスではどんなことを話すんですか?

Mさん  主に入所者さんの栄養状態や食事形態について話し合って
     います。普段よく接しているのはNs、OT、PT、STですし、
     毎日のお昼のラウンドだけでは知ることができない情報を教えて
     もらえます。

tamosan 多職種からの情報は大変貴重ですよね。
     お昼のラウンドは毎日全員をチェックするのですか?

Mさん  いえ、新しく入所された方や、カンファレンスであがった方、
     状態が悪い方を重点的に見ています。
     利用者さんに話しかけてコミュニケーションをとりながら・・
     という感じですね。食事介助をすることもあるんですよ。

tamosan 介助も!すごいですね。
     私だと緊張してしまいますがMさんはどうですか? 

Mさん  初めは私も緊張していましたが、誤嚥しないように
     スピードに注意すれば大丈夫ですよ。

     ※誤嚥・・・本来食道に入る物が誤って気道に入ること。
           これにより肺炎を引き起こし命とりになることも。  

tamosan なるほど・・

Mさん  あとは、初めに見た方を最後にまた見回りをして残菜を確認して
     います。

tamosan 残菜チェックも大事ですよね。
     提供後に食べてくれないと意味がないですもんね。
     では、委託会社とのやり取りはどのようにされていますか?

Mさん  食事内容の変更を伝えることがメインです。
     あとは委託会社の栄養士さんが対応してくれます。

3.楽しいところ・やりがいに感じるところは?

Mさん  利用者さんに話しかけてもらうことかな。
     管理栄養士って意外と事務室での作業が多いから外に出ることが
     少ないんです。なので、入所者さんに覚えてもらえることは
     嬉しいですね。
     あとは、食べられなかった方が食事内容や食形態を変えたことで
     食べられるようになるときにやりがいを感じます。
     うちは管理栄養士が1人なので、責任重大ですが。笑

tamosan 自分で提案したことが良い結果になることは嬉しいですよね!

4.大変なところは?

Mさん  管理栄養士が1人なので相談できる相手がいないというのが
     1番大変です。

tamosan わかります!同じ職種の意見も大事ですよね。
     悩んだときはどうするのですか?

Mさん  直属の上司が副施設長になるのでその方に相談したりとか、
     近くに同系列の病院があるのでそちらの管理栄養士さんに
     相談したりします。

tamosan どんなことを相談するのですか?

Mさん  例えば、自分の考えが間違っていないかとか、対応をどこまで
     するか・・などです。
     一度対応してしまうとずっと対応せざるを得なくなることも
     あり、そうすると周りに迷惑をかけてしまうこともあるので
     新しいことを始める時は慎重に判断しています。

5.やめたいと思ったときは?

Mさん  理不尽なことがたくさんあるときですね。笑

tamosan そういうときありますよね。。
     その時はどうされますか?

Mさん  上司に相談をします。

tamosan 話を聞いてもらうだけで楽になることもありますよね。

Mさん  あとは自分の意に反してすでに決められてしまっていた時
     ですね。

tamosan なるほど。あるあるですよね。
     経営が関わってきたり、ほかの施設さんとの差別化で新しく
     始まることもあったりしますよね・・・

6.どんな人が老健の管理栄養士に向いている?

Mさん  そうですねー・・どこでもそうかもしれないんですが
     ①コミュニケーションがとれる人
     老健の管理栄養士は基本的に1人なので多職種との関わりが重要
     になってきます。Nsとの雑談の中で大事なことを教えてもらう
     こともあるので信頼関係が大事だと改めて思います。
     ②観察力のある人
     むくみや顔色など入所者さんの変化に気づけると良いのかな
     と思います。

tamosan なるほど。これは他人に興味が持てるかということも関係して
     ますよね。

Mさん  ③説明力がある人
     退所時にご家族へ食形態の説明をするので、一般の方でも分かり
     やすい説明をするように心がけています。

tamosan 意外と専門用語に慣れてしまうと、何も知らない方への説明と
     いうのは難しかったりしますよね。これは経験によってついて
     くるかもしれませんね。
     老健のあとはみなさんどちらに行かれるのですか?

Mさん  老健でずっと生活するわけではないので退所後は自宅に戻られた
     り、グループホームや有料老人ホームに行かれたりと様々です。

7.あなたにとって管理栄養士とは?

Mさん  私は臨床栄養が好きなので楽しい仕事です。
     すぐに結果は出なくても、回復に導けたときに食の凄さを
     感じます。

tamosan 食べたものから身体は作られますもんね!
     それは私も感じます!!

8.後輩にメッセージ

Mさん  学校の授業や国家試験の勉強をしているときは、何に役立つか
     わからないこともあると思うけど、これが現場で役立つと実感
     できるときがきます!なので今は勉強を頑張ってください。
     就職後であっても、勉強は必要ですけどね。笑
     管理栄養士は子どもからお年寄り、元気な方からそうではない
     方まで幅広く関われる仕事なのでおすすめですよ♪

tamosan Mさん、本日は貴重なお話を聞かせていただきありがとう
     ございました!


9.最後に

2021年4月に介護報酬の改定がありました。
栄養士目線だと、介護福祉施設の栄養管理の底上げを行うものです。
これによりまた現場の動きが変わってきます。
このコラムは2021年2月のインタビューをもとに作成したものです。
現在は管理栄養士2名体制で環境整備をしているということでした。
コロナ禍ではありますが、すでにチラホラと求人を見ますしこれからもっと増えてくることと思います。

老健に転職や就職を考えている方の参考になれば幸いです。
体制が整った頃に再度、インタビューできたらと考えています。


次のコラムは『管理栄養士の輝く場所 ~病院編~ 』です♪
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