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Uターン起業でコーヒー焙煎所オープン!|富山県南砺市井波「Haiz coffee」

富山県富山市出身の清水栄治さんは、昨年富山にUターンし、今年6月にコーヒー焙煎所「Haiz coffee(ヘイズコーヒー)」をオープン予定!

富山へUターンしたきっかけ、起業のきっかけ、富山の起業サポートについて、お話を伺いました。

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◎音楽、家具、洋服、コーヒー、料理…全てが詰まった「飲食」の道へ

コーヒーを淹れる清水さん

ーー昨年(2021年)、富山で起業するためにUターンされたと伺いました。どんなお店を開店されるか教えてください。

彫刻のまちである富山県南砺市井波に、コーヒーの焙煎所を作ります。

豆はコロンビアのコーヒー農園から直接購入しています。実際にコロンビアを訪れ、「この人たちと一緒にやっていきたい」と思える農園から購入することにしました。

コンセプトは「友達からものを買う。友達間でシェアする」。創業にあたって必要なものは、できる限り友達から買って、一緒に成長できたら良いな、という気持ちが根底にあります。

ーーなるほど。お店については後ほどじっくり伺うとして…。まずは清水さんのことをお聞かせください。富山の高校を卒業後、東京の大学に進学されたそうですね。

はい。大学2年生の19歳のとき、ふと「俺は何をしてるんだろう」と思って1週間くらい家に引き籠ったことがあったんですよ。そのとき、「俺には突出しているものはないけれど、好きなものはたくさんある。それを生かした仕事がしたい」と思い立ち、飲食の道に進むことにしました。

ーー清水さんがお好きなこととは?

家具、音楽、洋服、人と話すこと、ご飯作ること、コーヒーを飲むこと…。全ての要素をもつのが「飲食」だと思ったんですよね。自分の店を持つときには、インテリアにも音楽にも洋服にもこだわれますし。

ーーなるほど。飲食業界での経験はどのように積まれたのですか。

大学生のときにアルバイトで東京の江古田にあるこじんまりとしたミュージックバー、渋谷の大きなカフェで働きました。

渋谷のカフェはマークシティの近くだったので、バイトに行くたびにテンションが上がってましたね。「やっぱり渋谷ってすげえな!」って思いながらも、テンションが上がってないふりをして歩いていました(笑)。

ーーものすごく共感します。僕はSuicaをタッチする際、前を見ながらノールックで改札を通ることがシティボーイっぽくてかっこいいと思っていました。東京出身の方にはわからない感覚かもしれませんが…。

わかります、わかります(笑)。

卒業後は友人とともに、神戸の三宮で飲食店を開業。テクス・メクス料理(メキシコ風アメリカ料理)とブルックリンラガー、スペシャルティコーヒーを出すお店でした。

そのときに、単なる喫茶店のコーヒーではなく、「ちゃんと美味しいコーヒーを淹れたい」と思うようになったんです。

◎富山にUターンしたきっかけ

ヘイズコーヒーがオープンする井波の街並み

ーーコーヒーについての勉強はどのように進められましたか。

本格的にコーヒーを学びたいと思い、東京に戻ったタイミングで新型コロナウイルスが流行り出しました。飲食店はどこも休業状態で、弟子入りする予定だったロースターで働けなくなってしまったんです。

そこで、西早稲田の店舗を間借りして立ち上げたのが「Haiz coffee shopでした。

ーー「Haiz coffee shop」は最初、東京でオープンされたんですね!Uターンに至ったきっかけを教えてください。

間借りでのオープンだったので、自分の店を開くために東京や埼玉でいい場所を探していました。

でも、オープンするのは「焙煎所」。店頭でのコーヒー販売より、オンラインショップや卸での売り上げがメインになります。都心や駅近くの人通りの多い場所というよりは、広くて焙煎に集中できる土地を探していました。

そんな中で、ふと「それならば富山に帰って起業してもよいのでは」と思ったんです。

ーーなるほど。環境の良さを優先した時に、たどり着いたのが富山だったんですね。

そこで、昨年6月に富山を訪れ、県内あちこちを見てまわりました。その中の一つが南砺市井波だったんです。

ーー井波は彫刻のまちとして有名で、日本遺産にも登録されています。現在は地域のメンバーが中心となり、地域起業家を県外から募集し伴走するプロジェクト”BE THE (MASTER)PIECE”を行っている「アツい場所」なんですよね。

実は、そんなこともあまり知らずに井波に突撃し、偶然プロジェクトの中心メンバーである建築家の山川智嗣さんにお会いしたんです。

▶︎井波の取り組みはこちらのnoteもご覧ください。

ーー山川さん、かなりお忙しい方だと伺っています。奇跡的に会えたんですね…。

山川さんに「コーヒー焙煎所を作りたい」と話すと、「あれ、その話どこで聞いたの?」と言われたんです。

ーーえ、どういうことですか?

実は、井波では新たにコーヒー焙煎所を併設した複合施設を作る話が進んでいて、僕が訪れた1週間後に焙煎所の求人を出す予定だったらしいんですよ。

「どこからその情報が漏れたんだ!」と山川さんが驚かれたというわけです。

ーー奇跡が重なりましたね!

おかげさまでとんとん拍子に話が進み、今年(2022年)6月下旬に正式にオープンする運びとなりました。

井波には約200名の彫刻職人がいる ©︎とやま観光推進機構

ーー井波のまちを訪れてみて、どんな印象を受けましたか?

山川さんが語る「これからの井波」の構想に感銘を受けました。そして、住みたいと思えるまちでした。もうすでに、住むための一軒家も買っちゃったんですよ(笑)。すぐに買えちゃうくらい安いし、起業をサポートしてくれる地域の方々がたくさんいるのも心強かったです。

井波には、去年だけで30組ほどの方が移住され、空き家にどんどん人が住み始めています。起業された方も多く、僕が開く焙煎所の近くには昨年オープンしたばかりのパン屋さん「baker's house KUBOTA」もあります。

ーーちなみに、おいくらで一軒家を購入されたんですか?

110坪土地付き古民家を60万円で購入しました。ちなみに、数年間住めば「南砺市定住奨励金」で全額戻ってくるみたいです。

ーーそれはすごい!起業にあたって、行政からのサポートはありましたか。

富山県と南砺市それぞれから200万円ずつ補助金をいただきました。

僕自身、補助金の申請が初めてだったので少し苦労しましたが、それほど大変な作業ではなかったですよ。

▶︎最新の補助金情報はこちらから

◎久しぶりに見た富山の姿

大学生の頃の清水さん(左)

ーー高校を卒業してから、久しぶりに富山に住んでみての感想を教えてください。

高校の時は、「富山は突出したものがないところだな」と思っていました。都道府県ランキングをみても、どれも20〜30位くらいで良くもないし悪くもない。地理的にも中間の県だし。だから、東京に対する憧れから上京しました。

でも、東京や神戸での暮らしを経て帰ってくると、「富山は自分がやりたいことをやりたいと思った瞬間にできる場所」だと気付きました。

僕はアウトドアが好きなので、ちょっと焚火したいってなった時にすぐできるのがいいんですよ。焚火しながらビールが飲めちゃうんです。あと、家で大きい音を出しても、怒るのはばあちゃんだけですし(笑)。

そして、無駄にイラつくことがなくなりました。東京にいると、電車の遅延、満員電車、人混み…。普通に生活しているだけで、嫌だなあというポイントがたくさんあるんですが、富山ではそれを全く感じません。

ーー富山での移動は自動車がメインですか?

はい。車を所有するとお金がかかるイメージがあるかもしれませんが、僕は地元の自動車屋さんで一番安い車を25万円で買って、ネットでスプレーを3万円で購入して自分で吹き付けました。

世界でたった一つの車を28万円で買えたので、やり方次第だと思います(笑)。

清水さんの相棒

ーー初めてみる色と形の車です!素敵!
県庁所在地である富山市のご実家から、南砺市井波へ引っ越されることについて抵抗はありませんか。少し不便になるのではないかと思うのですが…。

僕の家は富山市といってもかなり田舎で、最寄りのコンビニまで徒歩15分くらいかかるんですよ。

だから、井波へ引っ越すことでかなり便利になると思います。スーパーもコンビニもドラッグストアも歩いていけるようなので(笑)。

ーー確かに、「富山市」「南砺市」と一括りにいっても、いろんな場所がありますもんね。

井波は彫刻家など職人さんが集うまちです。友人からは、「清水は職人気質なところがあるからぴったりだな」と言われています。

◎「Haiz coffee」はこんなお店です

ーーそれでは最後に、オープンされるコーヒー焙煎所「Haiz coffee(ヘイズコーヒー)」について教えてください。

井波のまちの中心にあるのが、「瑞泉寺」というお寺です。「Haiz coffee」は、その瑞泉寺から伸びる石畳の大通りにオープンします。

コーヒーロースタリーだけでなく、1階にはマルシェを併設。建築はもちろん建築家である山川さんが手掛けているので、非常にカッコよく仕上がると思いますよ。僕がイメージしていた内装のイメージと、山川さんのイメージが合致したのも嬉しかったですね。

Haiz coffee 外観イメージ

ーーHaiz coffeeではどんなコーヒーが楽しめますか。

一言で言えば、「僕たちしか出せないコーヒー」です。

僕たちはコロンビアの中では「コーヒーの産地」として一番有名な場所からダイレクトトレードしています。でも、世界的には全く知られていないんです。

僕たちが取り扱うコーヒー豆は、歴史はあるけれど小さい農園で作られています。皆さんが飲んでくださる1杯のコーヒーが、その人たちに直に還元できる。そして、彼らがさらに良い設備を導入し、良い研究ができ、農園を大きくしていける。

単にコーヒーを1杯飲むというよりは、一緒に農園を育てて行くイメージでコーヒーを飲みにきてもらえたら嬉しいです。

ーー井波のまちで楽しむ1杯のコーヒーが、コロンビアに直接つながっていると思うと、なんだかワクワクしてきました。

場所を問わず、僕たちのコンセプトに賛同しHaiz coffeeを取り扱ってくださる飲食店さんも募集中です。日本全国でHaiz coffeeを楽しめるようになれば嬉しいです。

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「Uターンして起業しよう」ふと思い立ち、富山に帰ってみると、思いがけない縁がつながったという清水さん。

富山には起業をサポートする制度だけでなく、支援する人たちもたくさんいます。

まずはお試し移住サービス「ためスモ」で、富山の人たちと交流してみませんか。皆さんのビジネスを後押ししてくれるぴったりの場所と、心強いパートナーが見つかるかもしれません。


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