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【愛農かまど作りワークショップ5日目in徳之島(鹿児島県大島郡)2023年の1基目。】2023年3月13日(月)は、最初に天端に鍋窯をおけるように金輪の取り付けから取り組みました。

施主さんもお仕事に復帰され、参加者の皆さんもそれぞれにお仕事や学校などで、今日は一人で作業しました。

ワイワイとみんなで協働は大切だし、愛農かまどの醍醐味です。
しかし、それを下支えするのは、じっくり落ち着いて、いろいろ試しながらできる豊かな時間があるからです。

設計図と木型と材料と道具があれば形にはなるのかもしれません。しかしながら、モノだけではなく、物語を育むためには、それなりの失敗や試行錯誤が必要です。この時間も大好きです。

昨年、「私も愛農かまどの伝承者を志すものの一人です」と発言したのはここ20年以上に渡って愛農かまどをほぼ独りで継承され作り続けてきた師匠の野呂さんです。

どこまでも学び続けるというのは、個々の在り方でもありますが、
私達、ひとり一人が持っている人としての性であり、群れを成してこそ生き残ることができた人が持っている生き物としての知恵かもしれません。

金輪の次は、ドラム缶を切って作った焚口2ヶ所の扉です。
持ち手の木材は、私が泊まっている宿のSさんがご自身で拾った流木を持ってきてくれました。


いつもなら私が自分の近所の川で拾った流木や曲がり木、剪定枝などを持参して、いろんな形や材質から施主さんの好みで選んでいただいています。

しかし、今回は離島のため全ての道具や材料を宅配便で送る必要があり、最低限のもの以外はかなり削ぎ落してきましたので現地の方々に頼らざるを得ません。

これがまた新たな関わりやご縁を生み出します。

現地調達というのは、愛農かまど創りの師匠の師匠である北村さんが得意とされていたようですが、それはまさに、愛農かまどが手作りで広まっていくことの要素でもあり、さらに深めたいことの一つです。

煉瓦も購入していますが、徳之島に来てみてここの赤土は重粘土土壌とも言われ、日干し煉瓦にして使ってみたくなりました。


煙突工事は、1ヶ月~1.5ヶ月後の火入式までに施主さんや大工さんにお任せすることが多いです。
しかし、煙突の長さや位置などは火災予防やかまどの性能の半分を占める重要な部分でもあるので、私はできるだけ具体的に相談したりアドバイスをさせていただいています。

かまどの煙突や周りの壁に使われている材質、屋根の高さなどを写真ではなく実寸で図面に起こしておきます。
帰ってからも相談があれば、これを見ながら対話ができるようにと、気が付いたらここまででお昼になっていました。

さて最後は掃除です。ここが仕上げの中で、最も大切だと私は思っています。

掃除のできない職人、料理人、教員、事務職などなど。およそプロフェッショナルであるか否か、その仕事レベルは、その人の机や部屋や道具箱に現れます。

現場で言えば、家を建てたり、修理はできる技術はあるが、釘やゴミが散乱している大工さんの現場は、なんだか残念な気持ちになります。

自分が施主さんの気持ちになってみれば、とても理解できます。

最近、そういう場面を多く見るようになったのは、自分が意識しているからかもしれません。
しかし、消費的で使い捨て文化が社会に蔓延している証の一つだとも思えます。

日々の調理が効率よくできる竃であるという点だけではなく、
天地人の関わりを育み、恵みをいただき、生きる糧を得る、祈りの場でもあると私は思います。

心して、現場で取り組みたい。
そのためには、日々の営みからだと自戒を込めて内省しています。

まだ荷物のまとめはあるものの、かまど作業は終わりました。

午後から観光案内をしてくださる島民のNさんが
来てくれました。

風が強い中で温かな鶏飯を食べたらほっこりしました。
それから、ムシロ瀬という花崗岩で波しぶきを浴びて、いろんなものが洗い流され吹っ飛んでいったのかもしれません。


最後に「ふるげんごういじゅん」と呼ばれる古源泉に連れていってもらいました。

ここのお水が凄かった。
手にした瞬間のトロケルことと言ったらありません。

火のかまどの終わりに、子宝の泉に参ったこと。
火で始まり、水で終わる。

まさに「カ・ミ」ごとでした。

はーーー。終わったという実感が湧いてきました。

夕方から再び現場へ戻り全ての道具を点検、荷造して、
ついでに左右両用の木型利用法を確認したら19時30分になっていました。


素泊まり宿に戻ったら、なんとご主人と奥様が夕食に誘ってくれるじゃありませんか。


なんとー。ありがたき幸せ。
黒糖焼酎で乾杯しながら、楽しい美味しい夜は更けていきました。

鹿児島県および奄美群島から琉球列島では、第1号の愛農かまどが完成いたしました!!

興味を持って下さる方も多かったので、これからの火入式、かまどパーティー、日常などで活躍していくことでしょう。

今回、施主さんをはじめ、たくさんの方々に呼びかけや情報提供などいただきました。5日間のほぼ全てに関わってくださった
@郷奈津美さんと子どもたちには、特に感謝いたします。ありがとう!!

4日半という史上最長時間とはなりましたが、ゆったりしつつも、なんだかあっという間だったな。

さて、今年は長野県、山梨県ほかでお声がけいただいています。
ご検討の方は施工前に2ヶ月は必要ですから、お早めにご相談ください。

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愛農かまどとは?

【動画『愛農かまど物語』を公開しました!】

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