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英語科教育法の歩み

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かわむらが勤務校で担当する英語科教育法の取り組みについて、授業者としての振り返りや実践のログを残すことを目的として記事を書いていきます。理想的には毎回の授業について書いていきたい…
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2022年6月の記事一覧

英語の技能を保留する

英語の技能を保留する

英語科教育法IIIの授業ログ。
今回はリスニングに焦点を当てた模擬授業。

模擬授業と実際の教室での授業の最大の違いは、「生徒」である。普通の学校教育の中での授業に生徒がいるのは言うまでもないが、模擬授業では教員採用試験等で行われることもある生徒がいない(いるという想定で行う)ものと、実際の授業の対象とされている学習者ではない人が生徒役を務めるものがある。
上で述べたように私の授業では教師・生徒そ

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教師教育者の役割に葛藤する日常

教師教育者の役割に葛藤する日常

英語科教育法I第9回の授業ログ。
模擬授業は2巡目の最後。
前回は小学生を想定した学生が、今回は中学3年生(高校受験を控えた受験生)を想定した授業を展開した。

授業者としてのアイデンティティ中学3年生を想定した授業だが、英単語を使ったBINGOゲームというポップな内容。単語リストからいくつか自分の好きな単語を選んでBINGOカードを作成し、先生がくじ引きで引いた単語を読み上げて、自分のカードにあ

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ライティング指導は文字指導から

ライティング指導は文字指導から

英語科教育法IIIの授業ログ。
今日はライティング指導の講義回。

授業のハンドアウトを配る前に、まずは架空の高校生1年生のライティングを渡し、それを学生に添削してもらう。
生徒にどのようにフィードバックをするかは置いておいて、この生徒のライティングから見える課題を見つけられるだけ見つけてもらう。

複数の学生が接続詞(あるいは接続の役割をする副詞など)の不在や、表現の乏しさを指摘する一方、大胆に

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学習者の知識と思考を再現する

学習者の知識と思考を再現する

英語科教育法I第8回の振り返り。
例の如く模擬授業と対話型模擬授業検討会がメイン。
今回はその模擬授業の生徒役のパフォーマンスに焦点を当てる。

模擬授業で評価されたりアドバイスを受けたりして成長が期待されるいわゆる「主役」は当然先生役を務める学生なのだが、その先生役の学生が模擬授業とそのリフレクションを通して(どれだけ)成長できるかは、生徒役の学生のクオリティに大きくかかっている。生徒役が大人(

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「非母語でのコミュニケーションに耐えられる人」を育てる

「非母語でのコミュニケーションに耐えられる人」を育てる

英語科教育法IIIの第8回。
リスニング指導の講義回のログ。

洋楽を使ったリスニングの利点と課題今回はリスニング指導ということで、私が英語技能科目で毎時間行っている洋楽リスニングを英語科教育法のメンバーにもまずは体験してもらう。

使った曲はCarley Rae JepsenのCall Me Maybe.

韻の踏み方や、語彙・フレーズのレベル、(PVも含めた)曲のストーリー性などから割と使いや

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授業者の目線—ズームイン・アウト

授業者の目線—ズームイン・アウト

英語科教育法Iの振り返り。
毎回行なっている模擬授業は早くも2巡目の2人目まで回ってきた。正式な履修者4人が毎週1人ずつ模擬授業をするという鬼スケジュールなので、模擬授業が「学期に一度の大イベント」みたいなテンションにならず、比較的自然に日常に組み込まれる(そして地味に忙しくなり、思ったより詰めが甘くなる)という感じになっている。人数が多い教員養成学部ではなかなか経験できない授業作りのリアルなとこ

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