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アイデアに必要な10Xの観点

 アイデアを考案する際の一つの観点として、アイデアの10X(10倍のコスト削減、10倍の売上、10倍の価値)というものがある。その観点の重要性を今回はお伝えしたい。

 一つ目の背景は競合関連で進化対策。残念ながら既存の製品やサービスの小さな進化に留まってしまうと、同じく進化を続けている競合に追い抜かれることが簡単に起こり得る。自分たちは何かアイデアを考案して競合を分析する際、ついつい自分たちのアイデアだけが進化するものと思いがち。けれども残念ながら競合も進化し続けるため、少しの改善では勝利を掴み取ることは難しい。

 例えるなら、「よし!競合のミカン糖度は15だ!工夫して自社の糖度を16に上げたら勝てるぞ!」と考え取り組んだとしても、競合も研究開発を進め糖度を16や17に持ち上げてくるため、抜きん出ることは叶わない。

 二つ目の背景は、競合関連で札束対策。残念ながら製品やサービスの小さな進化に留まってしまうと、ゲームのルールが同じ土俵の上で戦うことになり、競合との札束の殴り合いになってしまう。資本力がモノを言わせることになり、薄利多売に近付きリターンも必然的に減少に。

 けれども10倍の価値提供を行うとなれば、そもそもこれまでと全く違う製品やサービスに仕上がることから別の土俵で戦える。

 例えるなら、ミカンの糖度が横並びなら、後は知名度やブランドの勝負になってしまうため、どれだけ多くの広告費を投下できたかの勝負になってしまい、残念ながら躍進は果たせない。もし仮にミカンの酸味(酸っぱさ)を10倍にすることができたなら、「目覚めのフルーツ!」といった別の切り口で勝負ができる。

 三つ目の背景は、競合関連で顧客対策。残念ながら製品やサービスの小さな進化に留まってしまうと、顧客はスイッチングを拒むもの。これまで慣れ親しんだものから別のものに変更するのは手間暇に加えて心理的ハードルが存在するため、競合から自社のものへの導入には繋がりにくい。

 けれども10倍の価値提供を行うとなれば、顧客は変化に対して前のめりになる。コストが1/10なら「ちょっと面倒だけどやってみよう」。効果が10倍なら「プロセス変更は嫌だけど導入してみよう」といった心持ちになり、変化への抵抗を乗り越えられる。

 例えるなら、オレンジの価格が一箱5,000円から4,500円に下がったと言われても「慣れ親しんだ和歌山県の有田ミカンがいいなぁ」と思ってしまうかもしれない。けれどもアメリカでオレンジ栽培の全自動化が進んで一箱5,000円から500円に下がったと言われたら、きっと速攻で飛びついてしまう。

 10Xのアイデアを考案することは、競争に勝ち続けることに直結する。進化を続ける競合との横並びから抜け出し、競合との果てない札束の殴り合いを避け、そして顧客が持つ変化への抵抗を乗り越えることができる。というわけで、次にアイデアを考える時には10Xを視野に入れて考えてみよう。


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