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"聞く"が導く裏方のファシリテーション

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は茨城県つくば市在住、千葉県東葛地方からつくば市あたりを拠点に様々な新規事業を手掛ける岩城 良和さん。全国を回ってアントレプレナーを育成されている想いやファシリテーターの心構えについて伺いました。


── 岩城さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

祖父が起業した会社、株式会社タイセーの三代目で専務取締役を務めています。ちょうど最近(2022年10月)、兄が社長になったばかりです。


── 具体的にはどのような役割でしょうか?

僕は主に新規事業を担当しています。あまり公には出来ないので領域だけお伝えさせていただくと、半導体関係や生物関係を重点的に手掛けています。ちなみに半導体の方は先日、日本経済新聞社主催のスタアトピッチというピッチ大会にてもお披露目させていただきました。


── 生物関係側は如何ですか?

筑波大学の客員研究員として睡眠の基礎研究をターゲットにした装置を手掛けています。


── 聞いているだけで眠くなりそうです(笑)そんな岩城さんがアイデアをカタチにする場を取り持たれるようになったのは何がきっかけでしたでしょうか?

思い返せば今からもう八年前のことです。2014年12月に東京でStartupWeekend Internationalが開催されて、僕はそこに飛び込んだんです。三日間、スタートアップの始まりをグローバルチームで「All English」でやり通すという場に(笑)


── 中々にタフですね(笑)

そうだんったんですよ(笑)僕のチームはインドネシアの二人と組んだんです。一人がイスラム教、一人がキリスト教、僕が日本の土着文化、前提も違うこともあって、英語は通じても中々に物事が前に進んでいなかったんですね(笑)たった三日間だけだったんですが、グローバルチームで突っ走るのがとても面白かったんです(笑)


── そこでSWに惚れ込んだと(笑)

その時に思ったんです。これ、つくばに持っていったら面白いなー。やってみたいなー。って。そしてつくばで開催することを決意したんです。そしてそこから気付けば合計八回もSWつくばを開催していました(笑)


筑波大学にて開催されたStartupWeekendの様子


── 途中からファシリテーターとしてつくばに留まらず、全国各地でご活躍されるようになりましたが、どのような想いで続けていらっしゃいますか?

惰性でやってる感がありますね(笑)という冗談はさておき、一番は、やっぱり感動を覚えるというか、心打たれるところがあるからです。


── 心を打たれる。

参加した全ての人ではないにしても、必ず毎回、現れるんです。人生を大きく方向転換させるような「何か」を持って帰ってくれる人が。そして暫くすると連絡が届くんです。「人生が変わりました!本当にあの時はお世話になりました!」といった風に。それが励みになって動き続けています。


── 人生にポジティブな影響を与えている。

自分は新規事業を手掛けていて、成功よりも失敗の方が多い。ファシリテーターとして自分が登壇するとその場に集まった人々に行動を勇気づけているのですが、実は自分もいろんなものをいただいている。3日間終えて、次の日の肉体はかなり疲弊しているのですが、心は元気になっている。不思議ですが、SWに関わっていた方が仕事が動いていると思います。


── 相手のみならず自分にとってもポジティブな場になっていらっしゃるんですね。何か具体的なエピソードなどはお持ちでしょうか?

実はとある大学の助教授の方がいらっしゃるんですね。何かの偶然で僕がファシリテーターを務める会に参加してくださって、プログラムを終えた後に伝えてくれたんです。「実は教授職になんてなりたくなかった。本当は別にやりたいことがあったことを思い出しました。」って。そこからご自身で様々動かれ生き生きされていらっしゃるのを見ると本当に嬉しく思います。


ポジティブなインパクトを届けることから生まれた出会いも数多


── 人生の起爆剤のような役目ですね(笑)

もっと大きな視点で捉えると、地域の熱量維持の役割という観点もあると思うんです。先日宇都宮へ赴いたんですが、熱量が圧倒的でした。けれども残念ながら、常日頃から僕が宇都宮にいるわけじゃないので、あくまで着火剤に過ぎないんです。


── ファシリテーションは着火剤。

その場の熱狂がどれだけ圧倒的であったとしても、時間と共に火は少しずつ落ち着いていく。だからこそ、定期的に場を取り持って着火させる必要があるんだと感じています。


── そんな岩城さんの考える、変化を生み出す皆様を支える際に大事なこととはなんでしょうか?

「聞くこと」ですね。


── その心は?

本質はマーケティングと一緒だと思うんです。人って最初、表面的なことを口にするんですね。けれども時間が経って関係性が深まると、深いところを言ってくれる。だからこそ、聞き続ける姿勢が大事ですね。


── 前に登壇するファシリテーターから「聞く」という言葉が飛び出すのが興味深いです。

ファシリテーターって「話す人」って勘違いされている人が多いですが、表向きに一番前にいるだけで、実は一番後ろにいる人です。


一番前で登壇しつつ、実は一番後ろにいるファシリテーター


── ファシリテーターは裏方。

そうです。前に立ってマイクを持っているので主役っぽく見えるんですが、全然主役なんかじゃないんです。ファシリテーターとは場を作る人。前で話していながらも、心の中では場の全てに注意を張り巡らして考え続けてる。全てを把握していなくちゃ務まらない。だからこそ「聞く」という姿勢が大事なんです。


── 全てを把握することで務まる役割。

もちろんファシリテーターなので話す役目は持ちつつも、参加者の状況を逐一判断しつつ、話すべき内容をそれに合わせて変えていって、その状況にあった最適な環境を作り出して行く。一方的なプレゼンテーションではなく間合いを見つつ進めるコミュニケーション、といった方が正しいのかもしれません。


── プレゼンではなくコミュニケーション。

聞く姿勢を持つ人こそが、ファシリテーターになる素質があるんじゃないかと僕は思うんです。


── そんな風にして裏方から場を手掛けることを続けていくと、コミュニティが育ってくるかと思うのですが、コミュニティの熱量を保つ秘訣は何だと考えますか?

やり続けることなんだよね(笑)


── 単純明快ですね(笑)

強制力を働かせることが出来ないふわっとしたコミュニティを持続させ、お互いの関係性を深めていくのは至難なんですよね。どうしてもメンテナンスが必要になってくる。


── メンテンナンスとは?

例えばSWを例に取ると、スタートアップのイベントだけを繰り返していると生まれる熱量は限られてしまう。そこで他の団体に顔を出したりとか、他のイベントと何かしらの連携を取ったりする。そうすることで結果的にコミュニティの輪も広がっていく。


── 餅は餅屋だと。

僕らはイベントを企画運営して火をつける役割。その維持までもを全て担おうとするのは無理がある。だからこそ自分たちが出来ないことは地域の仲間に任せ、経過経過でまた改めて関わっていく姿勢が大事だと思うんです。


── 関係各位を巻き込んだ上でやれることをやり続ける。

イベント中にどれだけ地域で活躍する多種多様な方々と繋がれるか、そこに尽きるんじゃないでしょうか。地域ごとにコミュニティ発展に貢献してくださる皆様は異なると思うので、試行錯誤を重ねる他はないんじゃないでしょうか。


多種多様な皆様と繋がり発展したSW名古屋


── そんなコミュニティに飛び込み、アイデアをカタチにする道を歩まれる皆様にアドバイスはありますか?

続きは下記よりお読みください。


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