見出し画像

重過ぎるアンケート

 noteでアンケートに関する記事をいくつか作ったことから、チェック依頼が無数に飛んで来るようになった。そうやって受けている中でも、「これは他の人にも注意喚起した方が良いな!」と思ったことが時折出てくる。今回はその中の一つ「アンケートの重さ」に焦点を置いて共有を進めていこう。

飛び交うアンケート依頼

重いアンケート

 アンケートの重さは大きく分けて二つに分けられる。一つ目は「回答難易度の高さ」それは何かというと、どれだけ考えてもすぐに答えが出ない。もちろん回答しようと思えば回答しようと思うのだけれども、ちょっとした合間に実施をすることは適わず、机の上に向かって本気で思考しなくてはならないものだ。

 二つ目は「回答数の多さ」だ。これもちょっとした隙間時間に取り組むことが難しいという点では回答難易度の高さに近いものを感じるのだけれども、こちらは単純に「簡単な質問が無数に並んでいる」類のものだ。いったいどれだけ答えさせるんだと読み手がうんざりする類だ。

 といっても抽象度が高くて分かり辛いかと思うので、届いたアンケートの中身をラーメンに置き換えて具体例で説明していこう。さぁラーメン先生、出番ですよ。

回答難易度

 回答難易度の高いアンケートの例を一つ出してみよう。

配送ラーメン一杯当たりの原価平均を教えてください。
ここでの原価とは下記五つを指します。

➀ラーメンそのものの材料費
②ラーメン製造に関わる人件費
③ラーメン製造に関わるスペース代
④デリバリーサービス決済手数料
⑤SNS広報費

該当するものに✓を入れてください。
〇300円以下
〇300円~400円
〇400円~500円
〇500円~600円
〇600円以上

ペロッ…!!!これは…重いアンケート!!!

 もし仮にあなたがラーメンでビジネスを展開していたとしても、上記の数字を算出するのは中々に骨が折れる。ラーメンそのものの材料費は一杯当たり大体把握していたとしても、スペースや人件費や広報費を全て案分して一杯のラーメンに当て嵌めることは至難の業だ。

 もし中本がラーメン店の店主であれば過去一年分の実績を引っ張り出してEXCELで計算を開始するレベルだ。ちょっと気が向いたら回答しようかな、なんてものではない。アンケートと本気で対峙せねばならなくなる。

 といった風にこんなにも回答難易度が高いと何が起こるのか?単純に誰も答えてくれなくなるのだ。「え…冗談じゃない…」「協力する気が起きないなぁ…」と感じられThe Endだ。

 もちろん、そのアンケートの主と知人友人関係であれば「よっしゃ!一肌脱いて協力してあげようかな!」と思ってくれる確率もゼロではない。しかしながら結果的に知人友人以外は誰も協力する気が起こらず「URLがシェアされることにより幅広い人数から回答を得ること」というアンケートの強みは活かされずに終わってしまうことだろう。

回答数膨大

 回答数の多いアンケートの例を一つ出してみよう。

 あなたはジビエラーメンを食べたことがありますか?
 YES / NO

 YESの皆様に伺います。どのジビエでしたか?
 自由回答

 そのジビエの臭いは如何でしたか?
 とても臭い / 臭い / 普通 / 爽やか / とても爽やか

 ジビエはどちらに使われていましたか?
 スープ / チャーシュー / その他

 チャーシューに使われていた方に伺います。
 豚と比べて歯ごたえは如何でしたか?
 とても固い / 固い / 普通 / 柔らか / 柔らか

 ジビエラーメンを食べられた土地はどこでしたか?
 自由記入

 +50問ほど(!)

質問多過ぎアンケート

 何かというと、一つ一つの質問は本当に簡単なのだ。直感的に答えられる。けれどもその答える量が膨大であるからこそ、回答者がやる気を失ってしまうのだ。結果的に回答難易度の高い場合と同じ現象が起こる。

 それは何かというと知人友人だけが「仕方ないから協力してあげるよ!」「普段お世話になっているから御礼として!」といった風にして回答やシェアをしてくれるのだけれども、他は一切広がらないという悲しい事態に陥ってしまうのだ。

軽いアンケート

 といった風にして、残念ながらアンケートが重過ぎるとアンケートとしての価値が一切発揮されない。というわけで軽く回答できるよう設計し直す必要がある。もちろんアンケートを投げることで自身の考えを客観的に証明したい、数字を取りたいという気持ちは痛いほど分かるけれども、それをアンケートに背負わせるのは荷が重すぎる。

 他のnoteでも言及しているので繰り返しになるけれども、そもそもアンケートを通じて人の心の中(言葉にならない声 / インサイトと呼ばれるもの)を掴み取るのは至難の業だ。その人の表情は読めない。その人の声色は聞こえない。その人の回答に至るまでの沈黙の時間や声の大きさといったものも何もない。結果として最も掴み取るべき「人の感情」が抜け落ちてしまうことが多いのだ。

 ではどうしてアンケートを広く遍く拡散して回答を得るかというと、一つは傾向を掴むためだ。こんな風に困っている人がいるんじゃないだろうか。こんな風な製品やサービスにどんな印象を持たれるんだろうか。といった風に母集団を増やすことで傾向を見るためだ。

 そしてもう一つは「インタビューすべき人」を炙り出すためだ。上述に記載したアンケートでは見出すことが出来ない感情を掴み取るため、時間を取って話を聞くべき人を見つけるためだ。最初から一人一人にインタビューしていてはどれだけ時間があっても足りない。当たりをつけることが欠かせないからだ。

 というわけでアンケートは回答難易度の高さや回答数の多さに気を付けていこう。しかしながら、残念なことにアンケートを作っている自分自身では重さに気付けないので、SNS等を通じてアンケートを拡散前に想定回答者に近しい人物にフィードバックを貰っていこう。「重過ぎない?気軽に答えられそう?なんか違和感を感じない?」といった具合に。そしてそれらを通じて改善を果たしてから世に投げ込んでいこう。

 今回のnoteがアイデアをカタチにされたい皆様のアンケート設計の一助となることを心から願っています。

参考

 他のアンケート関連noteはコチラです。興味関心が湧いた際には是非にお目通しくださいませ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?