見出し画像

日記:ドライブ・マイ・デイ

朝起きる。
休日なのでアラームはかけていない。ベット脇のカーテンを開けてみて外の光を部屋の中に取り込む。明るさからしてだいだい6時30分位だろうか。
スマホを手に取り時間を確認すると、6:32の表示、ほぼ合っていた。自分の中の時間感覚が正確だったと分かってちょっとうれしい。

布団に包まりながら今日の予定を考える。昨日の時点では大雑把にしか考えていなかったが、起きてみると予想以上に天気がいい。予報では晴れのち雨で、昨日の夜も結構な強さで雨が降っていたのに、それとは裏腹に出かけろという顔をしている。
本当は日曜日に出かける予定だったけれど、今日出かけてみることにした。
毎度の如くの池袋だ。ラーメン家と書店と観たい作品がある時は映画鑑賞のお決まりのコース。東京から引越ししたのに結局池袋に足が向かう。池袋は僕にとってのハブスポットなのだろう。

さて、出かける予定は決まったが、いつものラーメン家の開店時間まではまだ時間がある。そして実際問題、腹が減っている。空腹の方が美味しく感じるのは確かだろうが、諦めて少し朝食を取ることにした。
僕の家には冷蔵庫がない。元々ほとんど自炊せず、コンビニ飯をチンして済ますことが多く、いつしか冷蔵庫を使わなくなった。前に住んでいた家では1年中電源を切って中に何も入れていなかった。
僕の家には貯蔵という食料の概念がほとんどない。そのため、食べ物を手に入れるためには買いに外に出るしかない。自分の中では部屋に籠りきりになるのを防ぐ、モンゴルの狩猟民族的な過ごし方だと思っている。このこともいずれ記事にできそうだ。

コンビニでプロテイン入りの乳飲料を買ってきてプロテイン増量のフレークにかけて食べる。プロテインマシマシが最近のお気に入りだ。
だいたい7時半位、家を出るまでにはまだ2時間ほど時間がある。ベットに座りながら適当に本を取る。國分巧一朗さんの『暇と退屈の倫理学』を久しぶりにパラパラとめくる。約1年前にメンタル不調に陥った時に読み、そこから哲学に本格的に興味を持つきっかけになった、思い出の深い本だ。
結論部分をパラパラ読み直していると、ドゥルーズがフロイトの精神分析の自我のモデルを『差異と反復』の中で修正・発展させた記述があった。
最近はドゥルーズについてつまみ読みしながらフロイトの精神分析に進もうとしていたので、思ってもいない偶然だった。むしろドゥルーズがそれほど巨大だということだろう。

本を読んでいる内にいつの間にか寝てしまった。起きたら9:48。そろそろ家を出ないと間に合わない。
寝ている間に夢を見た。視力がぼやけていて手に持った本?か絵?を見ようとしても見えずにもがいている。そして、頭が重たく左右どちらかに傾き、頭を肩より下にしながら部屋や街の中を歩いている夢だった。昔は喋れずにもがく夢をよく見た気がするけど視界がぼやけてもがくのは始めてだったかもしれない。
急いで支度をして家を出る。最寄り駅まで約20分、いつもの大きな道沿いの歩道を歩いていく。その間に今日はこのようないつもと違ったテイストの記事を書くことを思いついたり、書店で探す本のことを考えたりしていた。

電車に乗ること約30分、池袋に到着。改札を出てから地下鉄に乗り換えてラーメン家の最寄りに向かう。多分目を瞑ってでも行ける位、通いなれた道。
開店から10分ほど遅れて店についたが、外に結構人が並んでいた。第1陣では入れそうにない。ちょっと待つ。
待っている間、僕は購読している白饅頭さんのマガジンの記事を読む。
白饅頭日誌(月額課金マガジン)|白饅頭|note
いつでも読めるのに何故か分からないが、ラーメン家の待ち時間で読むのが習慣になっている。読むとちょっと暗い気持ちになるが、ラーメンの美味しさがそれを打ち消して有り余る幸福感をもたらすことを僕は知っている。

待つこと約15分、店内に入って座ることができた。この店の決して飾らないこじんまりとした雰囲気が気に入っている。かれこれ通い始めて5年くらいになるだろうか。住む場所が2,3回変わっても、結局この店に足を運ぶ。
1200円で幸せになれる、僕が無条件に肯定できる数少ない場所だ。いつかこのお店のことも記事にできたらいいな。
気がつけば着丼。店主が流行の病の抗原検査で陽性が出たとのことで2月の末から2週間ほど店が開いていなかった。そのため、僕にとっては約1か月ぶりのお気に入りのラーメンだった。
”旨い!”
どんぶりの中のモノ、全てが、旨い。
最近は、普遍的にうまい醬油ラーメンの方向に向かっている気がする。
いつも通り満足して店を出て、運動がてら歩いて書店に向かう。

書店に入り気になった本が平詰みされているのを見つけてすぐ手に取る。
他にも気になる本がいくつかあったので、フロアを巡って探し歩く。この時間が妙に楽しい。まるで宝物を探して冒険しているみたいにテンションが上がる。マークしていなかったけど、面白そうな本を見つけた時は尚更だ。
気になった本を全部が全部買えるほど金持ちではないので、いくつかの本はスマホのメモに残しておいて、また読むべきタイミングになったら手に取ろうと思う。『暇と退屈の倫理学』の文庫版を買ってしまった。既に手元にある増補版とほとんど差はないのだが、1年ぶりに読み直してみるのもいいだろうと思って買ってみた。増補版の方は実家に送って読んでもらおう。多分読んでくれないと思うけど。
暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator) | 國分 功一郎 |本 | 通販 | Amazon

13時頃、書店で買い物を終えてホクホクしながら映画の上映予定を検索する。先週観たバットマンを吹き替えでも観てみたいと思っていた。しかし、池袋や家の最寄りの映画館の字幕版の上映時間は夕方で微妙に時間が合わない。それまで漫喫で時間を潰すのも面倒なので今日は諦めて帰ることにした。3連休の残り2日でやることが無くなってしまう。
各駅停車の電車でゆっくり帰りながらさっき買った本を少し読む。千葉雅也さんの『現代哲学入門』だ。最初のデリタの章を読んで脱構築についてちょっと分かった気になりながら駅から家への道を行きとは逆にたどって帰る。途中のコンビニでコーヒーとカットされたパイナップルを買って家に着く。
コーヒーを飲みながら『現代哲学入門』の続きを読む。中庸な立場でバランスを取りながら考え続ける感じがしてとてもいい。ドゥルーズについてもこれから取り組もうとしていた概念について参考になる点がいくつもあった。
事前に気になっていた偶然性について書かれている4章まで読み終えた。これから学ぼうとしているフロイトの精神分析も無意識=他者=偶然性というう点で無関係ではなさそうだ。勉強に終わりはなく、そこに人間の有限性がある。
現代思想入門 (講談社現代新書) | 千葉 雅也 |本 | 通販 | Amazon

気が付くと16時半になっていた。外を見てみると何だか雲行きが怪しい。予報通り雨が降るらしい。コンビニに買い出しに行こうとすると、パラパラと降ってきた。一度戻って傘を手に取り、再び家を出る。適当に買い出しして家に戻ったが、コーヒーとパイナップルがまだお腹に残っている感じがする。いつもはご飯を先に食べるが、今日はお風呂に先に入ることにした。
風呂が溜まるのを待つ間、今日買った別の本に手を付ける。百合小説アンソロジー『彼女。』だ。別に遠ざけていた訳ではないのだが、久しぶりの百合成分の摂取だ。1作目を読んでみたけど、
”尊い!”
百合ってこんなに尊かったけ?
1日で読もうとすると摂取過剰になりそうなので今日はここまでにしておく。ちなみに僕は百合が世界を救うと思っているので、そのこともいつか記事にしたい。
彼女。 | 相沢 沙呼, 青崎 有吾, 乾 くるみ, 織守 きょうや, 斜線堂 有紀, 武田 綾乃, 円居 挽 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

お湯が溜まったのでお風呂に入る。読書に熱中してしまったせいで設定した温度よりも若干ぬるくなっていた。湯船に浸かりながら今日の出来事を振り返えり、記事の大まかなあらすじを頭の中で考える。ふと見るとお湯の中で小さな泡ぶくが炭酸飲料のように湧いている。これが千葉さんの言っていたデリタの他者のイメージってヤツかと思いながら、湯面をパシャパシャする。ある程度体が温まってきたので、風呂から上がり、ロクに頭も乾かさないまま夕飯を食べる。

ちょっと落ち着くまで休憩を取った後、PCに向って記事を書き始める。
さあ、現実に記事が追いついてきた。
朝からの出来事をできるだけ省略せずに時に考えたことを思いつくままにタイピングしながら記述していく。
今まさにこの段落を書く時に冒頭からザっと読み返してみると、なんのきない事でも続けて書くとそれなりに文章っぽくなることに気が付く。
ただ出来事を書き連ねているだけなのに何か物語っぽく見えてくる。
物語論(ナラトロジー)の話も千野帽子さんの本をちょくちょく読んでみているのでいつか記事にできたらいいなぁ。
物語は人生を救うのか (ちくまプリマー新書) | 帽子, 千野 |本 | 通販 | Amazon

という訳で今日一日を小説っぽく振り返る試みもここまでで終わり。
この後は日課にしているネット麻雀を打ってから寝ます。
今日は勝つぞー!
では、また。
サラダバー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?