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お金をかけずに短期的に利益をあげる目標設定方法

こんにちは、元政府系銀行員×元補助金審査員×コンサル会社経営 の川原です。
中小企業や個人事業主の方が財務や数字を武器にして ”儲かる” "お金が増える" ための情報を発信しています。


noteでは、私の普段の活動や今後何をしていくのか、何を考えているのか、といったことを書いていくつもりです。皆さんのビジネスのヒントや私を知って頂く機会になれば幸いです。

事業再生の現場で、僕はある疑問に直面していました。

それは、いくら目標設定をしても評価制度と紐づけても、なぜかメンバーの行動が変わらない、というものです。

それまでの僕は、人は評価されるように動く、という神話を信じていました。
適度な目標設定が成果を高めるとも信じていました。

しかし、行動が変わるどころか逆効果。
余計な軋轢や不信感を生んだだけでした。

ちなみにその時に設定していた目標は売上高成長率を定めたり、各費用を予算化するといったオーソドックスなもの。

そこで、色々なコンサルの先輩や経営者に話を聞いたり試行錯誤を重ねた結果、これを目標指標にすれば成果が出る、という指標を見つけました。

それは何だと思いますか?

それは「人的生産性」です。
難しく感じられたかもしれませんが、例を出せばイメージできると思います。

例えば、
店舗であれば
・売上高÷人件費(稼働時間)

工場であれば
・生産高÷人件費(稼働時間)

といった具合です。

生産性というのは、インプットに対してのアウトプットの比率です。
投入した人(人件費や労働時間)に対して、どれだけの成果(売上や生産高)をあげられたか。

では、なぜ他の指標はダメでこの指標がいいのでしょうか?

よくある他の指標を見てみましょう。

例えば
・売上高成長率
を指標に設定したとします。

当然ながら売上を最大化するように動きますよね?
そうすると、売上は増加する確率が高まりますが、以下のような副作用がおこります。
・値下げして売る
・過剰サービスになる
・短期的な売上を作るために無理やり売りつける
・広告費や人件費などコストが増える
・ロスが増える
などです。

これが副作用ですね。

それを防ごうとすると、今後は「じゃあ、利益率も目標にしよう」となります。

そうするとどうでしょう?
アクセルとブレーキを同時に踏めと言われているようなもので、経営マインドのある人は良いですが、多くの現場の人はどう動いて良いかわからなくなってしまいます。
そして「前と言ってることが違うじゃないか。せっかく頑張って成果を出したのに」となる。

さらには、売上をあげろ、利益率をあげろ、と言われても、具体的に何をすればいいか分かりませんよね。

そこで色々と試行錯誤した結果、たどり着いたのが人的生産性です。

個人的には、
売上高÷稼働時間
が、シンプルかつ体感的にわかりやすいのでお気に入りです。

これは言い換えれば
「いかに人の稼働時間あたりの売上を増やすか」
という問いかけです。

どうですか?
あなたがお店の店長だったとして、
売上をあげろ!
と言われるより、出来そうな気になりませんか?

そもそも売上をあげろと言われても、商品・価格・立地・ブランド、など店長には動かしようのない要素が多すぎますよね。

一方で、「いかに人の稼働時間あたりの売上を増やすか」と言われると、工夫次第でなんとかなりそうじゃないでしょうか。
例えば、お客さんが少ない時間はシフトを減らすとか、そのために時間別の売上高を見てみるとか、なるべく予約時にコースを頼んでもらえるようお声掛けしよう、とか、お金をかけなくてもできますよね。

店舗以外でも、ちょっとイメージしてほしいのですが、お金が出て行っているわけではないですが、無駄な時間って多いですよね。
ここでいう無駄な時間は「寝ている」「さぼっている」時間ではなく「なんとなく仕事しているっぽいけど実は何も生み出していない時間」です。
(人のことは言えず、僕はめちゃくちゃ多いです笑)

製造現場なんかをまわってみても
・なんとなくモノが来るのを待っている
・なんとなくゴミ拾ったり仕事してる風だが実は時間つぶし
・過去からの前例でやってるが実は要らない作業をしている
みたいな人いますよね?

お店でも
・お客さんが少ない時間なのにやたら人が多くて暇そう

事務では
・ネットサーフィン

経営者では
・意味のない会合や飲み会参加

その他
・移動時間にゲーム

などなど。

もちろん、中長期的に見て必要な仕掛けや投資の時間、試行錯誤の時間、休憩の時間などは必要です。
ここで言っているのは、なんとなくで過ごしてしまっている時間のことです。

生産性を意識すると、無理に売上を増やしたり、必要なコストまで無理に削らなくても
・売上が少ない曜日・時間帯のシフトを減らそう。どうしても余ってしまう人のために、その時間にピーク時に備えてできる別の作業を準備しておこう
・もう一声かけてついで買いを促して客単価のアップをしてみよう
・無駄な作業をなくそう
・生産工程を見直して「待ち」時間をなくそう
・あまり売れない商品をやめて作業効率やロスをなくそう
・移動時間用に、勉強用の本を持ち歩こう
・現場のすきま時間に日報が書けるようにスマホアプリを導入しよう
などと、考えるようになります。

つまり一人一人の具体的な意思決定と行動が変わり、利益が改善していきます。

短期的に検証できるので、成果も見えやすく、モチベーションアップにもつながります。

いかがでしょうか?

何を目標にすれば良いか分からない方、目標設定したけど効果のイマイチでなかった方は、生産性向上に取り組んでみてください。

お読みいただきありがとうございました。