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銀行の起源は両替商が使ったカウンター

歴史を学んでいると、たまに「これまんま役に立たなそうだけど面白いな」という事柄をよく見かける。今回はそのうちの一つ、「銀行の起源」についてお話ししよう。 銀行は英語でバンク(bank)と呼ぶが、そもそもなぜバンクと呼ぶのだろう? 私も別に考えたことはなかったのだが、確かに言われてみれば、お金を扱うところだし、日本語でも銀行と呼ぶから、「マネーなんとか」とか「何々シルバー」みたいなお金に絡む名前でもいいのではないかと思う。そんな中で、「バンク」という何ともお金に結びつけづら

    • 貨幣誕生のイノベーションと平和

       貨幣誕生の歴史から見るイノベーションと平和の関係について。  紀元前612年、アッシリア帝国の滅亡後の混乱期に、エーゲ海沿岸のリュディアという国があった。この時代、貿易を通じて周辺国との関係を深めたリュディアは、世界初となる硬貨を鋳造に成功する。人類が貨幣を誕生させた瞬間だ。  それまでの取引方法は、物々交換、借用と信用取引(収穫後に穀物を支払うから種を借りるなど)、労働交換などだったが、何にせよ問題だったのは大きく二つ。 一つは交換する品の保存が難しかったこと。重た

      • 「次世代を育てる」というもう一つの大仕事

        リーダーがこなさなければならない仕事は、受け持つ国や組織を豊かにすることと、次世代を育てること。 それに気づかされた歴史の教訓があるのでいくつか紹介する。 リーダーシップの歴史は、多くの教訓を私たちに教えてくれる。これは国や企業などの大きな組織のリーダーを目指す者にはもちろん、それ以外の者全員にとっても大切な教えだ。 次世代を育てることの重要性は、過去の多くの事例から明らかにされている。国の総裁や企業の経営者などのリーダーは、自分の手腕によって国や組織を豊かにすることが大

        • 昔の生活に興味はあるが、戻りたいとは思わない

          少年は、学校の先生に言われた「校内ではスマホに使用禁止です」というルールに疑問を持っていた。 「どうして禁止なんですか?」と先生に聞くと、「授業中にスマホをいじられると授業の邪魔になるし、校内でSNSなどに触れると、不適切な情報が広がってしまい、風紀を乱すからだ」と言われた。 少年はたずねた。 「じゃあ、授業中はスマホで夏目漱石の文学を読んで、家に帰ったら友達と好きなゲームの話でLINEして、その話題を次の日の学校に持ち込んで休み時間にしゃべるのなら問題はありませんか?」

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          4本

        記事

          団結するのと競争で生き残るのでは求められるものが違う

          出口治明さんの著書『全世界史』の中で、中国の王朝が入れ替わる際に起きた革命について述べている一節がある。 簡単にまとめると、古代中国の商という王朝は、紀元前一〇二三年、戦争によって周と呼ばれる王朝に滅ぼされた。 その大きな敗因は、神様に対する考え方が違ったことだという。 それまで商王朝では、神様を「帝」と称して、王朝の祖先たちと同一視して捉えていた。 ところが、周王朝では神様のことを帝ではなく「天」と呼び、祖先の枠にも収まらない、まさに人智を超えた存在だと認識していたのだ

          団結するのと競争で生き残るのでは求められるものが違う

          イノベーションは交易によって引き起こされる

          出口治明さんの著書『全世界史』の中で、交易とイノベーションの関係についての記述があった。 紀元前一八〇〇年代、メソポタミア文明とエジプト文明の中間に位置するシナイ半島で、アルファベットが発明された。これは、文字の異なる2つの文明の間で取引を円滑に行うことを目的だったと言われている。 つまり、アルファベットという発明は、元を辿れば交易によって生まれたということだ。イノベーションが生まれる一つのキッカケは、人との交易だったのである。 面白い事実だと思った。今や全世界のほとん

          イノベーションは交易によって引き起こされる

          民族移動が我々にもたらしてきたこと

          民族移動の歴史と経済と幸福の関係が面白かったので紹介する。 出口治明さんの著書『全世界史』の一節に、民族移動の歴史に関する記述があった。簡潔にまとめると次のようである。 「今から三千年以上昔、海の民と称される人々は、気候変動の影響から食料を求めて南下し、当時、東地中海で影響力を持っていた遊牧民のヒッタイト人を滅ぼして、彼らが築いた文明を次々破壊していった。 そして、新たに登場するフェニキア人という小さい民族が、異なる言語の人達と円滑に交易をするために、アルファベットととい

          民族移動が我々にもたらしてきたこと

          豊かさは「交易」によって実現される

          出口治明さんの著書『全世界史』にこのような記述があった。 ドメスティケーションについてはこちらの記事で詳しく解説しているのでよければ見てほしいが、簡単にいうと、人が持つ「支配したい欲求」のことである。人間は、農業、牧畜、冶金、さらには神の概念や学問の成立に至るまで、支配する対象を広げ、発展してきた歴史がある。 ドメスティケーションの芽生えで生活に必要なものが蓄えられるようになると、今度は人同士で交易、つまり物の交換を行うようになる。その過程で文字やトークンなど様々な発明が

          豊かさは「交易」によって実現される

          物語とはパクリの組み合わせでできている

           「物語とはパクリの組み合わせでできている」  なぜそんなことにふと気付いたのか。まずは昔の歴史に登場するサルゴンという男の話から始めたい。  今からおよそ四千年以上前、紀元前二千三百三十四年頃、現在のペルシャ湾周辺で生まれた文明・メソポタミアの地で、人類最初の帝国が作られた。  帝国の王に君臨したのは、メソポタミア南部の地方アッカドにいた、サルゴンという男。この男がメソポタミア地方全域からアナトリア半島西部(現在のトルコが位置する半島)までを遠征し、初の統一国家・アッ

          物語とはパクリの組み合わせでできている

          「取引」とは人類なりの生存戦略

          「私はやっぱり、人と取引していたい」 それを改めて認識する学びがあった。 インターネットとスマホで色々な情報にアクセスできるようになってから、人は今まであまり知ることのできなかった情報に触れられるようになった。私の場合、そのうちの一つがビジネスである。 ビジネスについての知識は学生の頃は全く教えられない。働くようになろうとそうじゃなかろうと、人は生活の中でビジネスと必ず関わることになるはずなのに、商売のキホンのキすら教えられないまま、日本で暮らす私たちは育っていく。

          「取引」とは人類なりの生存戦略

          本能的に支配したがる生き物・ヒト

          「ドメスティケーション」という言葉がある。 人類は今から約一万二千年前に、肉を追いかける生活をやめて、定住し自分が周囲を支配したいと思い始めた。これにより、それまでの狩猟採集といういわばその日暮らしに近いような生活から、作物を育て、家畜を育て食糧を確保する農耕牧畜の生活にシフトチェンジしたというのである。 このように、周囲にあるものを支配したいと考えるようになった人間の脳の進化、それが「ドメスティケーション」と呼ばれている。 ドメスティケーションの本能は、最初は植物や動物

          本能的に支配したがる生き物・ヒト

          【試行の価値】ホモ・サピエンス生存の歴史から学ぶ「試し」の教訓

          最近、「倒産」や「新規事業」「マーケティング」「金融の歴史」などに関する本の試し読みをKindleで数冊行なっている。 「事業を立ち上げて伸ばす」という目標を、生きてるうちに一度は達成したい欲望があるからだ。具体的には、教育を今よりもっと良くできないかということで、「WEBメディア」を立ち上げたいと考えている。 小学校から高校の学校教育、部活動とクラブチームでの教育、塾での教育、警視庁警察学校での職業訓練教育など、さまざまな教育をこれまで受けてきたが、自分が心から満足でき

          【試行の価値】ホモ・サピエンス生存の歴史から学ぶ「試し」の教訓

          「甘いもの好き」と「低カロリー甘味料」との向き合い方

          ここ最近、「人が甘いものを好むのはなぜか?」という疑問を少しでも解消したくて、研究論文を元に色々と調べてきた。 詳しくは記事をぜひ見てほしいが、結論から言うと、 子供や青年などの若い人が甘いものを特に好むのは、生物学上そのように進化した結果なので、本能的なものであること。 若い人に限らず人が甘いものを求める要因は、疾病・年齢・食生活・遺伝など様々あるので、肥満をはじめとする慢性疾患に対処するには「糖質制限」や「無添加食品」だけで解決できるものではない。 この2点が主張

          「甘いもの好き」と「低カロリー甘味料」との向き合い方

          【完済困難】企業が受けたゼロゼロ融資と国民生活との関係とは?

          NHKからのニュースで、「ゼロゼロ融資」の返済が厳しい中小企業が多い現状を受けて、金融庁が各金融機関に「資金繰りの回復」から「事業の再生」を軸に取り組むよう勧告した、という記事が見られた。 「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナウイルスが発生した2020年から売上が悪化した企業に対し、各金融機関が実質無利子・無担保で融資を行った仕組みのこと。主に中小企業をはじめとして一定期間無利子で貸し出すことで資金繰りを良好にさせる狙いがあった。 新規貸付の受付は政府系金融機関で2022年9

          【完済困難】企業が受けたゼロゼロ融資と国民生活との関係とは?

          【甘さの科学】 なぜ私たちは甘いものを求めるのか

          前回、『お菓子を若者が好む理由』と題して若い年齢の人が甘いものや塩辛いものを成人よりも欲する理由について科学的に解説した。 結論、若い人のほうが甘いものや塩辛いものを強く欲するのには、生物学的な理由と遺伝的な理由が関係しているということだったが、研究手法の点などからはっきりと断言できるほどの理由はない、ということで終わった。 今回はその続きで、より多くの研究を分析して、若者に限らず「人類全体が甘いものを好んでいる理由」について探ってみよう。 参考にしたのは『甘味嗜好の決

          【甘さの科学】 なぜ私たちは甘いものを求めるのか

          お菓子を若者が好むのはなぜか?

          「塩や砂糖は少なく摂る、あるいは全く摂らない方が良い」という考えがいつからか登場して以来、低糖質や無添加の食品が増えてきた。 その背景には、糖尿病や肥満などの症状を人が持つようになっていったからだろう。確かに深刻な問題であるし、一刻も早く解決しなければならない。 一方でつい先日、とあるアートイベント販売されていた添加物不使用のマフィンを食したお客の中から食中毒が発生したというニュースが報道された。 低糖質や無添加の食品といっても、限度を超えるとこのように食中毒を引き起こし

          お菓子を若者が好むのはなぜか?