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【完済困難】企業が受けたゼロゼロ融資と国民生活との関係とは?

NHKからのニュースで、「ゼロゼロ融資」の返済が厳しい中小企業が多い現状を受けて、金融庁が各金融機関に「資金繰りの回復」から「事業の再生」を軸に取り組むよう勧告した、という記事が見られた。

「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナウイルスが発生した2020年から売上が悪化した企業に対し、各金融機関が実質無利子・無担保で融資を行った仕組みのこと。主に中小企業をはじめとして一定期間無利子で貸し出すことで資金繰りを良好にさせる狙いがあった。

新規貸付の受付は政府系金融機関で2022年9月まで民間金融機関では2021年3月まで行っていて、コロナ禍より3年経過した2023年以降、3年間無利子のモラトリアムは終わり、いよいよ利子付きの返済が迫る企業が増えてくる。

3年経っても事業の再建が出来ず、完済が見込めない企業に対しては、「コロナ借換保証」という形で、借り入れ先とは別の金融機関からより低い金利で借入を行い、その借入金で元の借り入れ先に返済していく。制度の利用には各種申請と審査が伴うという。
ただこの制度、事業改善にはつながっているわけではないので、企業のテコ入れはやはり必要である。場合によっては金融機関等からコンサルティングしてもらうことにもなるだろう。

このニュースを見て率直に疑問に思った点がいくつかある。

  • 実質無利子・無担保で貸し出す制度の財源はどこか?

  • 仮に企業が完済できなかった場合、その損失は国民の生活にどう影響するのか?

  • 金融庁から金融機関への勧告(?)は、実際どのくらいの効力があるのか

  • そもそも借り入れしなくても資金繰りを安定させるために、有事の際はどのような経営戦略を執ればいいのか?

まず、「ゼロゼロ融資」を始めるにあたって、その財源がどうなっているのかが疑問の一つ目。この制度は、日本政策金融公庫をはじめとする政府系金融機関だけでなく民間の金融機関も実施している。

彼らもビジネスでお金を貸しているわけだから、当然リターン(見返り)を考えなければならない。
ところが無利子・無担保での貸付となると金銭的なリターンは見込めない。要するにキャンペーンのようなものだ。なのでメリットがあるとすれば、キャンペーンによって集客できる、とかだろう。
だからこそ民間の金融機関は、政府系金融機関より新規受付期間が短い2021年3月までに設定している。期間を延ばしてしまうと無利子・無担保だから売上が上がらないからだ。

なによりこの制度、公庫で融資を受けて企業が返済を滞った場合元本の8割か全額を政府の財源を裏付けとした信用保証協会が肩代わりするという仕組みになっている。また、利子も各都道府県が補給する。

政府や各自治体の財源は何で賄われるかと言えば、いわずもがな国民の税金だ。つまり、企業の返済が滞ってしまった時のツケというのは、その企業だけでなく、間接的に国民にも払わされるということだ。
なのでゼロゼロ融資を行なった後の返済状況がどうなっているかは、税金も関わってくる以上、我々もしっかり注視しなければならない。

2点目の「国民生活への影響」についてだが、新型コロウイルスによる経済の停滞は全世界ほぼ影響されているから条件は同じとして、その後に続いたロシア・ウクライナ戦争による石油価格の上昇、アメリカのインフレ、それ以前に日本国内で成長産業が作れず少子化対策にも失敗したことによる貧困化で、日本は世界情勢に対応しきれず物価高になっている。

この流れで中小企業が債務不履行(借金の返済ができない)になった場合、金融機関の損失は膨れ上がり、事業を縮小あるいは倒産する恐れがある。そうなると取引していた企業の資金繰りも悪化して…という負のスパイラルに陥って、モノが買えなくなったり、物価がさらに上昇する可能性があるだろう。
その文脈で言うと、ゼロゼロ融資を受けた企業が完済できなかった場合、国民への影響の流れとは具体的にどのようなものか、疑問に思うところである。

3つ目はニュースの内容を深ぼった疑問。
今回のニュースの要点とは、つまるところ「そろそろ超絶サービス融資した企業からの返済が始まるけど、なんか返すの厳しそうだから、とりあえず金融機関は取引先の資金繰り安定よりも事業そのものをどうにか改善する方向で動いてくれ」ということだろう。
こうしたお金を扱う省庁からの勧告のようなものは、実際のところどれくらい効力があるものなのだろうか?

内容そのものは納得できるものなので、あとはそれを受けた金融機関が実行に移すかどうかに尽きる。これがまた上手くいかないようなら、その影響は先ほども言った通り、私たちの生活に波及してくるだろう。

4つ目はそもそもの話になるが、コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争ような有事でも、うまく対応して売り上げを安定させることができたならそれに越したことはない。
なら、有事の際でもビジネスを回していくためにはどんな経営戦略が必要なのか、というのはぜひ知っておきたい。そのためには、コロナ禍の当時やロシア・ウクライナ戦争が続いている今も着実に売り上げを伸ばしている企業を見つけて、調べてみる必要があるだろう。

ということで、「ゼロゼロ融資」のニュースを見て思った疑問について、いくか紹介してみた。

今回は以上。
全ての知に「幸」あれ。


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