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【アイデアのつくり方】アイデアは天才の特権ではない

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜アイデアは天才だけのものではない〜

本当に30〜60分あれば読めてしまう薄くて短い本なのだが、「アイデアはどのように生まれるのか?」という疑問に対して、無駄なく簡潔に書かれている。

著者は名の知れた広告マンであり、主に広告のアイデアを生み出すためのプロセスとして書かれているのだが、その方法論はどんな分野にも当てはまるだろう。


まずそもそも「アイデア」とは何か。

まず、本書ではアイデアを「もともとあるもの同士を組み合わせたもの」と定義している。全くゼロから新しい発想が生まれる、というのはそれこそ夢物語である。既存のものを組み合わせることで新しい何かが生まれるのである。

そして、アイデアには閃きが必要であり、それは天才にしかなし得ない特殊な力のように思う人が多いかも知れないが、それは違う。むしろ、日々の鍛錬や地道な作業により生まれるもので、天才の特権ではない。


〜日々の積み重ねからアイデアは生まれる〜

簡単に言うと、アイデアを生み出すプロセスは以下の5段階になる。

①データを収集する
②集めたデータを咀嚼する
③データを組み合わせる
④アイデア(閃き)が生まれる
⑤アイデアをチェックする

しばしば、他人が新しいアイデアを思いつく瞬間は④しか目にしないので、「アイデアとは天才の閃きだ」という印象を持たれ、アイデアを生み出す人は何か特別な能力を持っているかのように思うのだが、実際のところ、日々①〜③を常に行い、④の閃きが起こる事を待つ、というのがアイデアのつくり方の基本的な方法である。

すなわち、日々努力してさまざまな知識や情報を取り入れていくことがアイデアを生み出すカギになるのである。
著者から言わせれば、この努力を怠って天啓に任せてアイデアが降ってくるのを待っていても当然何も生まれない。日々、様々な情報や知識に触れて蓄積していく努力が必要なのである。
現に著者は本書で「この方法論は言うのは簡単だが、実践するのは難しい。だから、この方法論を広めたとしても、みんながアイデアマンになるとは限らない」と書いている。この日々の努力の点を言っているのだろう。


〜努力の末、ひらめきが生まれる〜

さて、本書を読んでそのアイデアのつくり方を知ると、岡潔さん(数学者。主な著書などは「夜雨の声」「数学する人生」「春宵十話」)のいう「情緒」による閃きに似ているように思える。
知識を取り入れ「情報」の種を蒔き、それがいつか花開くのを静かに待ち続ける。
これが岡潔さんの発想の原点である。

世紀の大発見も細かく見れば既存の知識の組み合わせであることがほとんどである。
全くゼロから何か発想が生まれることがある、と考えていれば一生アイデアは生まれない。

よくエジソンの名言「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」を否定する文脈で「努力したってひらめきが無ければ天才になれない」「努力だけではどうにもならない」と言う言葉を聞くが、大きな間違いである。努力した先にひらめきがあるのであり、1のひらめきを得るためにその99倍の努力をしなければいけないのである、と僕は解釈する。

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