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【音楽は自由にする】坂本龍一ファンなら必読

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜坂本龍一さん自身の言葉で語る自伝〜

先月、亡くなられた音楽家・坂本龍一さんの自伝である。坂本龍一さんの幼少期から個人的名盤「out of noise」までの人生を振り返り語ってくれる。

坂本龍一さんは、社会現象とも言われたテクノバンドYMOのメンバーであり、個人の活動では「戦場のメリークリスマス」をはじめ様々な映画音楽を手掛けるなど、日本を代表する音楽家である。

以前の記事でも書いたが、僕は坂本龍一さんの大ファンで、彼のアルバムは全て聴いている。僕自身、趣味でギター曲の作曲をするのだが、坂本龍一さんに影響された面は大きい。

坂本龍一という音楽家のルーツや、彼自身がどのような人間なのかなど、自身の言葉で語られる回想録は、ファンであれば間違いなく読み応えのある内容だ。


〜音楽脳〜

さて、坂本龍一さんの名前を聞けば、数々の社会活動に貢献する人物、というイメージをもつ人も多いかもしれない。環境問題や原発問題について言及するたびに批判を受ける事もあり、そういう活動の方に目を向ける人も多いのではないかと思う。

しかし、なんてことはない。僕の父もそうだが、この年代の人は学生運動が盛んな時代に青春時代を送ってきた人で、社会問題への関心が強い世代の人なのである。
本書でも語られる通り、坂本龍一さんも例にもれない人で、若い時から社会に関心を向けざるを得ない時代に生きていたわけだ。

それに加えて、本書の言葉を借りれば、坂本龍一さんは「音楽脳」で世の中を見ていた。
様々な出来事や事件を「音楽」というフィルターを通して見て考えていたのである。
アルバムに込められた想いを一枚一枚本書では語ってくれるのだが、最初は自分の中の感情をアルバムのタイトルに込めていたのが、2000年辺りからその想いが外に向かっているのがわかる。
坂本龍一さんにとっては、自分と音楽が切り離せないのと同じく、社会と音楽も切り離せなかったのだろう。

本人はそう言っていないが、坂本龍一さんは根っからの音楽家なのだ。


〜ファンなら必読〜

坂本龍一さん自身、音楽以外の芸術や思想・哲学にも造詣が深いことが本書でわかる。音楽に関することだけではなく、様々な知的好奇心が満たされた一冊である。

が、何よりも、坂本龍一さんの音楽に対する姿勢や思い、考えを知れるというのは、ファンとしては非常に嬉しい。僕の作曲にもさらなる影響を与えそうだ。
本書を読みながら、過去のアルバムをひとつひとつ聴きなおしていくのも面白そうだ。

坂本龍一ファンなら間違いなく必読の1冊である。

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