見出し画像

【統計学が最強の学問である】データを上手く使うためのエッセンス

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜統計学のエッセンスを味わう〜

もともと理系だった僕は兼ねてから統計学に興味があった。
しかしながら、大学での数学に挫折した経験もあり、興味はあったものの別に勉強しようとまで思ってもいなかった。

そんな中、この非常に魅力的なタイトルの本を見つけたのだった。

統計学の入門書、というには少し数学を真剣にやった経験が無ければ理解できない部分もあり、完全な初学者向けとも言いにくい。
本書は、統計学はすごいんだ!統計学でこんな分析が出来るんだ!統計学は色んな場面で役に立つんだ!というエッセンスを知るのが主な内容である。

したがって、これから他の本で統計学を勉強するにあたり、わからない事が出てきたらこの本に戻る、という使い方がいいかもしれない。
もしくは実戦で使うには同名シリーズの「実践編」「数学編」「ビジネス編」も読んだ方がいいかもしれない。


〜データ分析も使いよう〜

とはいえ、つい先日読んだ「ブラック・スワン」では、「帰納?回帰?モデル?ランダム?何をバカなことを言ってるんだ!?なんでも、統計的なベル型カーブで表せるなんてバカじゃないか!?」なんていうタレブ氏の怒りに触れたばかりだというのに、ある意味全く逆のアプローチの本を読んだのは、非常に知的な読書体験だったと思う。

しかし、本のアプローチは真逆ではあるものの、タレブ氏も著者も実は同じ事を言っているような気がする。
要は「データ分析や統計は使いよう」だという事だ。

タレブ氏も「ブラック・スワンのいないところにおいては、統計が有効なこともある」と書いていた。
本書の著者も「適切な範囲の適切なデータを使わなければ、有効な結果は得られない」し、「適切な分析を行わなければ、結果そのものが何の意味もないものになる」と書いていた。

要するに、データを正しく読み取る事以上に、そのデータにどんな意味があるのか、その統計にはどんな結果が期待出来るのか、その結果から具体的な行動が示せるのか、といった、実際に使えるデータかどうかという観点が重要なのだ。
そして、それを著者は「統計リテラシー」と表現している。


〜世の中の"統計"の真意を見抜く〜

著者曰く、この「統計リテラシー」は日本全体において、行政、企業、そして一般人を見ると決して高くはない、と考えているそうだ。

そして、僕もそう思う。

世の中、データ信奉のような風潮があり、様々な統計データ(らしきものも含む)を鵜呑みにして、信じ込んでしまう人が多いように感じてる。

例えば、
「読書量と収入には正の相関関係がある」
という事に対して、
「読書をたくさんすれば収入が増える!」
というように安易に解釈してしまうような人がいる。

たしかに、「読書量と収入には正の相関関係がある」というデータはあるけど、そこに因果関係があるかどうかは定かじゃないと僕は思うのだ。
読書の他にも収入に影響する要素はいくらでもあるし、本書でも因果関係の"向き"という話があったが、このデータから「収入が多い人は本をたくさん買えるから、読書量が多い」なんていう説明も出来るハズなのだ。


統計学を使ってビッグデータを利用する、というのはビジネスにおいても重要だが、統計データを上手く解釈する、という事は日常生活で重要だ。
そんな事を考えた一冊だった。


この記事が参加している募集

#読書感想文

187,975件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?