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【日本語のレトリック】言葉の豊かさを知る

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜レトリックとは何か〜

レトリックという言葉は、「巧みな言い回しで相手を言いくるめる術」のように使われる場面をよく見かける。悪意で相手を説き伏せるような場面で「そんなのはただのレトリックだ」という風に使われて、あまり良い印象はない。

しかし、レトリックとは実際には「自分の主張を効果的に伝えることで相手の理解・納得を得る技術・学問」のことであり、言葉の外にある感情や思いを伝える方法である。むしろ、深いコミュニケーションを図るために身につけるべきものなのだ。

本書は、30のレトリックの技法を紹介しており、効果的に伝わるための言葉の使い方を解説してくれる。
本書を読めば、文章を、特に小説を読む楽しさが倍増するだろう。


〜レトリックを知ることは言葉の豊かさを知ること〜

本書を読み終えると、"言葉"の豊かさに改めて気付かされる。
言葉は曖昧であり多くの意味を含む。表現の仕方により、伝わり方は変わる。そして、レトリックによる言葉の表現は感情に訴えかけ、論理を超える。

何かで読んだが、「理解」と「納得」は違う。
論理的な話を聞いて「理解」はしても、何か腑に落ちないことがあれば「納得」しない。岡潔さんの言葉を借りれば、真に「分かる」というのは心で「分かる」ことである。相手に心で「分かる」ように伝えるためには、論理ではなくレトリックが重要なのだ。

レトリックを知ることは、相手を説得する術を知ると同時に、言葉の豊かさに気づくことでもある。
興味が湧かせてくれる、レトリックの最初の一冊目としては非常に良かった。

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