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【自助論】自分の人生を自分で切り拓く

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜天は自ら助くる者を助く〜

「天は自ら助くる者を助く」
この一文から始まる本書は、勤勉に働いて自分で自分の運命を切り拓く事、すなわち「自助」を説く一冊である。

この説明だけをみると、よくある自己啓発本のひとつに感じるかもしれない。
たしかに、自己啓発本ではあるのだが、その根底には、国民全員が「自助」の精神を持つことによって国そのものが良くなっていく、という考え方がある。

政治とは国民の考えや行動の反映にすぎない。

政治の力だけで国民を救えるというのは実に危険な幻想なのだが、このような考え方はいつの時代もはびこりやすい。

国民一人一人の人格の向上こそが、社会の安全と国の進歩の確たる保証となるのだ。

本書の第1章の第1節で上記のようなことが書かれている。
要するに、国を良くするのも悪くするのも国民次第である、ということだ。

僕自身この考え方に、強く賛同する。
何かにつけて国や政治を批判し、「日本は終わった」と嘆く風潮があるが、これに僕は難色を示している。まるで、自分とは関係ないところで"国"というものが勝手に決めた政策や制度によって不幸にされている、かのようだ。
逆に言えば、国や政府が国民を幸福にして当然、と言っているに等しいともとれる。
そんな他人任せの生き方で本当に幸福になれるのだろうか?国が悪くなるのだとしたら、国任せで生きている国民に原因があるのではないだろうか?

自分にとっての幸福は自分で切り拓くしかない。法律や制度とは別の軸で真善美を養い、各々が目の前の事に真摯に向き合い努力する。そうして、国民が皆、勤勉で正直で誠実であれば社会は自ずと良くなっていく。僕はそう思う。

本書は自己啓発本でありながら、同時に国家論でもあると感じた。


〜ついにバイブルを見つけた…!〜

冒頭、第1章第1節から引き込まれてしまった僕は貪るように読んでいくのだが、読めば読むほどある思いが強くなってきた。

というのも、「この本は僕が書いたんじゃないか?」と思うほど、僕が普段から考えていることと同じことが書かれているのだ。

地道に続けて習慣にすることが結局1番の近道だ。
富よりも品性を、人格を。
もう1人の自分が自分を見ていると思って、行動する。

などなど。
僕が日頃から生きていく上で考えていることを次々と代弁してくれたのだ。

物語の登場人物に感情移入しすぎて、「この人は自分だ」と思うのに近いだろうか。少なくとも全体の8割ぐらいは深く共感するようなことが書かれていた。

もちろん書かれていることの内、実践出来ていないことも多い。しかし、僕が理想とする人間像をここまで的確に書いた本は初めてだ。「ついに人生のバイブルに出会ったかもしれない…!」という思いが溢れて仕方がない。

オススメ度は星4つにしているが、個人的には星5つ以上の価値を持っている。
星を1つ減らしたのは、本書にあまりにも共感しすぎたので「他の人が読んだら同じだけ共感してもらえるか」ということに自信が持てないため、遠慮した結果である(笑)


〜自己責任論ではない〜

さて、最後に。
本書で語られる自助とは、国や他人に頼らず、自分で自分の運命を切り拓くことだ。
これだけみると、自己責任論に結びつけてしまう人がいるかもしれないが、それとは違うということは書いておきたい。

僕自身、自己責任は嫌いな言葉である。
というのも、「あいつが貧乏なのはあいつ自身が努力を何もしてないからだ。政府や誰かが助ける必要なんてない。自己責任だ」というように、自己責任という言葉は誰かから誰かへ、外の方向に向けられる(かつ、その誰かを攻撃する意思を含む)事が多い言葉である。そして、それが自己責任論が批判される原因だろう、と考える。

一方、自助とは徹底的に自分の内に向けられた言葉である。
自らを律し、節制を心がけ、自分にとっての幸福や目標を見つけ、それに向けて勤勉に努力する。
自助の精神を持つことは、他者に思いやることは含まれるが、他者に責任を押し付けることはない。
他人の目を気にして自分を取り繕う必要はない。自分の軸、行動基盤を構築し、自らの力で自分の人生をつくるのだ、という意志をもち行動すれば自ずと周りからの信頼は得られる。

ひたすらに自分に自分の目を向けて問い続ける。それが自助なのである。

自己責任と自助とでは、そもそも考える枠組み自体が違う、と僕は考えている。

おそらく、世の中には自己責任という言葉に傷つけられた人もいるだろう。
しかし、他人から押し付けられた自己責任のことは一旦忘れて本書を手に取ってもらいたい

「天は自ら助くる者を助く」

この言葉の意味をよく考えながら読んでいただきたい。

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