見出し画像

【悩む力】深い思考モードを引き出すトレーニング

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜クリティカル・シンキングとは〜

タイトルである「悩む力」は、本書の中では「クリティカル・シンキング」と呼ばれている。

本文を引用すると、

クリティカル・シンキングとは「人の思考には偏りがあるものだ」という前提を踏まえたうえで、あらゆる仮説を立て、根拠をデータで示し、具体的なゴールに向かって最適解を探し続け、できる限り偏りのない主張を構築していく作業のこと

という事らしい。

要するに、「思い込み」ではなく「よく考え抜く思考スキル」と言えるだろう。

影響力の武器」「ファスト&スロー」「Think right」においても、人間は思い込みを完璧に避ける事は出来ない、という結論が見られたが、本書はその「思い込み」から可能な限り逃れるための具体的な思考トレーニングを紹介している(「ファスト&スロー」の"システム2"を引き出すためのトレーニング、とも言えるかもしれない)。

クリティカル・シンキングを身につける事で、支持する証拠を探し、異なる視点から問題を考え、自信を持って主張し、感情に左右されず、誤った情報に惑わされない…などなど、日々情報と問題が重なり身に降りかかってくる現代を非常に生きやすくなるだろう。


〜基本は「ソクラテス式問答法」〜

合理的な思考を身につけるための実践として、まず紹介されているのが「ソクラテス式問答法」だ。

本来は、相手にいくつかの質問を投げかけて相手が自然と解決策を思いつくように導く、というものだが、自分の中の小さなソクラテスと問答する事で自分にとって正しい思考を導くためのトレーニングとなる

その問いかけの内容も非常に重要であり、ただ漠然と質問を投げかけるのではなく、重要なステップを踏む。
①目の前の問題を明確化し、②その問題の前提を理解し、③証拠を探る。そして、④別視点から疑問を持ち、⑤その結果と影響に疑問を持つ。また、⑥浮かんできた疑問に対しても疑問を持ち、より深く課題を考える。


自分の目の前の問題に対して深く思考するスキルを身につけるのに非常に使えるだろう。
最初は「この服を買うか?」という簡単なところから本書の通りにトレーニングしていけば良い。


〜必要な時にクリティカル・シンキングを引き出す〜

ただ、一通り読んで思った事は、「常にこんな考え方してると疲れる…」という事だ。
「ファスト&スロー」にも書かれていた事だが、思い込みや条件反射で物事を決める事は脳のエネルギーの節約にもなる。

重要なのは使いどころだ。
クリティカル・シンキングを身につけ、その使いどころを見極めることが出来るようになれば、完璧だ。

重大な決断をする時、初めての情報に触れる時、うまい話を持ちかけられた時…などなど。

誤った決断や解決方法は自分の生活や人生を悪い方向に進めてしまう危険がある。

後半には、騙されそうな時や相手の論理の矛盾を突く時の方法などが紹介されている。具体的なパターンや考え方を知っているだけで、クリティカル・シンキングを引き出さなければいけない場面で冷静に思考出来るだろう。

この本自体、そんなに時間がかからず読めるので、即戦力となる本だと思う

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?