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【Think right シンク ライト】心理学の名書がこれ一冊で読める

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜シリーズの中では1番実用的〜

本書は過去に刊行された「なぜ、間違えたのか?誰もがハマる52の思考の落とし穴」(現在は絶版)の改訂・復刊版である。
著者ロルフ・ドベリ氏の作品は「Think clearly シンククリアリー」「Think smart シンクスマート」の2作が先に発売されている。この「シンクライト」は続くシリーズ3作目なのかと思いきや、前2つよりも先に書かれており実質「シンクライト」がシリーズ1作目という事になる

だからなのかはわからないが、この「シンクライト」が、3シリーズの中で1番実用的に思えた(得てして、シリーズものは一作目が1番良いもんだ)
他2作はなんとなく内容が実用化するには曖昧な印象だったが、本書は具体的にどのような場面で思考の落とし穴があり、どのように対処すべきか、という事が明確に書かれていて、自分の体験の中から思考のワナに陥ってる場面が想像しやすいのだ。

〜心理学の総集編〜

実は、僕個人で言えばこの本から新しく何かを得るという事は無かった。
書かれている内容は、主に心理学の論文などを参考に書かれているものであり、9割ぐらいが読んだことのある実験や調査の話だった。

僕がこの本を一言で言うのなら、「影響力の武器」「ファスト&スロー」「マシュマロ・テスト」の総集編、となるだろう。

しかしながら、その3つの本はいずれも分厚く読むのに時間がかかる。言い換えれば、その3冊のエッセンスを抜き出して簡潔にまとめられた1冊、とも表現できる。

そういう意味では、この一冊で良書の知識をまとめて読めるのだから、値段以上の価値がある一冊だろう。


〜重大な決断の時に読み返す〜

さて、こういった思い込みや人間の不合理な思考をテーマにした本にはほぼ間違いなく書かれているが、本書で紹介されるような思考のワナから人間は完璧に逃れる事は出来ない。イメージだけで決断してしまったり、深く考察せずに行動してしまう事は、原始時代から人類に備わっている機能なのだ。狩猟の時や敵から狙われた時に、いちいちゆっくりと考えていては命が危ない。即座に判断する事で生き残ってきた人類の子孫が僕たちなのだ。そして、その脳の機能が複雑化した現代では、思考の落とし穴となってしまうという事だ。

実際、即座に反応して決断する事は良いこともある。じっくり考えることはエネルギーも時間も消費する。思考のワナは、ワナでありながら生きる上でも有用な人間の機能なのである。

重要なのは、人間は思考のワナに落ちる、といことを知っておくことだ

何か大きな決断をする時には、自分が思考のワナに落ちないために、この本を取り出して目次から気になる項目を読む。そんな使い方になる本だ。
今後も僕は本棚に常備しておく本になるだろう。

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