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【ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?(第1部 二つのシステム】意思決定に影響を与えるシステム1

以前、ホモ・サピエンス全史でもやったように、本書がかなり重厚な内容であると感じたため、それぞれの部ごとに記事を書いていこうと思う。

今回は「第1部 二つのシステム」についてである。

〜意思決定を司る2つのシステム〜

さて、僕らは生きていく中で様々な意思決定をする。毎日が意思決定の連続で、仕事の成果を左右するような重大な意思決定から、その日の昼食を何にするかという小さな意思決定まで様々であり、その数は計り知れない回数である。

しかし、その意思決定は全てが全て正しいとは限らない。もちろん単純に間違った決定をしてしまう事もあるが、中には本当に自分の意思で決定したのか信じられないような判断をしてしまったと後で気づく事もある。
本当に自分の意思決定は自分の意思に基づいた決定なのか?そんなことを思う事もあるだろう。

本書では、判断と選択を司る思考のシステムをシステム1・システム2と表現している。

「システム1」は、自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分の方からコントロールしている感覚は一切ない。
「システム2」は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い。

システム1は、早い思考、直感的思考と言え、いわば無意識な思考である。一方、システム2は遅い思考、熟慮熟考と言えるだろう。

この第1部は、主にこの2つのシステムについて書かれている。


〜二つのシステムの相互作用〜

システム1は自動的に働き、システム2は知的な思考が必要な際に起動する。
システム1は、危機的な状況における素早い判断が必要な際に大きな効果を発揮するが、少し複雑な計算などを要するときにはシステム2を呼び出す。
こうして2つのシステムを使いながら、僕たちは様々な意思決定をしている。

こうしてみると、システム2は非常に優秀な思考システムのように思えるが、大きな欠点がある。それは、かなりの怠け者だという事だ。
システム2を使うことは、脳にとってはかなりのエネルギーを使う。日々様々な意思決定を行う中で、頻繁にシステム2を呼び起こすことは脳にとって負担が大きい。論理的な判断をするためにはシステム2は欠かせないのだが、基本的には休みがちなのだ。つまりは、日常における多くの判断・意思決定の主役はシステム1なのである

〜システム1の特性を知る〜

さて、生きてる中で様々な意思決定を行い、それが自分の意思ではない決定が行われていることがあるが、それはシステム1が影響しているのである。

例えば、「SO●P」という穴埋めの単語に対して思いついた単語を答える時、その前に「食べる」という言葉を見たり聞いたりした後は「SOUP(スープ)」という単語がすぐに思い浮かび、「洗う」という単語(や、いやらしい単語)を見たり聞いたりした後は「SOAP(ソープ)」という単語がすぐに頭に思い浮かぶ(プライミング効果)。

他にもこんな例もある。
鈴木貴教、大畑愛、高野清彦、谷川宗太郎。
今これらの名前を読んだ数分後に、実際に誰かに会えば「以前に、どこかで会った」と感じる可能性が高い。実際には、全て架空の人物である、にも関わらずである(記憶の錯覚)。

また、あなたがとある女性に出会い、話してみたところとても気さくで感じの良い女性だったとする。その女性とは、その一度きりしか会っていないのに、後日その女性の話題が出たときに、なんの根拠も無いのに気さくで感じの良いだけでなく、"思慮深い"、"気前が良い"、"情け深い"人だと考えるかもしれない。そんな会話をその女性とは一切していないのに「彼女は慈善活動に興味がある」と考えるかもしれない(ハロー効果)。

と言ったように、システム1は僕たちの意思決定に様々な影響を与えている。
かと言って、システム1は厄介者かといえばそうではない。システム1が意思決定の主役となることで、システム2の出番を控え脳の消耗を抑えているし、日々の素早い意思決定を可能にしている。

必要なことはシステム1の特性を知ることであり、意思決定に対して自分がたった今行った決定を疑い、意識的にシステム2を呼び起こす事が出来るようになるかもしれない。

(続く)

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