Takiさん

UNHCR駐日代表ほか、4つの国連機関で28年勤務した後、東洋英和女学院大学で7年教え…

Takiさん

UNHCR駐日代表ほか、4つの国連機関で28年勤務した後、東洋英和女学院大学で7年教えた。今は国連UNHCR 協会特別顧問・東洋英和女学院大学名誉教授。15歳で病気休学したのを反省して65歳で始めたマラソンが趣味。

最近の記事

日本の難民政策は変わるか?

ロシア軍の侵略に対してウクライナ軍が国家生存をかけて抵抗しているウクライナ戦争は、世界に衝撃を与えている。住民の虐殺など戦争犯罪を伴う侵略を逃れて500万人がポーランドやモルドバに避難している。近隣受入国の負担は大きい。 政府と民間の動き  今回の事態に対する日本の対応は速い。政府は、国際秩序を武力で変更しようとするロシアにG7と連帯して対抗する姿勢を明確にし、厳しい経済制裁の他2億ドルの人道支援と3億ドルの経済支援を早々と決めた。  ウクライナからの避難民の受け入れに

    • ウクライナ支援ブーム?

      ロシア進攻で苦しむウクライナの人々に対して、日本政府は避難民対策・人道支援(2億ドル、240億円ほどを)を提供するほか、ウクライナからの避難民の国内受け入れにごく積極的だ。自治体や民間企業からも避難民の受け入れに次々と手が挙がっている。  国連UNHCR協会への寄付金も短期間で数十億円になっているらしい。ほかの日本の国際系NPOに対する寄付も同じように増えているだろう。今やウクライナ人道支援は、あえて言うなら「ブーム」となっている。  難民や避難民問題に関心が低いといわれる日

      • UNHCR駐日事務所 のあり方を問う

         2021年の難民認定数は過去最高になるらしい。認定されたのは、予想されるようにミャンマーやアフガンの出身者が多いほか、迫害や紛争の続く中国や中東・アフリカ出身者が大半らしい。過去10年ほどの混乱期を脱して、難民認定も正常化しつつあるようだ。  あれこれ批判されるなかで入管の難民政策は少しずつ改善されている。その一つが「難民認定ガイドライン」で、これは2014年の暮れに出入国管理政策懇談会の下の難民認定制度専門部会が提言したものだ。数年かけて昨年の夏までに原案ができた。UN

        • モー出るな

          今日(2月10日)、晴れて74歳になりました。隠していたわけではないのですが、昨日までは73歳でした。1年後には75歳になる予定です。その次は76歳と思われます。 この人生の節目に、お祝いメッセージを送ってくださった多くの皆様、ありがとうございます。 さて今日は、コロナワクチン接種第3回目を予約してあって、長らく心待ちにしていました。ルンルンと。 他方で、明日の11日には駒沢公園で30キロマラソンに参加する予約をしていて、この数日は雪で中止になるのかならないのか気が気で

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          ルールと人権を守って国際化

           大雪になった 1月6日に、入管庁佐々木長官に日本の難民政策をめぐる科研費研究の一環としてインタビュー。佐々木長官は1985年に入管局に入ったが、僕は1976年(昭和51年)から77年まで1年間入管局にいたので僕が「先輩」に当たる(笑)。で、先輩面(づら)して一言。  佐々木長官の言葉に「昭和の入管からの脱却」があったが、それで思うことがある。1976年ごろの外国人の入国・出国数はともに約78万人。在留外国人数は約75万人で大半が韓国・朝鮮国籍者だった。入管の主要な仕事は不

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          船頭面接 -人は自分を知らない

           なぜか、秩父の長瀞の手漕ぎ観光船の船頭のポストに応募することになった。一本の櫓で急流を下るあの船。応募者は3人。ハーバード大学の30代女性教員、秩父鉄道の50代の運転手、そして無職で70代の僕。  面接室に行く途中、事務室の中から「今度の応募者にはいいのがいなくてね」という声が聞こえてきて、ちょっと焦った。ほかの2人と差別化できる点はやっぱし体力だろうと考え、面接では「フルマラソンを何度も走っていて、体力には自信があります。80歳まで働けます!」と売り込むことにした。

          船頭面接 -人は自分を知らない

          僕が来年のノーベル医学賞候補に?

          欧米のコロナ危機の原因が分かった! 知る人ぞ知る「東洋英和麻布十番倶楽部」(グローバル人材育成コース)の第6期の3回目は、このコースのOGで、ウイーンのIFC(国際金融公社)に赴任した清水文香さんがゲストスピーカー。テーマは「国際機関就職までの道のり」。 小学校以来国際協力に関心があったこと、キャリアの軸の意識的形成、CVの書き方から面接のノウハウまで、とても有益な講義だった。グローバルに活躍するための準備がどういうことかのイメージがつかめて、参加者も深く納得。 ところ

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          日本の難民政策プロフィールを見直す

          読売新聞が、難民認定制度の改革を含む出入国管理・難民認定法の改正案について報道。早速、ネットなどでは「法を破った外国人になぜ在留を認めるのか」といった批判が流れ、人権擁護団体などが「外国人の権利擁護に不十分」といった批判の声を上げている。入管庁はこれらの相反する批判を汲んで法案を作る必要がある。 今回の改正案のポイントの一つが「準難民」(補完的保護)の枠組みの創設。難民条約にはない理由で保護を求める者に庇護を与えるもので、典型は紛争国からの紛争(戦争)難民。「難民」と同様な

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          中学受験生の家庭教師求めます

          大学に関わっていると、大学入試や大学院留学のための推薦状を頼まれることが時々ある。近年はオンライン出願が多いので、推薦状もオンラインとなり、中身を考えるのはそれなりに大変だが、字を書くことについてはパソコンだからラクチン。スペルチェッカーもついてる。 問題は手書きの推薦状。僕は日本語の手書きがとても苦手。東洋英和女学院で教えていた時も板書は一切やらなかった、というかできなかった。字が下手な上に、そもそも漢字が思い出せない。大勢の女子学生の前で漢字が思い出せず立ち往生するのは

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          🏃:解脱と中学入試

          僕は今朝、解脱(げだつ)した。つまり悟りの境地に達した。長らく苦しんできた難問、「東京女子大の周りを走っているときに例のマラソンおじさんに会ったら、どう対応すべきか?」に答えが見つかったのだ。 今朝は気温28度だったが朝6時に起きて10キロ走った。苦手な例のマラソンおじさんに出会わなければいいな、と強く念じていたが、走り始めて10分程たって抜かれた。後ろから急にバタバタと足音がしたかと思うと、僕をあっという間に追い越して視界から消えた。顔は見えなかったが「ドヤ顔」をしてた。

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          日本人は国連トップになれるか?

          自民党は国連専門機関のトップに日本人を送り込むための対策を政府に提出した。 国連専門機関のトップは選挙で選ばれるから、選挙に勝つには国内と同じく地盤(出身地域の支持)、看板(肩書・地位)、カバン(カネ)が要るだけでなく、当選してから190前後の加盟国と渡り合う政治力と職員の支持を集める人望も必要だ。 中国は40年以上にわたって戦略的に国連機関に中国人を送り込み、カネ(背政府開発援助/ODA)の力でアジア・アフリカ諸国に地盤を築いてきた。今では15の専門機関のうち4つのトッ

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          on-lineミャンマー同窓会

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          白衣の天使

          コロナの爆発的感染拡大が何とか抑えられていることについて、医療従事者、特に感染の危険に直面する看護師の献身的な働きが称賛されている。 50年以上も前になる。大学入学直後の4月に父が脳出血で倒れた。国立松本病院に検査入院中のことだ。血圧がすごく高いのに早いスピードの点滴がされ、ベッドの上で脳出血を起こしたのだから今でいえば医療事故だ。しかし当時は医療のあり方に声を上げるなどということは考えられず、ただ諦めるしかなかった。 父は重症で最初からほとんど意識がなかった。そのころの病

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          「よくぞ今まで生きていてくれた」

          国際的な女性団体であるソロプティミストの、教育と職業訓練を支援する「夢を生きる」賞の2020年度選考がさる4月にあり、外部審査員として参加した。そのときの選考講評を紹介したい。 ..................................... このたび、上野千鶴子・東京大学名誉教授、リジョン役員やプログラム委員会の 7 名の内部審査員の皆様ととともに「夢を生きる」賞の第 2 次審査委員をさせていただいた国連 UNHCR協会の滝澤三郎です。国連UNHCR協会に対して

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          2019年の入管庁難民認定結果から見えてくること

          始めに2019年の難民認定の結果が3月27日に入国管理庁から発表された。http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri03_00004.html 認定申請者の数は 10375人(18年は10493人)、認定されたものは 44人(18年は42人)、人道配慮による在留許可が37人(18年は40人)の計81人だったから、申請数も保護数(認定数+人道配慮)もほぼ横ばい。処理数は 7131人だった(18年は13502人)

          2019年の入管庁難民認定結果から見えてくること

          難民認定制度に関する内閣府世論調査

           昨年、法務省が作り、内閣府が実施した「基本的法制度に関する世論調査」(https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-houseido/index.html)で難民認定制度が初めて取り上げられた。「難民受け入れが少ない」と考える人が 5割強なのに、「今後、積極的に受け入れるべき」とするのが 2割余りで、「難民受け入れに消極的な世論」という見出しがメディアなどで流れたが、この調査結果の解釈や使い方は慎重にすべきだ。 設問の文脈が与えられていな

          難民認定制度に関する内閣府世論調査