船頭面接 -人は自分を知らない

 なぜか、秩父の長瀞の手漕ぎ観光船の船頭のポストに応募することになった。一本の櫓で急流を下るあの船。応募者は3人。ハーバード大学の30代女性教員、秩父鉄道の50代の運転手、そして無職で70代の僕。

 面接室に行く途中、事務室の中から「今度の応募者にはいいのがいなくてね」という声が聞こえてきて、ちょっと焦った。ほかの2人と差別化できる点はやっぱし体力だろうと考え、面接では「フルマラソンを何度も走っていて、体力には自信があります。80歳まで働けます!」と売り込むことにした。

 問題は「なぜ船頭に応募したの?」という質問への答え。ハーバードの先生は学内政治闘争に敗れたのだろうし、電車の運転手はコロナによる経営不振で早期退職を迫られたのだろう、と容易に推測がつく。

 僕は、なんで船頭?なんで長瀞?ウーバーもあるのに..木曽川もあるし..という問いにどうしてもいい理由が思いつかなかった。学生にはよくお説教したのに、自己分析が足りないというか、「人は思っているほどは自分のことを知らないものだ」、という真理に気づかされた(2度目の)初夢でした。
ホントの初夢は...言いません。

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