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ビジョンデザインの現場から | 【vol.8】 実践 VISION CANVAS ワークショップ オンライン

 —— ビジョン・キャンバス ワークショップ。その実践をふり返る。 

vol.07では、ビジョンを生成し、言語化するフレームワーク「VISION CANVAS(ビジョン・キャンバス)」についてお話しをしました。

今回は、約2ヶ月間にわたるオンラインでのビジョン・キャンバス ワークショップ、その実践についてお伝えします。オンラインでの実施を選択することとなった経緯や意図については、vol.4でお話ししてます。

そのvol.4のなかにもありますが、オンラインで行うにあたって整備し直したものがこちら。

①プロセスとツールの再設計
ビジョン・キャンバスのワークショップは、もともとは5名程度のグループでワークを行ない、ほぼ1日かけて3畳ぐらいの大きさのワークシートを完成させていくもの。それを、複数日程で行う、個人によるワークとメンバーとのシェアの繰り返しへと再設計。ツールもワークしやすいものへと変更しました。

②オンライン版のプログラムとルールづくり
同席している人数の多寡による温度感の差、集中力を持続することの難しさなど、オンラインでのミーティングを行うなかで感じてきたやりづらさやストレス。ワークショップを行ううえでネガティブな要素となりうることは、プログラムとルールをカスタマイズすることでできるだけクリアしました。


そして、実施したプロセスがこちら。

① オンライン版 ビジョン・キャンバス ワークショップ説明会
② 個人ワーク1(ビジョン・キャンバス Ver.1の完成)
③ グループミーティング(オンライン)
④ 個人ワーク2(ビジョン・キャンバスのアップデート / Ver.2の完成)
⑤ 全体共有ミーティング(オンライン)
⑥ 社長と参加メンバーによるビジョン・キャンバス 1on1

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以下に、実施時の記録もともに、また、ふり返っての気づきや反省なども交えて、そのプロセスを具体的にご紹介していきます。

① オンライン版 ビジョン・キャンバス ワークショップ 説明会

2020.04.14
● 参加メンバー全員(14名)への説明会(オンライン)を実施。
概要や手順、スケジュールはもちろん、ビジョンとは何か? ビジョンキャンバスとは何か? それぞれのプロセスの意図は? なぜこのワークショップをやるのか? なぜオンラインであってもやるのか?を伝達。加えて、これまでのオンラインでのミーティングの経験を踏まえてのルールなども説明。
● もちろん、オフラインでのワークショップ時も説明の時間は設けるけれど、ワークとは別日に、しっかりとこのような機会を設定することは、ワークに入っていくマインドセットづくりに重要。
● ただ、もっともっと、なぜこのメンバーでやるのか? このワークの成果がどうなるのか?等について、参加メンバー全員への「WHY?」「目的意識」への腹落ち度を高められる機会にする必要があった。

② 個人ワーク1(ビジョン・キャンバス Ver.1の完成)

2020.04.15〜04.23
● 約1週間かけて、1人ひとりが1枚のビジョン・キャンバスを完成させる。これは、今回の自社での実践での大きな変更点の1つ。
● 通常(これまで)、ビジョン・キャンバス内の1つひとつの項目、ステップを短いスパンで個人で考えること、他者とシェアすることを繰り返すのに対し、今回は、1人で最後のビジョンの生成というゴールまでを行う。
● 前者の場合、他者の意見や発想からリアルタイムで気づきを得ながら、意見や発想を融合させながら1つのキャンバスをつくりあげていく。一方、それには、瞬発力的なものが求められる。今回、ビジョンの生成という一定のゴールまで個人で向かうことは、「短い時間でアウトプットしていくのが苦手」「準備した状態で望みたい」というメンバーには安心感があった模様。
● アウトプットの「練れてる度」には差があり、個人ワークの途中でチュートリアルのようなものがあってもよかったかもしれない。

③ グループミーティング(オンライン)

2020.04.27
● 14名の参加メンバーが3つのグループにわかれてのグループミーティング。
● 使用したシステムはZoom。
グループミーティングでのいちばんの目的は、否定的になったり、YES/NOをはっきりさせたり、マウンティングしあったりのようなことをするのではなく、他者の考えや発想から気づきを得ること。それらを自らのビジョン・キャンバスのブラッシュアップにつなげること
● そのために、このオンラインワークの前に、それぞれ、同じグループメンバーのビジョン・キャンバスを読み込んでもらい、そこでの疑問点をもとに、互いに問いかけ、深掘りをしてもらった。
● 建設的な議論になっているかは、グループによって差が出ていた部分あり。
● テーブルファシリテーターを置かなかった(置けなかった)ことも影響した部分があるだろう。
問い、対話、他者の考えを許容し、そこから気づきを得て、自らの考えをアップデートすること。どれも簡単ではないが、ビジョンの構築においても、実現に向けた活動においても、重要なテーマであると再認識
● オフラインのときより、発言量の差などはないように見受けられた。むしろ、空間を共有していないからこそ、他者の発言により注意深く耳を傾けることをしているように感じられた。

④ 個人ワーク2(ビジョン・キャンバスのアップデート / Ver.2の完成)

2020.04.28〜05.11
● グループミーティングを受けて、再び、1人ひとりがビジョン・キャンバスに向き合い、アップデートを行う。
● Ver.1の時点では、ややビジョンが近視眼的になりすぎたり、目の前の課題の反転に囚われていたり、概念的にもう少し上位で考える必要があったり、一方で、自らの現業に否定的になりすぎる部分があったりと、そうした点が、アップデートのポイントになった。
● 今回も、全体共有ミーティングに向けて、参加メンバー(全員分)のビジョン・キャンバスを事前に読み込んでもらった。

⑤ 全体共有ミーティング(オンライン)

2020.05.08
● 14名全員での共有ミーティング。1人ひとりのプレゼンテーションと質疑応答。
● 使用したシステムは、グループミーティング同様Zoom。
● Ver.1から各々のビジョンそのものが大きく変化したということは見受けられなかったけれど、より自分自身の志向することへの解釈が深まり、解像度が上がった様子だった。
● 質疑応答でも積極的なやりとりがなされた(こういうとき大人しめな自社としては少し意外な印象)。
● 一方で、グループミーティングにもあるように、他者との対話のなかで気づきを得ながら、建設的な議論を進めることはもう1段階上のスキルセット、マインドセットが必要なことを痛感した。

⑥ 社長と参加メンバーによるビジョン・キャンバス 1on1

2020.05.22〜05.29
● 全体共有ミーティングに1人ひとりのビジョン・キャンバスを、これからへの考えや想いを深く知るための社長との1対1のミーティングを実施。
● ①〜⑤までのプロセスが終わったときに参加メンバーのコメントとして「ビジョンというテーマについてこれまでこんなに考えて話したことがなかったのでよい機会だった」「これからもっと話したい」といったものも多かった。
社長のなかでも、ふだんのやりとり以上に「もっと社員と話したい」「未来というテーマでもっと深ぼりしたい」という考えから、1on1の機会を設定
● 追加で組み込んだプロセスであり、スケジュールに影響が出たが、ビジョンの言語化を前に「自分たちはまだよくわかっていない」という状態を認識し、その認識を大事にし、次を模索し、アクションに移せたことはとても大切な体験であり、プロジェクトにとっても重要なプロセスとなった
● 1on1のなかで発せられた言葉も、その後のビジョン構築での重要なエッセンスとなった。

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—— オンラインでも、オフラインでも。それは関係なくて。

このあと、プロジェクトのフェーズは、推進室での言葉の集約、精緻化、言語化へと移っていきます。

今回、自社(デジタル・アド・サービス)のビジョン構築にあたり、オンラインでのビジョン・キャンバスのワークを実践したなかで、時間はかかるものの、個人ワークとシェアの繰り返しというプロセスのメリットも発見できるとともに、これはオンライン、オフライン関係なく、組織や参加者の性質、そのときの状況等に合わせた適用も可能であるという確かな認識を得ることができました。また、オンラインでの実施も十分に可能であること、オンラインだからこそのメリットもあることも実感しています。

少し時間が進んで。2020年7月22日、構築、策定されたビジョンが、ようやく全社に発表されました。今回「VISION」はもちろん「CHECK POINT」「WILL」という3つの言葉(群)を構築しています。

今回のビジョン・キャンバス ワークショップ一連のプロセスでもキーの1つであると実感した、対話すること、他者を許容すること、そこから気づきを得て共創すること。これらは「VISION」「CHECK POINT」「WILL」のなかでも重要な要素となっています。

そして。不確実さのなかで。たった1つの正解がないなかで。それを認識し、それでもこれからに向かい続けるなかで。他者との関係性において価値を成すなかで。それは、オンラインでもオフラインでも関係なく、重要なこと。

「VISION」「CHECK POINT」「WILL」。その内容は、改めて自社ホームページ等の準備ができしだいご案内します。また引き続き、構築、策定のプロセスや社長によるビジョン発表のプレゼンテーションについてなどもお伝えしていきます。

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デジタル・アド・サービス:https://www.dascorp.co.jp
Vision Management:https://www.dascorp.co.jp/vm/
竹内 悠(Takeuchi Haruka):https://www.dascorp.co.jp/blog/4598/


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