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ビジョンデザインの現場から | 【vol.7】 ビジョン・キャンバス

—— ビジョンを生成し、言語化するフレームワーク。

vol.5vol.6では、そもそもビジョンとは? どう定義しているのか? どう思考しているのか?ということをお伝えしてきました。

vol.7となる今回は、私たちが、自社(デジタル・アド・サービス)のビジョン構築にあたり、そのプロセス、手法の1つとして実践した「VISION CANVAS(ビジョン・キャンバス)」というビジョンを生成するための独自のフレームについてお話ししたいと思います。

はじめにお伝えしておきますと。ビジョン・キャンバスを使うことだけが、ビジョンを生成し、言語化するための方法ではないということです。

例えば、組織の場合であれば、経営者へのインタビューをもとに言語化していく。インタビューとビジョン・キャンバスのワークショップを併用する。ワークショップを行う際に、別のフレームを用いる。個々の意思や衝動にフォーカスし、ビジョンとの連動を模索する。などそのやりかたはさまざまです。

また、ビジョン・キャンバスのワークで生成された言葉をそのままビジョンとして適用するのではなく、精緻化して最終的に策定することが基本となります。

実際、自社のプロジェクトにおいても、ビジョン・キャンバスのワークショップ後、社長と参加メンバーによる1on1のミーティングを実施。個々のビジョンへの想い、仕事や組織、働き方への想い、家族や地域、暮らし方への想いなど、より本質的なものを深掘りし、そこから出てきた言葉もエッセンスとしながら、組織のビジョンとしての言語化を進めています。

そのなかで、ビジョン・キャンバスというフレームの活用は、複数の参加者が、同じフレームに向き合い、互いの考えや想いをシェアしながら、ビジョンを言葉として生成していくときに、効果的な方法の1つであると考えています。

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—— フレームワークもまた、共通言語。

ビジョン・キャンバスには、大きく3つのフィールドがあります。
1:自分たちに向き合うフィールド
2:世の中や生活者と向き合い、未来を洞察するフィールド
3:未来の世の中での自分たちの姿を想像し、言葉にするフィールド

ビジョン・キャンバスは、ビジョンを生成し、言語化するためのワークのフレーム。と同時に。キャンバスに向き合う人たちの視野を広げたり、焦点を絞ったり。時間軸的に、視点を手前に置いたり、遠くに置いたり。現状を認識したり、ときにはまだ見ぬものを妄想したり。そうした思考の発散と収束のプロセスを提供するものでもあります。

そのため、ビジョン・キャンバスのワークを行うときは、思いついたところ、書けそうなところから埋めていくのではなく、この1〜3のフィールドの順に行なっていくことが1つのポイントです。

1:自分たちに向き合うフィールドフィールド
ここでは、ビジョンを描く対象(多くの場合が自らが所属する組織)の現状を改めて認識し、5つのカテゴリーごとにアウトプットします。

2:世の中や生活者と向き合い、未来を洞察するフィールド
ここでは一転、社会や生活者に目を向け、未来に思考を投じます。記事等のソースから収集したさまざまな変化の兆しをもとに、これからの社会、そこでの人々の価値観や行動、ふるまいを洞察します。このときは、日々携わっている仕事の範囲や職務上の立場を超えて考え、ときには、妄想します。すると、思わぬ人から、思わぬ洞察(妄想)がでたり、それらが混じりあったりと、個人的に、ビジョン・キャンバスのなかでも好きなフィールドです。

自らの発想、他者の発想とをシェアをしながら、仕事人だけでない、生活者として生きていく、未来の社会を認識していきます。もちろん、ここにあるのは、正解・不正解という二者択一的な世界観ではありません。

3:未来の世の中での自分たちの姿を想像し、言葉にするフィールド
最後のフィールド。ここには、フィールド内に2つの要素があります。1つは、「未来における存在意義」=ビジョンのアウトプット。もう1つは、「定めた期限内に実現する具体的な状態」=チェックポイントのアウトプット

ビジョン。自分たちで洞察し、認識した未来のなかでの存在意義(vol.5vol.6)とはなにか? そのビジョンは、ワクワクできるか? 自分たちらしいか? 成果がイメージできるか? いまのゴールとして適切か? 組織やその先の貢献につながるか? などを意識しながら、言葉にしてみます。このとき、フィールド1、2で自分たちが考え、シェアしたことが重要な要素になってきます。そして何より。きれいな言葉、整った言葉にすることより、意志や熱量がしっかりと乗っかったものであることを大切にします

チェックポイント。ビジョン、その、望ましい状態の未来に立った視点から、そこにたどりつく途中に、どんな状態が必要か? どんなアクションが必要か? を考えます。このとき、現状からの改善の積み重ねでたどり着くことを検討するだけでなく、ビジョンの状態からバックキャスティングすることも重要なポイントです。

自社では、ビジョン・キャンバスのワークを経てから、組織のことを考えるとき、組織の未来を話すとき「チェックポイントがキーになるね」「アクションを考えがちだったけど、状態も大事だね」「チェックポイントとしての抽象度はどうかな」のような会話が交わされる光景を目にするようになりました。

共通のフレームをもつことで、意思の疎通がスムーズになったり、活性化されたりする。フレームワークもまた、組織の共通言語である、そう実感しています。

そして。このチェックポイントが、計画をつくり、アクションしていくことに、ふりかえり、アップデートしていくことに、とても重要な存在となります。チェックポイントについては、引き続きの記事でお伝えしたいと思います。

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竹内 悠(Takeuchi Haruka):https://www.dascorp.co.jp/blog/4598/



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