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IT業界で働く人が読むべき本をマンガだけで選んでみた (厳選15選)

株式会社ベーシック執行役員 CAOの角田(@takeshisumida_)です。

私はこれまで仕事をする中で、知識面やモチベーション面においてマンガに助けられてきたことは多く、同じような立場の方の参考に少しでもなればと、これまでいくつかの切り口にてマンガをご紹介するnoteを書いてきました。

その中の一つに「新社会人」をテーマに書いたnoteがありました。この中では、これからまさに社会人として働き始める人が、「読むことを通じて社会人の働き方や仕事の内容が学べ、仕事に対して熱くなれ、気持ちが高ぶるような作品」を中心にピックアップしていました。

そのような趣旨から、こちらのnoteでは、マンガの舞台となっている"業界"という意味では様々で、ある意味横に幅広いまとめとなっていました。

しかし、自分の会社も属する"IT業界"においては、それはそれで特有の知識や文化、働き方があり、自分自身も人事の管掌役員として新卒のみなら中途の採用にも日々関わっている中で、就職・転職にあたっての知識の習得に役立つ書籍を聞かれることもこれまで度々ありました。

そこで、今回は改めて"IT業界"という縦の軸にフォーカスして、主に以下の観点で、これまでと同様マンガだけでお勧めの書籍をご紹介してみたいと思います。

「IT業界で働く上で必要な知識について学ぶことができる」
舞台そのものがIT企業で、働く環境や働き方を垣間見れる」

なお選んだ範囲ですが、IT系でもよくある「マンガで分かる〇〇」のようなマンガで解説してはいるが実質ビジネス書である作品、「IT業界で働くなら『キングダム』でそのマインドを学ぶべき」というような精神論的な作品などは入れていません。あくまで何かしら直接的にITに関連したマンガに絞ってみています。

その上で、参考になるかどうかは分かりませんが、上記観点を学べる度合いを"業界勉強度"という形で星の数でも記してみています。特に以下に当てはまる人に読んでもらえると嬉しいです。

・IT企業への就職を考えている就活生
・現在他業界で働いていて、IT企業への転職を考えている方
・現在IT企業で働いていて、業界に関連するインプットを求めていた方
・どれにも当てはまらないけど、IT系のマンガに興味がある方

それでは、年間500冊以上のマンガを読んでいる私が厳選した「IT業界で働く人なら読んでおくべきおすすめのマンガ」をどうぞ!

1. この世界は不完全過ぎる

巻数:6巻 (2022年8月時点未完)
関連知識:デバッグ、ゲームQA
業界勉強度:★★☆

テーマは「デバッグ」。コンピュータプログラムの欠陥(バグ)を特定して取り除き、動作を仕様通りのものとするための作業である。と言っても舞台は現実の会社ではなくMMORPGの世界の中。一見既に世の中に数多く出ている"異世界もの"であり、MMORPGの中に閉じ込められてしまったというのもこれまで他のマンガでもあった設定なのだが、このマンガが他と異なり新しいのは、その世界をデバッグの技術を使って攻略を進めていくこと。内容がゲームということに偏りはするものの、システム開発を行う上で必須となるQAの作業について、ストーリーを楽しみながら自然と学べる稀有な作品。

2. アイアンバディ

巻数:4巻 (完結)
関連知識:ロボット製作
業界勉強度:★★★

テーマは「ロボット」。その中でもHONDAのASIMOに代表される、いわゆる"二足歩行ロボット"に焦点を当てている。商業化が非常に難しいとされている中、その製作に人生を懸ける主人公が、投資家や技術者などそれを支援する仲間と共に、技術的困難や資金難、ライバル企業との争いをどう乗り越えていくのかという姿が描かれている。センシングや機械学習、ソフトウェアでの制御など、最先端のロボット製作に必要な知識に触れられるマンガ。ITと言ってもネット系ではなくハードウェアの世界のことではあるが、IT系のモノづくりに携わる人であれば、きっと同じく熱い気持ちになれる作品。

3. AIの遺電子

巻数:8巻 (完結)
関連知識:ヒューマノイド、AI
業界勉強度:★☆☆

人間に限りなく近いアンドロイド、いわゆる「ヒューマノイド」の治療、その中でも特に心の病を専門に手掛ける医者が主人公。タイトルにAIとあるが、作中ではAI ≒ ロボットとされ明確に区別されており、飲食、勉強、恋愛など、人間とほぼ同じ生活を行うヒューマノイドにあくまで焦点を当てている。医者という題材、1話読み切りである点、また淡々と深い話が展開されるその雰囲気から、近未来版『ブラックジャック』と言われることも多い。さすがにこの世界感が近々実現するとは思えないが、IT業界で働く上では不可欠な"人類とテクノロジーの共生"について大いに考えさせられる作品。

4. チェイサーゲーム

巻数:7巻 (完結)
関連知識:ゲーム制作 (コンソール)
業界勉強度:★★★

テーマは「ゲーム」。モデルとなっているのは実際に存在するゲーム会社"サイバーコネクトツー"。クリエイター、デザイナー、グラフィッカー、プログラマーなど、ゲーム作りにおけるそれぞれの役割や仕事内容の理解はもちろん、プロジェクト管理の難しさ、仕様変更による修羅場、業界構造など含め非常に細かく描かれている。同社の創業者の松山洋氏自身が原作を担当しているため、他のどのゲーム系マンガよりもとにかく描写がリアル。舞台はコンソールゲームの世界であるものの、スマホゲームを扱うIT企業も多い今、ゲーム作り自体の難しさ、面白さを知るためにぜひ読んでおきたい作品。

5. リスタート!

巻数:3巻 (完結)
関連知識:ゲーム制作 (スマホ)
業界勉強度:★★★

ゲーム制作と言えば前述『チェイサーゲーム』や、他にも『大東京トイボックス』が名作として挙げられるが、どちらもプラットフォームはいわゆるコンソール。一方でこちらは、よりIT企業と言えばの「スマホゲーム」の制作に焦点を当てている。まだスマホすら存在しない1995年から2020年にタイムスリップした天才ゲームディレクターが、持てる知識をフル動員し、全く畑違いのスマホでもヒット作品の創出を目指すことを中心に話が展開する。3巻と非常に限られたボリュームの中で、スマホゲーム制作の一連の流れに触れられ、それでいてモノづくりの熱さも同時に感じることのできる作品。

6. 無能の鷹

巻数:4巻 (2022年8月時点未完)
関連知識:SE、ITコンサル
業界勉強度:★★☆

舞台はITコンサル会社。そこに属する2人の同期入社の男女を中心に話が展開する。一人は見るからに仕事がデキる人のオーラを放ちながら実は全く仕事のできない女性、もう一人は一見気弱く仕事がデキなさそうだが実はポテンシャルを秘めた男性。この両極端な2人が共に仕事をする中で、IT業界あるあるネタを随所に散りばめながら繰り広げるやりとりが非常に秀逸な、一話完結形式のギャグマンガ。何かの技術的知識を習得したり、読むことで仕事に熱くなったりするタイプのマンガではないものの、IT系の会社で働く上では、読んでおけば必ず周りの人との共通のネタになり得るであろう作品。

7. ITおじさん

巻数:2巻 (2022年8月時点未完)
関連知識:SES
業界勉強度:★★☆

そのタイトル名からも少し想像がつく通り、ITネタをベースにしたギャグマンガ。IT企業ならではの用語やあるあるネタをふんだんに盛り込んだ話が、前述『無能の鷹』と同じく一話完結形式で展開される。IT業界の中でもエンジニアの派遣、いわゆる「SES」の世界に焦点を当てており、その働きぶりを時折"監獄"に例えている。そういう意味では、IT業界を目指している人にとってはむしろ逆効果な可能性?もあるが、IT用語の習得という観点においては、今回ご紹介したどのマンガよりもある意味効果が高い。既にIT業界で働いている人にとっては、その内容に間違いなくにやっとしてしまう作品。

8. なれる!SE

巻数:4巻 (完結)
関連知識:SE、ネットワークエンジニア
業界勉強度:★★★

同名のライトノベルのコミカライズ版。タイトル名が表しているように、とある弱小のシステム開発会社に就職することになったSE(システムエンジニア)を目指す青年が主人公。その中でも特に「ネットワークエンジニア」に焦点を当てた作品。ラノベが原作ということもあり全体的にお色気の描写も多い点は好みが分かれるかもしれないが、技術的な内容に関しては現実に即した形でかなりしっかりと描かれており、ネットワークの一般的な知識として普通に勉強になる作品である。原作は16巻まで出ておりより広範な知識をカバーしているが、マンガ版では初期のストーリーのみで一旦完結している。

9. 王様達のヴァイキング

巻数:19巻 (完結)
関連知識:ハッキング、セキュリティ
業界勉強度:★★☆

テーマは「ハッキング」。天才エンジェル投資家と天才ハッカーがコンビを組み、起業し、協力しながら事業を成長させていくことを軸に物語が展開する。中でもセキュリティに焦点を当てており、実際にあるセキュリティ攻撃やその対処法をかなり具体的に描写しており、IT業界を目指す人であれば是非基礎知識として知っておきたい内容。加えて、多くの初期のITスタートアップが通るエンジェル投資の世界も同時に垣間見ることができるため、ある意味一粒で二度美味しい作品。『BLOODY MONDYAY』と並べて語られることが多い、"プログラマー"が主人公と言えばというマンガの代表でもある。

10. トリリオンゲーム

巻数:4巻 (2022年8月時点未完)
関連知識:起業、買収
業界勉強度:★★☆

前述『王様達のヴァイキング』も彷彿とさせる"カリスマ×ITの天才"コンビによる起業物語。科学系マンガ『Dr.STONE』の稲垣理一郎先生と、IT企業の経営者にも信者が多い『サンクチュアリ』の池上遼一先生のタッグ。ライバル企業としてソフトバンクをモデルとした企業が登場し、今回の他の作品と比べると、大型の資金調達や企業買収などより大掛かりな経営戦略が多く描かれている。アイデアや行動はまさにマンガならではの突拍子もないものも含まれるものの、テックと男達の熱さが見事に融合しており、特に"ITスタートアップ"で働くことに対してのモチベーションを爆上げしてくれる作品。

11. ハルロック

巻数:4巻 (完結)
関連知識:電子工作、IoT
業界勉強度:★★☆

テーマは「電子工作」。ふとしたきっかけから電子工作にハマった女子大生が、身の回りの不便さや友人の悩みを、電子工作界ではお馴染みのArduinoやRaspberry Piを使った様々な自作の電子機器で解決していく話。製品のアイデア自体はほのぼのしたものが多いものの、著者の造詣の深さから技術的難易度として非常に高い製品も多く登場するため、IT業界の中でもいわゆる"IoT"関連に興味がある人は特に読んでおくべきマンガ。前半は一話読み切りが多くある意味日常系的雰囲気があるが、最終的には一つの物語としても完結しており、知識の習得のみならずマンガとしても十分に楽しめる作品。

12. 87CLOCKERS (エイティセブンクロッカーズ)

巻数:9巻 (完結)
関連知識:PC、オーバークロック
業界勉強度:★☆☆

著者は『のだめカンタービレ』で著名な二ノ宮知子先生。テーマは「オーバークロック」。PCのF1レースとも呼ばれ、パソコンの動作周波数(クロック)を、本来の性能を上回る水準で駆動させ、その数値の高さを競う競技である。音楽の道を志していた音大生が、オーバークロックにどっぷり浸かっている女子大生と出会うことで、その独特な世界に巻き込まれ、苦悩、成長する姿を中心に描かれている。競技自体はたとえIT系の会社で働いていたとしても基本関わりのないものではあるが、競技の描写を通じて、ITにおけるモノづくりの土台となるパソコンの特性について学ぶことができる作品。

13. スティーブ・ジョブズ

巻数:6巻 (完結)
関連知識:PC
業界勉強度:★★★

Apple創業者スティーブ・ジョブズのベストセラー自伝のコミカライズ版。『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ先生が漫画を担当している。IT業界で働く上では知らない訳にはいかないスティーブ・ジョブズの人生について、6巻という凝縮された巻数で学べることができる優れた作品。なお、同じ文脈では『大東京トイボックス』のうめ先生による『スティーブズ』が同時に挙げらることも多いが、『スティーブズ』はよくも悪くも描写がマンガ的であるため、個人的にはより写実的なこちらの作品をお勧めしている。いずれにせよ巻数も同じなので、各自の好みに合わせてどちらかは読んでおくべき。

14. 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

巻数:5巻 (完結)
関連知識:電脳、アンドロイド
業界勉強度:★☆☆

伝説のSFアニメ『攻殻機動隊』の続編のコミカライズ版。原作は同じく士郎正宗先生であるが、時代設定やキャラクター設定等、オリジナルとは微妙に異なったパラレルワールドとして物語が展開されている。人がインターネットに繋がるいわゆる"電脳化"された世界が舞台。今回の紹介作品の中でも現実のIT企業からは遠い部類であるものの、「攻殻機動隊のような〇〇」という言い回しはIT業界のモノづくりではある意味頻出?のため、予備知識としては確実に知っておきたい。人によっては理解が難解なオリジナルと比べると平易に描かれているため、攻殻機動隊未体験の人にも向いている作品。

15. ダーウィンクラブ

巻数:3巻 (2022年8月時点未完)
関連知識:特定のものは無し
業界勉強度:★☆☆

GAFAを連想させる巨大IT企業が生活の基盤となっており、それら企業のCEOと従業員の収入格差が大きく開いている世界が舞台。その格差是正を唱え事件を引き起こすテロ組織と、過去にその組織に父親を殺され真相の解明を目指す主人公を中心に物語が展開するクライムサスペンス。IT企業が物語の重要な要素になっているものの、企業自体の内幕を詳細に描いたようなものではなく、むしろ攻撃の標的とされているため、今回の趣旨からは少しずれるが、現実社会でも実際に起きている「ITの巨人に支配された世界」がテーマになっているという観点で、ぜひともキャッチアップはしておきたい作品。

終わりに

いかがでしたでしょうか。「IT業界」と言ってもそれはそれで幅広いため、全ての作品がずばり自分の興味がある会社やサービスに関連するものということはなかったかとは思いますが、IT企業で働くことを目指す上で、業界に対するイメージが湧いた、IT知識の向上に繋がった、もしくはシンプルにやる気が出た、ということに少しでも繋がっていましたら幸いです。

もちろん、これらのマンガを読めば必要なIT知識や業界知識が全て身に付くというほどの網羅性はさすがにありませんので、業界本や技術書等、通常の書籍も合わせて読むことをおすすめします(笑)

こうやって改めてまとめてみると、完結している過去作品が割と多いですね。ITをネタにした名作が今後もまた出てくるのを私としても楽しみにしています。このテーマにおいて私が見逃している最新作、おすすめのマンガなどがもしありましたらぜひ教えてください!

Twitterでもたまにマンガのことを呟いていますので、よろしければフォローしてもらえると嬉しいです!

https://twitter.com/takeshisumida_

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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